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53#虐めっ子の末路

◇学校の運動フロア◇ ランディ視点



今日の授業には、使い魔は必要無いらしく、使い魔達だけで、バケットボールで遊んでいる。


Bクラスの使い魔達も別行動な様で、半分程の使い魔達が運動フロアに来ていて、2面あるコートで楽しく遊んでいる……


冒険やバトルも良いけど、こういった平和もなかなか良いものだ……後は新作のラノベがあればもっと良いのだがなぁ……


しかし、このバケットボール、ガルと、香織ちゃんは引っ張りダコなのに、何故か僕にはお声がかかりません…… 何故だ…… いや、飛べないから呼ばれないんだけどね……


でも、香織ちゃんは仲間に入れてもらってる……不公平よっ! ガルだって自力じゃ飛べないはず何だけど『フライングディスプレイマント』(次からは略してFDマントと呼ぼう)と言うマジックアイテムで飛んでる……(ずる)いわ!


魔法、アイテム、ポーション共に飛行速度は、地上の全力疾走と同程度らしい。


しかしなんて速さだ……100m5秒くらいじゃねぇか?

そりゃ ガルに遅いって言われる訳だ……


この場にいても、なんか楽しく無いし、人物観察しながら散歩をすることにする。


「第1レベル呪文……レベルサーチ」 うわっガル以外 皆レベル2だよ…… 仲良しになる訳だな。


ってガルってなんだか、幼稚園児に紛れて本気で遊んでいる大人みたいだな……恥ずかしく無いのかな。


他の場所に行こう。



◇魔法の実習場◇


ほほう、今はAクラスが魔法の実習か……生徒12人がレベル1で1人がレベル2か……

どれどれ、使い魔は……むっ! レベル5が1人いるだと!?

白い6枚の翼を持った名前は知らんけど、要注意だ。


何せ、『ガル』『真』に続いて3人目だからな。

後は……レベル2が2人か……あのでかい巨人使い魔はレベル2なのか……見かけ倒しで笑える。


後はレベル3が いっぱいいるっと……


他へ行こう。



◇Bクラスの教室◇


ここは、使い魔がいなくて生徒だけだった。

しかし30人もいるのに、レベル2が1人で、後はレベル1とはな、まぁ17歳の少年少女だからね。


因みにBクラスの担任もレベル2だった。

はい、このクラスに興味なし!


そうだ、リリスたんのレベルも覗いてみよう!

あの子なら初のレベル0もあり得る……見に行こう。



◇Cクラスの教室◇



うん? 何故か年増先生がいない……いや大事なとこは、そんな事じゃない。

僕のリリスたんが3人の生徒に囲まれ涙目になってる……虐めの現場だ、すぐに駆けつけたいが、少々盗み聞きをしよう。



「おい、リリス!最近おまえ調子に乗ってないか?」

「リリスはリリスらしく隅っこで、泣いてれば良いんだよ!」

「ガルって、スゲー使い魔出したからって生意気になったよな?あ?」


あれ?僕の名前は?

他の生徒達は黙認してるが、迷惑そうな顔をしている。

少し安心した。



「よし、先生もいねぇ事だし、自分の立場ってのをわからせてやるよ……ギッ?ガッ……!?」


ついに我慢出来なくなったので、1人の生徒(次からは小僧と呼ぼう)の頭を掴んで持ち上げる。


「はい、凄くない使い魔登場」


「ランディ……」リリスたんが、潤んだ瞳で笑顔をこちらに向ける。

リリスたん、そんな顔で僕を見るなよ……力が入るじゃないか……ギリギリ……


「い、痛い! 痛い! やめろ!やめでぐれ……」


2人の小僧達が「おい何するんだよ! 3対1で勝てると思ってるのか?」

小僧共が僕の足を蹴りだす。


しかし、蹴られる瞬間に力を入れるだけで、カウンターになる程の稚拙な蹴りだった。


「痛っ……なんだアイツの脚は……鉄で出来てるのか……」


お前らが弱過ぎなんですよ……これなら半月の間、みっちり修行したリリスたんの方が強いぞ。


「さて、お前には明日から隅っこで泣いてる人生を過ごして貰うか……」


とりあえず、唾を思いきり吹いてみる。

チッ!


「うわっ?! 目がい、痛い、目が見えない!」


元は唾だから、すぐ見えるようになるさ。


子供相手に本気は出せないから、ビンタの一発でもお見舞いするか……

「おい、小僧……これで反省しなかったら次は歯を折るぞ」


そして、返事を待たずにビンタのをかました。

バチン!!


ビンタされた小僧はは壁に激突して、気を失ってしまった。


そして、足が痛くなったせいか、パンチに切り替えた小僧の腕を掴み、背中に捻り上げる。

ゴキン……「うぎゃゃゃゃ」


あっ加減間違えた……やり直し、やり直し……

すぐさまはんたいの腕を掴み捻り上げる。

ゴキン……「ぐぎゃゃゃゃゃ」


ダメだコイツ弱すぎです……とりあえずビンタ……

バチン!!


コイツも壁に激突して、気を失ってしまった。


最後の1人は顔をひきつらせながらも、食って掛かる。

「お、おいリリスの使い魔! こんな事していいと思ってるのか?」


「その前に僕から聞こう……お前、リリスたんを虐めてこの程度で済むと思ってるのか?」

気絶した小僧共を指差す。


「ゴギュ……わ、わかった。謝る……す、すまん」と僕に、謝ってきた。


「お前、謝る相手が違うだろ?」

今度こそ上手く加減出来たパンチがみぞおちにめり込む。


「ぐぼぅ、ゲホッゲホッ リ、リリス……ごめんなさい……」


「ううん……もういいよ……」

しまった……クラス中はおろか、リリスたんまで ビビらせてしまったみたいだ……


邪魔者は去るか……

「リリスたん、また虐められたら僕に言うんだよ」

わざとらしく大きめな声でリリスたんに話した。


気絶してる2人何処かで休ませよう……邪魔だからね。

「じゃこの2人はガルに見て貰うから」

と言って教室を後にした。




~~そして、Cクラスの生徒達は、今後いっさい、リリスを虐めることはなかったと言う。~~




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


◇リリスの家の前◇ 夕方



リリスの家の前で、2人の女性が、キャンキャン吠えていた。


あまりの煩さに、興味をそそられたのか、ランディ、ガル、香織が何事かと見に行く事に……


すると、昼頃にランディがビンタで気絶させた虐めっ子2人とその母親が来ていて、リリスの母親にキャンキャン吠えていた。



「あれ?ランディが廊下に捨ててた奴らだろ? 脱臼治してやったのに……恩知らずだな……」


ランディがボソボソ喋る。

「脱臼させたの僕だしな……流石にそれは……」


ランディは、リリスの母親が困っているのを見かねて、居場所を交代した。

「お母さん、僕が相手をしますので、下がっていてください」


ランディの言葉で、引き下がったリリスの母親は、部屋まで行かず、ガル達と同じように、ランディの様子を伺う事にしたようだ。


2人の虐めっ子の母親はランディをみるなり、「あら、あなたがうちの子に暴行をしたの?どういうつもり? 」

「うちの子も腕と首が痛いって泣いて帰ってきたのよ! あぁ……可愛そうに……」


虐めっ子2人は 首にコルセットの様な物を巻いていた。


ランディが2人を見つめると、ばつが悪そうに目を逸らす……


ランディはここで呪文を唱えた。

「第4レベル呪文……テレパシー」


ランディはテレパシーの呪文を使った。


「ちょっとそこの使い魔! ブツブツ言っていないで私達の話を聞きなさい!どういうつもりなの!」


ランディはやれやれといった感じで答える。

「簡単に言いますと、虐められていた主を助けただけですが? 」


「そんなの嘘に決まってるわ! 言い訳しないでっ!」(そんなの嘘に決まってるわ!言い訳しないでっ!)

ランディには、頭と耳から同時に同じ言葉が入ってくる。


「実際、虐めの現場は僕とクラスメイト全員が見てます、追及すれば過去の虐めも相当発覚するでしょう……なあ、お前ら!」

ランディ珍しく虐めっ子達に凄む、そう、ランディは怒っていたのだった。



ランディの後ろにいる、覗きの一団がボソボソ話している。

「ランディ、怒ると恐いね……」

「でも、ランディまだ本気じゃないよね?」

「ああ、ランディは本気で怒ると自分を、『僕』から『俺』に呼び方が変わる……だから、『ちょっと怒ったよ』程度だ」



「ちょっと うちの子を脅さないでよっ! それよりどう責任とってくれるのっ?」


ランディは怒りより、呆れの色が濃い表情で、「責任? そんなのあるんですか?」



ランディの対応に母親達もヒートアップする。

「まあ! うちの子にこれだけの事をしておいて、責任が無いわけ無いでしょっ!」


キーキー煩く囀ずる母親達……


「では、どんな対応をすれば?」


「まっ そんな事もわからないの? つくづく無能な使い魔ねっ いいわ、先ずあなたと、主が土下座をしなさい。そしてうちの子の心と体の治療費を頂きますわ……金貨二枚が相場かしら……」



覗き見していたリリスの母親は、金貨二枚と聞いて、蒼白になっていた。

リリスの家では金貨二枚は飛び抜けて大金だったのだ。



「話は解りました。では そのようにいたしましょう……」


鼻を膨らませながら一息つく母親達……


「しかし、僕の主を虐めた責任を取ってからにしてもらいますよ?」


「な、何を言ってるのこの使い魔は……」

母親達も、ランディの気配が異様な事に気付いた。


「おい、小僧! 今までリリスたん……主をどのくらい虐待したか言ってみろ……いや、言わなくていい。考えろ!」


ランディは、虐めっ子等の頭をテレパシーで覗く。



このランディのテレパシーは、頭の中で会話するには有効だが、人の心を読むにはいくつか制約があった。

それは、精神抵抗力の有る者、レベルがそこそこ高い者、あまり考えない者は、ランディでも読むことが出来なかった。


しかし、虐めっ子達は、そのどれにも当てはまらなかった。



「ほぼ毎日4人~8人位で寄って集って泥玉を投げつけた。それと、『落ちこぼれリリス』『人間族のリリス』『捨て子のリリス』と誹謗中傷。なに? 落第したら奴隷にして裸にする? ある時は、クラスメイトを先導して一斉に無視……そしてミスをすれば笑い者か、ん? 僕が怖い? そんな事無いだろ……たかだか君達の心を覗いただけだよ……」


少年達は脂汗を滴ながら、ただただ震えていた。


「そんなのでまかせよ! そんな事するはず無いじゃ無いの……」

母親達はなおも強気で答えた。


「なら、直接聞いてみたら? 僕の前で嘘がつけるんならなぁ!」

ランディの凄みが増してくる。


少年は、ランディの前で縮こまり 喋らない……


母親達は子供達の沈黙に、何かあると考え、「そうよ、この使い魔に脅されているのね、きっとそうよ……」

力なく答えた母親達は、自分に都合の良い方向に考えをねじ曲げた。


「ところで、この責任どうしてくれましょう……主を虐めから守っただけで、土下座と金貨二枚……ならあなた達 母子には、両腕切断に金貨100枚位が妥当でしょうか…… さあ、そちらの筋を通したいなら、あなた方は何をすればいいか判りますね?」


ランディは無意識に『威圧的レベル1』を発動してしまった。


呼吸困難に陥る母子達……ランディの威圧は相手を選べないので、リリスやその母親も恐怖を覚えた。


ランディも威圧したのに気付いたようで、慌てて威圧を解除した。



威圧が解けると「き、今日の所はこれで帰ります。けど覚えていなさい……」

母親達は、強気で答えようとしたが、言葉に力はなかった。


そして、虐めっ子とその母親達は帰っていった。


ランディのやり取りをずっと見ていた香織、リリス、リリスの母親はほぅっと一息、しかしこの時一緒に覗いていたはずのガルの姿はなかった。




◇ある林に囲まれた 薄暗い道◇



「何なの、あの使い魔わっ! 本当生意気ねっ! 出たての使い魔風情が調子に乗っちゃってムカつくわねっ」


などと罵詈雑言を並べ立てていた。


「こうなったら、私の使い魔と主人の使い魔を呼びましょ」

「そうね、うちの子使い魔も呼びましょう、みんなで力を合わせてもう一度抗議するのよ……きゃぁ」


「キャァ!」「うわっ!」「うわぁぁ!」



突然足を取られ、逆さまになって、つり上がる4人。


暗闇の中から声が聞こえる。

「オイオイ、3重のトラップを用意したのに、4人とも、最初のトラップに掛かるなんて、仕掛けがいの無い奴らだな」


「何?! 誰よあなた! 早くこの縄を解きなさい!こんな事をして、無事に済むと思っているの!」


煩い母親の言葉を無視しながら、「俺はランディほど優しくないぞ……」

暗闇から、出てきたのはガルであった。


「何なのあなたは?私達に何をするつもりなの?」


またしてもガルは、母親の言葉を無視するかの様に振る舞う……そして、ポーズを決めながら「我主リリスが使い魔……魔剣ガルだ!」


「……」「……」「……」「……」

初めは無言だった母親も気を取り直して、「こんな事をして今に後悔するわよ! 早く下ろしなさい!」


「わかったわかった、下ろしますよ、身体の自由を奪ってからね……」


ここから、ガルの常識教育と言う名の拷問が始まった。

最初は『止めなさい!』の強気だった言葉は、『やめてください』に変わり、『許してください』『私が悪かったんですもうしません』と変化していき、『死なせてください』『殺してくれぇ』


「いやいや、納得するまで帰しませんよ頭で判っててもダメなんだよ、心で理解するんだ! 子供等は修了したが、ついでに聞いててくれ。次は第68章『モラルとは』だ。くどくど、くどくど、くどくど、くどくど」

正座をさせられたまま、体の自由を奪われた4人……夜通し説教をされる母親達、それに巻き込まれている子供達……



そして、4人は、2~3日間『無抵抗の人、虐めない』『モラルの遵守』『嘘はヨクナイ』『人助けする』『ガル様カッコイイ』とずっと呟いていたと言う。



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