表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/172

56#戦いの後は……

ランディ達が、イグァーガと戦い始めた頃、もう1体のイグァーガも、学校の生徒達を多数交えた、大型獣討伐討隊と戦っていた。



堅い装備に身を包んだ、5人の兵士と、その使い魔……


そして、イグァーガから距離をかなり置いて、48組の先生&生徒部隊が、扇状に取り囲んでいる。


10人の前衛部隊は、大きな盾と長槍を持ち、深追いしないで、チクチク攻撃していた。


イグァーガも火炎液や回転尻尾攻撃で攻撃しているが、守備に徹している前衛部隊には、致命傷を与える事が出来ないでいた。


そして、4部隊に別れている先生&生徒部隊は、隙を見つけては、先生の号令で、集団で『光破』の攻撃魔法を降り注がせていた。


そして、遠距離にいる生徒達が、襲われないよう、すぐに前衛部隊がチクチク攻撃して、状況に応じて散開し、魔法攻撃の的を作る。


その、光破の攻撃が150回を超えたあたりで、イグァーガは力尽き倒れてしまった。


まさに、多勢に無勢な戦いだった。



100人以上の歓声が、鳴り響く……前衛を務めた兵士と使い魔達も、皆軽傷で済んだ。



特に使い魔は回復が早く、2~3日で回復する程度の怪我であった。



5人の兵士の班長は、使い魔と他の兵士を労い、先生の代表格に挨拶していた。


「今回は、イグァーガの討伐の協力ありがとうございます。流石に、光破でも、あれほどの回数を浴びせれば、奴もひとたまりも無かった様ですな、今年は攻撃魔法の使える生徒達が多く、楽をさせて貰えそうですな、ははは……」


この国の大型獣討伐隊は、いくつも点在しているが、学校の付近に駐留している討伐隊は、学校の協力を計算して かなり少な目に設定されていたのだった。



副校長のモノラルは、「今年は2年が優秀での、では解体して、持って帰るとしますか……」


と、笑顔が溢れていた。

それもそのはず……イグァーガは肉が非常に美味で、羽毛も保温性能が高く、皮は火に強く、その他の部位も、加工して、様々な装備品になるのだった。



そこで、3年Aクラスの担任の先生が、青ざめた顔で走ってきた。


「副校長! もう1体、大型獣の反応があります!」


「「な、何だって?!」」兵士長と副校長は、驚きの声を上げる。



魔人族が持っている大型獣検索プレートは、おおざっぱ過ぎて、目の前の大型獣を倒すまで、まともに反応出来ていなかったのだった。



「連続で来るなんて何て事だ……民家に行かれる前に、対策を取らねば……此所からどのくらいの距離だ?」

3年Aクラスの担任の先生に質問する副校長。


「はい、……此所からおよそ3km……あれ? 反応が消えました……どうしたのでしょうか?」


不思議がる先生達、兵士のは一人が、討伐隊専用のプレートを見る……

「……確かに大型獣の反応はありませんね、プレートの誤反応ですかね……」


兵士長も「まあ、連続で大型獣が来るなんて、聞いたことがない……さぁイグァーガの解体をしよう。みんな、勉強の為に見ておくと良いぞ!」



……

…………

………………


一人の使い魔が、主人に話しかける。

「オエアー様、お話が……」


イグァーガの解体を遠目で見学していたオエアーが、使い魔の方に振り向く。

「ん?何だ ルシフル」


「はい、此所から3100mほど東側に、先ほど倒したイグァーガと呼ばれている大型獣の気配と同じ気配を感知しました……今は気配が消えてますが……」


「何っ! ……興味あるな……行ってみるか? ルシフル」


「では、飛んで移動しましょう。5分かからないで到着する筈です」


ルシフルは、オエアーを抱き上げ光学迷彩を発動しながら、飛んで行ってしまった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



一方ランディ達は、適当に切り分けたイグァーガを見ながら、持ち運び方に未だ悩んでいたのだった。


「この怪鳥、鳥の癖に重いよな……どうやって飛んでんの???」



疑問、難問に首を傾げるランディにガルが、笑いながら答える。


「ははっランディ、地球の常識を当てはめようとしても無駄無駄。しかし重さも面倒だが、この大きさ

は……ん?香織どないした?」



「ガル……あそこ……誰かいない?」

香織が指をさしている方向には何もいない、いないはずであった。


しかし良く見ると少々 木々がブレて見えている。



香織の差す方向をガルも見つめる。


「ああ、いるいる2人見えるぞ。でも1人の気配が微弱だな……かなりの手練れと見た……おーい! そこにいるのは見えてるぞ~」


と話かけるガル。

ガルが見ていたのは、赤い右目のインフラヴィジョンで熱源探知していたのだった。



すると、香織やリリスにも見えるように姿が沸いて出てきた。


「ルシフル……見えてるって、何故だ?」


「私にも解りません……が、彼には私の『インヴィジブルストーカー』は全く通用しませんね」



リリスは急に出てきた2人に驚く、「わっ わわ……あれ?えっとえっと……お、おおお……オエアー君だっけ?」


オエアーはリリスに名前呼ばれ、話しかける。

「そうだよ、リリスさんこんにちは。 ね? この大型獣 君達だけで倒したの?」


いきなり、確信に迫るオエアー。


「ううん、ランディとガルがほとんど2人で倒したの……私もビックリでさぁ……あっ2人とも私の使い魔なの」


「知ってるよ、有名だからね、リリスさんの3人の使い魔は……」


などと2人で会話が始まってしまったようだ。




ランディもルシフルを見て、面白そうに話す。

「ガル、この人だよこの人、クラス5の人!」


ガルには、初めて聞く単語だった様で、ランディに聞き返す。

「クラス5?」


「そう、ほら僕『トゥルーサイト』でみんなのレベル正確にわかるようになったじゃん? あ、因みに 彼はレベル40ね。 だから『レベルサーチ』と混同しないように、適当な方の『レベルサーチ』を(クラス)で、読む事にしたんだよ」


「なるほど、納得。で、彼がクラス5になる訳か……あっ 俺は魔剣ガル、よろしく。あんたの名前は?」


ルシフルも、リリスの使い魔に興味があったようで、会話に参加した。


「私はルシフルと言う。 君達の名前は知っている……見えない物が見れるガルに、強さを測定出来るランディ、あとは、バケットボールのヒロイン香織だね。実に興味深いよ」

微笑みかけるルシフル。



「えっ 私、ヒロインって呼ばれてるの?」

チョッピリ嬉しそうな香織であった。


「香織ちゃんは 僕の! ……ルシフルね、覚えたよ……これからよろしく。僕の本職は回復メインのサポートだから、アレより5倍くらい強いのが来たら役に立つよ。だから友達になろう」

と言ってイグァーガの屍に指を差すランディ。


「因みに俺も、斥候メインのサポート、ランディの後ろの香織はオマケな、でも香織は暗殺が得意だから、怒らせないように」


ルシフルはまたしても驚く。

「えっ? ふた……3人とも近接戦闘派じゃなかったの? 驚いたな……あと君達、何か困ってるように見えたんだけど……」



ガルが自分の手をポンと叩く。

「そうだ! ルシフル、 コイツ運ぶの手伝ってくれねぇか? 好きな部位上げるからさぁ なっ? ランディもそれで良いよな?」


ランディもニヤリと微笑む。

「それは良い。クラス5が2人居ればガツガツ運べるね。重さも厄介だけど 大きすぎて困ってたんだよ」


ルシフルは不思議そうに、「大きさより、重さじゃないのかい? ガルの方は飛べるんだろ? 兎に角手伝いたいが、オエアー様に許可を貰わなくてはね」



今度はガルがニヤリと微笑む。

「ルシフルは律儀だなぁ、どうせ命令なんて無視出来るんだろ?」



ルシフルは頬をポリポリ掻きながら、「一応、召喚されて来たからね、ちゃんと使い魔しないと……」



ここで、ようやく香織も話に参加出来た。

「ほら、ランディもガルも 見習わないと。2人とも使い魔の自覚全くないんだから……自由過ぎるわ」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



こうして、強力な助っ人のお陰で、イグァーガを持ち帰る事が出来る様になったのだった。


しかしランディは納得の行かない顔だったが……


理由は、かさ張り重量のある手羽先部分100kgづつを ガルとルシフルが飛んで運び、 頭部約20kgを オエアー、少しだけ肉の付いた脚部15kgづつを 香織とリリスが、 一番重さのある胴体170kg超をランディがドスドスと運んでいた。


ドシン、ズシン、ドシン、ズシン。

「な、なんか僕だけ重いような……」

ランディが1人愚痴る……





帰りの途中で、大型獣討伐隊100人超 と鉢合わせして、大問題となった。


弱種であるイグァーガとはいっても、たった4人の使い魔で、(ルシフルと香織もランディが巻き込んだ)しかも無傷で、(早々にランディが呪文で回復した) 倒した事に騒然となっていたのだった。



あまりの衝撃に、ルシフルが混ざって倒したと言った、時系列の矛盾や、ランディ達が学校を許可なく抜け出した事は、すっかり抜け落ちていたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ