34#最初の襲撃
◇シラネの町での 滞在最終日◇ ランディ視点
高確率で、夜襲があると思われるので、ガルと香織ちゃん3人で、見張をする事にした。
なぜ、香織ちゃんもいるかと言うと……僕とガルの悪巧み、何故か香織ちゃんにバレていました。
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「ねぇ ランディ、私に隠してる事ない?」
勿論 僕の答えは決まっていた……
「はい、あります」
「どんな?」
「餌を撒き撒きしたので、野盗と1戦ぶちかまそうかと……」
「はい、正直でよろしい! もう、ガルさんが来てからランディは問題児になったわね……」
あれ、僕と香織ちゃんの間柄って こんな感じだっけ? むしろ、ガルが来てから、香織ちゃん精神的に強くなったよ。
香織ちゃんは疑問を投げ掛ける。
「どうして、皆で退治しないの?」
突然ニュッと、ガルがでてきた。
「真たちは、人殺しをしたことがないからさ」
ビクッ……ドキドキ
あぁビックリした、僕って他人の気配に敏感だから、いきなり出てくるガルには、まじビックリするんだけど……
あっ香織ちゃんもひきつってる……
驚いたんだな……
「だから 念のため、俺とランディでやっちまおうかとな、」
「私も参加する!」
「「いいのか?」」
あっガルとハモった……
「大丈夫、ランディの役に立つんだから! こう見えても私、ランディと会うまでは殺し屋をしてたのよたくさん殺したのよ」
うひゃ~ 惚れ直しましたよ、香織ちゃん……
あっ待って待って、僕も人殺しは抵抗あると思うの……
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と言うことで、僕は1人で見張り番をしている……
あっ警備員さん達もいました、1人じゃなかったです。
ガルと香織ちゃんは 隠れてどこかに潜んでます。
香織ちゃんには、保険として、『硬皮』『オグルパワー』『プロテクションフロムノーマルミサイル』をかけておきましたが、 時間内に敵襲あるかなぁ……
敵襲は唐突にやって来た。
気付いた時には弓矢の雨を受けていた。
僕は普通に無傷だが、警備員達も幸い、装甲の堅い部分に矢が当たり無事だった。
警備員が控えている援軍を呼ぶために笛を鳴らす
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃ」
余り大きな音は出ていなかったが、起きていれば気付くだろう。
さらに連続で 弓矢の雨が降る…… 警備員達は急いで物陰に隠れるが、今度は4人の警備員の内、2名が軽傷を負った。
くっ ガルが 何処に居るかわからない以上持ち場は離れられない……もう少し様子を見よう……
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ここは、警備員達とランディが見張りをしている場所から、約80m程離れた建物の屋上。
10人の弓術師と1人の指揮官が ランディ達を 遠距離攻撃の的にしていた。
「ようし、良いぞぉ、このまま矢を連射しろ! 近くに当てるだけで良いからな……あとは、暗殺部隊が仕上げをしてくれる……」
指揮官が話終わった時、実は10人いた弓術師は6人になっていた。
「ん? 誰か休憩してるのか? 休むなよ!」
ドス!ドス! 今度は、指揮官の一番近くにいた弓術師2人が、突然倒れる……
暗闇が仇になって、弓術師達は周りで何が起きているか、わかっていない……
「おい! 何があった? どうした?」
指揮官は 倒れている弓術師の1人を抱き上げた。
弓術師の額はボウガンの矢で撃ち抜かれ、即死していた。
「ひっ、な、何が起こったんだ……」
ドス!ドス!
また近くで人の倒れた音がした。
「ひっ……こ、攻撃中止だ、いったん私の所にみんな来るんだ!」
しかし呼び掛けに応じた弓術師は たった2人だけであった。
「2人!? たった2人だと?」
指揮官の怯えた叫びに意味のわかっていない弓術師たち……
ドス!ドス! 「ぐぁ」「ぎゃっ」
今度は 額ではなく、左胸辺りにボウガンの矢が突き刺さる……
「だ、誰だ! 」
無闇に剣を振り回す指揮官。
そんな指揮官に 何者かの声が聞こえる。
「はぁ~~ 狙撃手を狙撃するって、最高に気持ちいいな、そう思わないか?」
「何者だ!」
声のする方に剣を向ける指揮官。
「何者って……暗殺者でーす……」
「く、来るなぁぁ!」
剣を振り回す指揮官……
「そ、そうだ 依頼主の名前を教える……だ、だから、助けてくれ……アウッ」
「今、毒の付いたナイフを刺した、解毒したければ依頼主の所まで案内しろ……本物だったら解毒してやる……」
「わ、わかった、案内するから早く 解毒をしてくれ……」
「ん?俺の名か? 俺は魔剣ガルだ」
「そんなの誰も聞いて……ぎゃぁぁ 」
そんなやり取りの後、この場から誰もいなくなった。
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弓矢の攻撃が止んだな…… 狙撃ポイントを変えるか? それとも、不意打ちの乱戦に持ち込むか?
少し考えたが、数名の気配を感じとり、乱戦狙いだとわかった。
しかも、警備員が笛で呼んだはずの 援軍が来ない……
恐らく襲撃1番目は、援軍の詰所を襲われたのかもしれない。
相手の気配はするのだが!なかなか襲ってこない、
どうやら暗殺目的かも……ん? 気配が減った気がする
気配だけじゃよくわからないな……
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6名の暗殺者は 敵の様子を伺い 必殺の
瞬間を待っていた。
そのうちの1人の首がいきなり裂け大量の血を流して、そのまま血の海に沈んだ。
血の海の側に、急に人影が浮かぶ……
その人影とは、香織であった。
「発動 "闇衣"」
香織の姿は忽然と消える……
「攻撃行動をすると、姿が見えちゃうのよね……」
と、小声でつぶやき、どこかに移動した。
暗殺者の音の無い、号令で動き出した時には、6人いた暗殺者たちは、3人にまで減っていた。
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来た!3人…… 思ったより少ないな……
警備員はもろに不意打ちを受けたな……教えて上げれば良かったか……
僕に来たやつは、新しいメイスで4回殴ったら、グッタリしたので、マッタリ……じゃなくて、救援しなくちゃ……………………
はぁはぁ 此方ランディ、突撃部隊3人制圧完了です。
目の前の警備員達、かなりの手傷を受けてしまっている……
「第2レベル呪文……ライトヒールサークル」
警備員達は 全員完全回復をして、驚いている……
報酬として、後で美味しい食べ物でも調達してもらおう。
一騒動の後、香織ちゃんと合流したけど、ガルとは会えずじまいだった。
まあ、ガルなら大丈夫だろう、今日戦ってわかったんだけど、ここの人間の強さは全くたいした事が無い。
危なく、アクビが出るところだった。
今夜は、仲良くなった警備員達と、おしゃべりしながら、 寝ずの番をした。
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翌朝、真達が昨晩の騒ぎを知って、参加したかったと口々から抗議されたが、 相手は人間、人殺しはそれなりの覚悟がいるぞ と 軽く脅しておいた。
僕は昨晩は殺しはしてないんだけどね~。
ブライアンだけは、悪人に限りいざとなったら殺ると言っていた。
このパーティは 戦闘力だけなら真が一番かもしれないが、人としての強さはブライアンかもしれないな、と思った。
丁度みんなが、ガルの心配をし出したあたりに、ガルが ニコニコと笑顔で帰ってきた。
話を聞くと、昨晩の襲撃の主犯を やっつけて来たとの事。
戦利品をひろげ、みんなに、プレゼントしてくれるらしい……
戦利品は『遠見の筒』×2 『伸縮バック』 『エルフィンボウ』 『宝石商の義眼』があった。
僕なりに訳すと、『望遠鏡』『丈夫なゴム製の入れ物』『綺麗で威力のある大弓』『宝石の価値がわかるレンズ』だ。
望遠鏡をひとつだけ、香織ちゃんに貰い、あとは、ブライアン達の物にした。
さあ、昨晩仲良くなった警備員達から、お土産も頂いたし……
セリア村へ出発だ。
みんなは、笑顔でシラネの町を出発したが、ランディ達は、数ある危機の1つを 回避したにすぎない。




