31#地下迷宮 B4
地下4階に降りると、 ガルが何かを感じ取ったのか、香織ちゃんに話しかけた。
「香織ちゃん、真と交代ね」
「えっ?なんで?」
納得のいかない感じで聞き直す香織ちゃん。
「香織ちゃんの戦いを見て、ランディの役に立つのは判ったから、次は後ろで見て勉強」
「うん……わかったわ」
どうやら納得のしたようだ。
ガルの話術もなかなかですね。
香織ちゃんと、真が入れ替わった。
地下4階は、武装した『スケルトン』と 粘着製の糸を吐く『ジャイアントスパイダー』この2種類だけで、こいつらの連携攻撃に前回のブライアン達はてこずったらしい。
封印の宝箱を探しながら、通路や部屋を見る。
地下4階は有限なのか、以前ブライアンが調べた所は何もいない。
マッピングはしてあったので、調べていない所を歩くことにした。
マーニャがランディに、
「お兄ちゃん、この迷宮は私がマッピングしたのよ、綺麗でしょ? 」
1つの扉を開けると 『スケルトン』3体に『ジャイアントスパイダー』2体と 出会った。
戦闘開始だ。
~敵プロフィール~
スケルトン レベル3
HP 120*135*151
装備
木製の小盾
錆びた剣
剣術〈F〉
攻撃回避〈D〉
ジャイアントスパイダー レベル5
HP 201*244
噛みつき〈F〉
高速移動〈F〉
備考 粘着質の糸を吐く
「死に属する者よ 無に帰れ!」3体のスケルトンは剣と盾を残し灰になった。
もう 連携はできないな……
後ろの『ジャイアントスパイダー』に弓矢とダガーが刺さる。
しかし相手はものともせず、僕とブライアンに糸を吐く。
ブライアンの剣に糸が絡まる……僕は糸を避けて、『ジャイアントスパイダー』に接近戦に持ち込む。
「硬刃水!」
後ろから声が聞こえたと ほぼ同時に真の攻撃魔法が、1体の『ジャイアントスパイダー』に炸裂した。
なんと、敵は一撃で倒れてしまった。
後は、僕の相手の個体だけだ。
『ジャイアントスパイダー』はジャンプして飛びかかって来た。
あんまりワンパターンだと 僕が油断していまいそうだからやだな……
空中で大蜘蛛を叩き落とす、相手は巧く着地して糸を吐く。
糸は左腕に絡まる……
「ランディ!」
「お兄ちゃん!」
この程度で騒ぎ過ぎですよ、2人とも。
『ジャイアントスパイダー』は糸を手繰り寄せながら噛みつき攻撃をする。
そんな大蜘蛛の頭部目掛けて、メイス一撃…… ドカン! ん~ 蜘蛛はなんかスローモーだな、もう一発 バコン!
『ジャイアントスパイダー』は糸を離し、一旦距離を取ってジャンプ攻撃、そんな隙だらけの大蜘蛛にメイスで たたき上げ、不時着寸前の相手に改心の一撃を与える。ドン!!
暫くバタバタともがいていたが、息を引き取った。
うん、時間はブライアンよりかかるが、これが僕の 呪文抜きの戦い方だ。
無茶な対抗心を持つのは止めよう。
その後、みんなで小箱の回収をする、中にはかなり小さい宝石類、コイン、砂金等が入っていた。
「ねぇ、8人で分けるの大変だよね?」
呆れたように答えるマーニャ
「ユリウス、ばかね……2チームいるんだから、半々にすれば良いのよ」
ここで僕は問う。
「半々にすると僕らの取り分多いよね」
「えっ? 4対4で 同じだよお兄ちゃん」
「ちょっとマーニャ!4対4って 計算おかしくないか? 」
「もう ブライまで……ブライにユリウス、真にお姉ちゃん、ねっ、4人でしょ?」
「まさかもう1チームは……」
「お兄ちゃん、ガルさん、香織さんに私。
ね、ぴったりでしょ?」
……まさか これからずっと付いてくるなんて言わないよな……
慕われるのはうれしいが微妙に迷惑……
その後、5部屋ほど渡り歩いて計6個の小箱を手にいれて、みんなに笑顔が灯る。
当初の目的忘れてませんか?
次の部屋に入ると、2体の2m級スケルトンが立ちはだかっている。
スケルトンの後ろには『銀』で出来た宝箱がある。
今まで集めていた小箱より大きい。
みんなに緊張が走る……ブライアン達の表情を見て判った。
これが封印の宝箱か……
ブライアンが後に振り向き、
「みんな、ここからは気を引き締めて、慎重に……」
僕は先走った。
「死に属する者よ、無に帰れ!」
サラサラサラサラ…………灰になった。
フライングした僕に、口を開けたままのブライアン。
「…………慎重に、慎重に箱を開けよう」
ズッコケる ユリウス、マーニャと里美だった。
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現在、銀の宝箱を囲みながら 打ち合わせをしている。
まず、出てくるのは3m級の『スケルトン』が10体、 動きが速い上に、力もある。
こちらが動かないかぎり、スケルトンも動かないといった利点もある。
次に6体の『ミノタウロス』 スケルトン並みに強い上に、守りに入ったミノタウロスは かなりの魔法防御を誇っているらしい。
真の『硬刃水』も耐えしのぐほどだとか。
その次は 3人の魔族 何も見えない所から不意打ちをかけてくるとか、厄介だな……
しかも、物理攻撃と魔法攻撃にも耐性があるみたいで、真の『魔破クラス』でやっと傷を付けられたといっていた。
戦いの結果、真は重傷、他はみな瀕死までになったと、僕はこの後から来たんだものな。
真は、同じパターンでも苦戦しそうなのに、もっと強かったらどうしようと不安がっている。
「アーデル、ミノタウロスはわからないが、スケルトンは回りを囲む様に出てきた、アーデルの魔法で一気に殲滅は難しいぞ」
う~ん 色々対策を考えてみる……2、3案が浮かんだか、一番面白そうな作戦にしよう。
早速 実験開始しよう。
親指の爪で小物入れのひとつを弾く……ボン! 小物入れは30×40cmのバックパックになった。
バックパックからひとつのペットボトルを取り出した。
取り出したのは、『フライングポーション』そして 一気に飲み干す…………飛び方がわからないぞ……ガルを見る。
「ランディ イメージだイメージするんだ!」
ガルのアバウト過ぎな説明……
他のみんなは、僕が何をしようとしてるかわかっていないようだ。
しかしイメージってどうするの?
……
……
……
よし、頭の中にコントローラーをイメージしよう。
ふわっ 僕の体はゆっくりと空中に浮いた、
「おおっ?!」
「うわー」×6 みんなも驚いてくれる。
これは便利なポーションだ、今の僕には生産する術が無い、のこり149個、大切に使おう。
ゆっくりと、降りて地面に到着する。
「お兄ちゃん、今の何?今の何?」
「ランディ、私もやってみたい……」
おねだり顔のマーニャと香織ちゃん。
仕方ないなあ……「2人とも、村に帰ってからね、よし! 準備完了。ガル、開けてみよう」
「よしきた!」ガチガチ、ガチャ。
銀の宝箱のなかには、宝石類が多数入っていた。
「アルマンダイン、パイローブ、月長石、カルセドニ、インディゴライトか、あまり高価じゃないが、珍しい宝石が沢山あるな」
ほう、流石 トレジャーハンターのガル。
鑑定も お手の物ですか、と関心していたら床が光だしていて、魔方陣を作り上げていた。
光が部屋全体に広がっていく、かなり眩しい……
目が眩んでいると、急に光が消える……
辺りが見えるようになってきた。
この場所は かなり広い作りになっている、まるで大広間のようだ。
推定 縦、横100m四方で 高さは10mは余裕で有るだろう。
そして この部屋は何故か明るい、部屋の壁まで見渡せる。
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周囲には10体の3mはありそうな巨大なスケルトンが大剣を装備して取り囲んでいる。
「真、よろしくな」
ランディが真に話す。
そしてランディはゆっくりと歩き出す。
ランディにつられるかの様に3m級のスケルトンもランディに向かって歩き出す。
ランディの作戦とはいったい何なのか……固唾を飲む真達。
『巨大スケルトン』『ミノタウロス』『魔族』
強敵達との連戦が始まろうとしている。




