異世界コラボ 1#異世界無能者
笠平様の作品『異世界無能者』 とのコラボです。
興味が無い方は、そのまま30話に飛んでください。
違和感のほとんど無いようにしてあります。
真視点
小さな宝箱に、表札の様に書かれている『笠平殿』の三文字。
怪しい……怪しすぎる。
この異世界で日本語のプレートなんて、まずあり得ない。
もし開けたら、元の世界に戻るんじゃないだろうか……
みんなを見ると脂汗を流してる、僕と同じ考えの様だ。
いや、マーニャだけ違う。
少女漫画の様に瞳が輝いている……マーニャを見てると、嫌な予感しかしない。
マーニャが宝箱に触れようとする。
「どんな罠が有るのかなぁ……ドキドキ」
確信犯かよ! マーニャに近いのは……ブライとユリウスだ。
僕は里美と手を繋ぎ
「ブライ、ユリウス!マーニャを止めて!」
「ま、まて、待つんだマーニャ」
ブライアンが、慌ててマーニャに駆け寄る。
「爆発のトラップだったらどうするんだよ!」
ユリウスも慌ててマーニャを止めに入る。
「大丈夫、大丈夫、きっと名前からしてヘンテコな罠よ」
だから、罠とわかって開けるなよ……
ランディさんは……駄目だ、マーニャと同じ瞳をしてる……マーニャがいなかったら、きっとランディさんが同じ事をしていたかも……
「何が出るかなぁ」
ブライ、ユリウス間に合ってくれ……
ガチャ、パカリ……ピカッ!
宝箱が光った、転送のトラップと同じだ。
今度は、『笠平殿』って魔族が出るのか?
「不味い!次元転移だ」
あのガルさんが動揺している、危険な罠に違いない。
「ブライアン、真、いつか戻れるから、死ぬんじゃ無いぞ、此方は大丈夫! 『フィンガースネークバインド!』」
ガルさんの指が 蛇になって、ランディさんと香織さんに絡み付く……ひえぇぇ
「き、きゃあぁ!」
香織さんは悲鳴を上げてる。僕だって悲鳴を上げたかもしれないよ。
あれは正直恐い。
光が、全体を包んで何も見えない……
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私は今、やっておきたい事がある。
そう、実行に移さねばならない……
他の先生方や 校長先生には悪いが、本日計画を実行に移すときが来た。
今まで大切に保管していた、最高級のウイスキー 『ナポレオン21世』、そして極秘に入手した 富士山の雪解け水と 南極の氷 ……
ついに飲む日が 来たのだ……
緊張するな……では「いただき……ん?」
キーーーーーン! ガッシャーン!!
「うわぁっ! 何なのだぁ~」
今までお酒が有った筈のテーブルの上に 抱き合う若い男女の姿があった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ! 私のお酒ぇぇぇぇ!」
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「君達はいったい、どういうつもりなのかね?
突然出て来て、そして教頭である私の目の前で、不埒な行為……しかも 、しかもだよ 私の秘蔵の酒に、もう2度と手に入らない程の貴重な 水と氷……君達は私にどんな怨みがあって…………コホン、それより 学年とクラス、名前を言いなさい、中型四獣の巣にぶちこんで……おや? 君達はうちの生徒じゃないね? わかるなら事情を説明してもらおう」
その時、教頭である僕は、報告で伝え聞いていた、校長のあの言葉を思い出した。
『近々もう一波乱あるだろう イレギュラーな来訪者が穴を抉じ開けようとしている』
「いや、私から聞こう。君達はこの世界の人間では無いのだね?なんの為に此処にやってきたのだ?」
先程からマシンガンの様に喋る教頭に、二人……『真』と『里美』は抱き合う姿勢を崩さずに、
ただ、ただ、教頭の話を聞いているだけだった。
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時はほぼ同時刻
エーム連合直下・特殊戦技高等学院 二年次のCクラス。
そのCクラス 下位6名は 予想外の窮地に陥っていた。
突然の異変により、学院生はほぼ、中型四獣と呼ばれる 強敵討伐に乗り出していた。
一年次は 多数の生徒が命を落としたと言う……
今回は、中型四獣多発の為に、疎かになっていた、小型四獣の巣を殲滅目的で ここまで来た。
初めは 自分達の成績が芳しくないせいで、小型四獣の殲滅作戦に少なからず愚痴を洩らしていたが、
巣の奥まで足を運んだ時、自分達の考えの甘さに気づいた。
此処は、小型四獣の巣が 点在し密集している。『グランドコロニー』だった。
竜種がいないのは救いだが、
想像もつかない数々の四獣に戦慄を覚える。
去年のクラス対抗戦を思い出す……あの時も死者が出た。
今回は俺達の番かもしれない。
そんな予感かした。
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ランディ視点
どうやら 『次元転送』のトラップだったようだ。
何故わかるかって? ガルに教えてもらったからだ。
香織ちゃんが青い顔をして、ガルを見ている。
ガルの指が蛇に変化した。
香織ちゃんさぞや恐かっただろう。
僕は、驚きより懐かしさを感じた。
きっと ガルがちょくちょく使っていたのかな。
ん? 今、僕が立っている場所から、時計で2時の方向に何かあるようだ。
「ガル!」
「ああ、興味が有る、行ってみよう」
「ねぇねぇ2人とも、何か見えるの?」
香織ちゃんには、まだ見えないか……
3人で軽く走り出す。
怪獣? そんな感じのモンスターが何かに群がるように進んでいる……
ガルが「人間が襲われてる……いや戦ってる! 」
さすがガル……僕より目が良いのか……
とりあえず、進もう……
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やはり多勢に無勢だ……半数が戦闘不能なダメージを受けて、戦線を離脱している。
ここまでか……と思ったら、目の前で爆発がおこった。
爆発の先には人間が3人やって来きている。
2人は爆発で動きの鈍った四獣達に止めを……
1人はまっすぐ自分達のところまで来た。
救援か? しかしこの状態で、たった3人でとは……たよりない人数だ。
死体の数が3つ増えるだけかもしれない……
1人ここまで来た男が喋り出す。
「第3レベル呪文……ヒールサークル」
すると、自分達6人の怪我が、一瞬にして治ってしまった。
こ、これは、新型の可念盤?!
いや、男の人をよく見ても それらしい物は持っていない……では何故……
「よく、今まで頑張った。僕は回復が出来る! 気を取り直してあの怪獣を倒そう!」
怪獣?もしかして彼らは四獣を知らない? いやそんなことはないはず……しかし、みんなで四獣を倒すのが先だ。
「心強い援軍が来た、もう怖くないぞ!みんな、行くぞ!」
「「「おー!」」」
心にも無いことを言ったが、皆が立ち上がれるなら、いくらでも嘘を付こう。
疑問は生き残ったら聞けばいい。
「第3レベル呪文……ゴージャスブレス」
なんだ? 力が溢れる…… あの人はいったい……
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ランディ視点
信じらない……年端もいかない子供達が、怪獣の群と戦っている。
マーニャと変わらない年頃の子達が……
数で圧倒的に負けているが、個々の能力では、怪獣のはるか上をいってる……
まさか、めちゃくちゃ強い人間達が居る異世界なのかな……なんか嫌だ……
香織ちゃんは、ガルから『マジックミサイル』と『ファイヤーボール』のスクロールを貰ったらしい。
スクロールがあれば、スクロール1枚につき1回だけ、低レベルのマジックユーザー呪文が唱えられるらしいのだ。
香織「大気中の酸素よ、我が魔力と交じり合い爆炎の刃と化せ……ファイヤーボール」
香織ちゃんの『ファイヤーボール』で死ぬ怪獣は殆ど居ない。
しかし、動きは鈍くなり次の攻撃の的になる。
「魔法の矢よ 敵を射て……マジックミサイル」
3つの光の弾が怪獣目掛けて飛ぶ……
魔法の連続攻撃の前に怪獣は命を落とした。
中々タフな怪獣だな……しかし、もっと驚くのは、6人の少年達は マジックアイテムひとつで、あの強さか……もしかして危険な異世界にき来てしまったか……
~~6人の少年達にたった3人の加勢……だが それはとてつもない加勢だった。
1人は『ファイヤーボール』で敵の生命力を削り、
もう1人は 6人の連携を崩しそうな四獣に一撃で殺し、
さらに1人は、傷つく6人を瞬く間に回復する……
絶望的な戦いが、一転 時間の問題の戦いに様変わりしていた。~~
ランディこと僕は、実は……あまり活躍していない…… ちょくちょく回復魔法は掛けるが、 その頻度が、みるみるうちに減って行く。
ガルが、美味しい所で、一撃で相手のバランスを崩す……そして、6人の若者達……彼らは 一時間前と動きが違う。
個々の力、連携力、 薄皮であるが、一皮剥けていった、少年達の成長する様は 眩しい……
はっ?!僕、今 おじさん臭くなかった?
そして、怪獣が最後の一匹に為った時「最後は、僕に殺らせて~、僕だけ活躍してないの~」
体勢を崩す8人……僕、変なこと言った?
……
…………
………………
1人対1匹の戦いは 10分以上も続いている、どうやら彼の持つ武器では、四獣にはダメージを与えられない様だ……しかし、彼の容赦ない攻撃に四獣も成す術が無く 一方的に殴られている。
彼も自分の武器では、ダメージを与えられない……それはわかっているはずなのだが、どこかむきになっている。
6人の少年は 加勢を忘れ、その体術に驚いていた。
「ねえ、ランディ……」とうとう女の人が、声を掛ける……
すると……
「わかったよ 僕のメイスじゃ倒せませんよ! ちくしょう! 第4レベル呪文……リバース……コーズデス」
男は四獣に触れる…… 四獣は眠ったように動かなくなってしまった。
6人は不思議そうに どうなったのか聞く。
男は「僕の武器じゃ倒せないから、直接命を奪った」と言った……
驚愕する6人と1人の女。
6人の内1人が、「助けてくれてありがとうございます。学院から来た援軍ですか?」
「いや、僕達はただの迷子だ、助けられたついでに僕達を助けてくれ」
「はぁ?」×6
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「では別の世界から迷い込んだって事なんですか」
「そうなんだよ、そして困ってる所に君たちが戦ってるのを見つけたんだよ」
「あっ着きました。ここが僕達の在籍してる学院『エーム高等学院』です」
「ようこそ『エーム学院』へ!」×6




