25#激闘! 散水師 園崎 真
1人の少年が 逃げる村人と追いかけるスケルトンに向かって走っている。
その少年とは、真だった。
少年が真だと、いち早く気付いたシャルロットは、
「真君!来ちゃ駄目ぇ!!逃げてぇ!」
と大声で、叫んだ。
しかし真の足は止まらない。みるみる内に真と、スケルトンの距離が近くなっていく。
もう少しでスケルトンの射程距離に入る……
目をつむるシャルロット。
顔を背けるマーニャ。
「そ、そんな……そんなばかな……」
と呟くユリウスに 涙が溢れるシャルロット……
「アーデルは無事だよ……スケルトンを倒した……」
シャルロット「えっ?」
マーニャ「え~?」
そこには 朽ち果てたスケルトンを、振り向きもしないで、ブライアンの方に走る 真の姿があった。
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時間は少し戻り 光の門の近く……
僕は懸命に走っている、もう少しだ。
複数のスケルトンに追いかけられてる村人を見つけた。
その奥にまた複数のスケルトンが誰かに襲いかかっている。
少し走ると、その誰かは、ブライだとわかった。
ブライ……良かった、まだ生きていた。
いや……良くない、押されている……
早く助けなきゃ。
すぐに村人に襲いかかろうとしているスケルトン4体が射程距離に入った。
「今だ! 魔破 八門陣!」
訓練の成果は頭、胴、下半身、に別れた4体のスケルトンで証明された。
よし! そのままブライを助けに行こう。
ブライは3対1で押し負けて倒れそうだ。
しかも混戦状態で、攻撃の援護が出来ない、走りながら焦る……
すると、止めとばかりに1体のスケルトンが
バックステップをした。
今だっ。
「硬質水盾!」
スケルトンの攻撃は防いだ。
しかしスケルトンは高速で回り込む。
すると、スケルトンが別方向から炎の攻撃を受けた。
マーニャだな……スケルトンは標的をマーニャに変えて動き出した。
スケルトン……かなりのおバカさんですね。
よし! 今だ! 「魔破 硬刃水!」
スケルトンはマーニャに、辿り着く前に二つに分かれて倒れた。
マーニャが「魔破?! 何で真が4段階目の攻撃魔法使ってんのよ? どうなってんの? 本当に真なの?」
「彼はちゃんと真君だよぅ、たぶん……」
自信のないシャルロットだった。
僕は、そのままブライの背後に向かって走る。
「ブライ!」
「アーデル!」
「1体ずつ殺ろう」
「おう!」
背後でブライが更に話しかける。
「アーデルのパワーアップ、オレの予想以上だ。強くなってるとは何となく判ったんだけどな」
どうやら、ブライにはある程度気付かれているみたいだ、ブライはかなり負傷しているみたいたけど、1対1になったら、余裕が出てきたみたいだ。
よし、僕もやるぞ!
「魔破 硬刃水」
物凄い速度でスケルトンは横に逃げる……
は、速すぎるよ……
スケルトンの片腕がズリ落ちた。
ほっ、一応ダメージは与えてる……
しかし、スケルトンは怯まない、すぐに真の前までやって来て、攻撃態勢に入る。
「水壁!」僕が咄嗟に防御の魔法を使ってその場をしのいだ。
あ、危なかったー。
ほっとしてると、水壁を無理矢理こじ開け、スケルトンが姿を表す。
僕は、3歩下がり『水壁』で、動きの鈍ったスケルトンに、攻撃する。
「魔破 硬刃水」動きの鈍ったスケルトンは、僕の魔法をまともに受けて、倒れた。
やった……「た、倒した……ブライは?」
ブライも丁度スケルトンに止めを刺した所だった。
ユリウス達も駆け寄って来る。
「ブライ、また……回復するね、中回復」
「ああ、ありがとうシャル」
その間にマーニャが僕に掴みかかって来た。
「ちょっと真! 魔破の魔法連発するって なんなの? 本当に真?」
マーニャに頬っぺたを強く引っ張られた。
完全に和やかムードだか、まだ敵の攻撃はあるはずなんだ、僕は「皆、説明は後、新手が…… 門から来るよ、油断しないで!」
「「「えっ」」」 「真、一体どういう事?何でそんな事がわかるの?」マーニャが詰め寄る。
「マーニャ、話は後で聞こう、今のアーデルは嘘は付かない筈だ」
「うっ、うん……」
ブライは何故か僕を全面的に信用している。
だが、この場は助かるが、どうしてなんだろうか……
ブライが叫ぶ「来るぞ!」
光の門から合計6体、2mを越えた大きさの、ミノタウロスが出現した。
この威圧感……大きさは、3m級スケルトンより小さいが、恐らくスケルトンより強いはずだ。
いきなりぶちかまそう。
「ブライ、大技を使う……」
「よし!ユリウス達は後方に下がって敵の妨害! アーデルの魔法が合図だ!」
「わかった」ユリウスが頷く。
「魔破 八門陣!」 マーニャと里美がぎょっと驚く。
マーニャ「そんな魔法……文献に無いよ……」
シャル「真君……す、凄い……」
僕の『魔破 八門陣』は 前方に8つの『魔破硬刃水』を射出する魔法だ、それをミノタウロスの集団の真ん中に 発射した。
なんとミノタウロスは6体全員僕の魔法に反応した。
左右2体ずつのミノタウロスは回避を、真ん中2体のミノタウロスは腕をクロスさせて防御をした。
真ん中2体のミノタウロスは僕の魔法に耐えきって前進する。
左右のミノタウロスは1体ずつが避けきれず、倒れた。
僕の魔法を合図に、真ん中2体の傷ついたミノタウロスを、ユリウスの弓とマーニャの『火弾』で、足を停める、右の1体はブライ、左の1体は僕が引き受け立ち向かう。
もう1つの訓練の成果見せてやる!
「八門陣」バシュバシュバシュバシュ…………
ミノタウロスは防御態勢に入ってる 殆ど聞いていないみたいだが、動きは止めた……
「魔破 硬刃水 クロス!」
なんか アバ○ストラッシュクロスみたいで恥ずかしいが、 威力、速度がアップした僕のとっておきだ。
しかも、念のため相手の動きを抑えてからの攻撃…… ミノタウロスは避けられずに四つに別れて倒れた。
ブライは……互角か……いやブライが優勢みたいだ……凄いな。
ユリウス達は……逃げながら、絶え間ない攻撃をしている。
ミノタウロスは防御態勢なせいか、余り効いていないみたいだか、足止めは成功している。
急いで ユリウス達のところに行こう。
直ぐに射程距離に入ったので、後ろ斜めから、魔法をしかける。
「魔破八門陣」
ミノタウロスに強烈な水の刃が襲う……
予期していない方向からの攻撃には、耐性が無いのか、2体共僕の魔法で生き絶えたようだ。
後はブライだ。
皆、ブライの事を見守っている。
誰も、加勢に入らない。
皆、ブライの勝利を疑っていない。
そして見守る事数分、ブライは見事に皆の期待に応えた。
ブライの勝利に、皆 喜びブライアンに駆け寄る。
この時僕は、大事な事を忘れていた……そう、忘れてはいけない大事な事を……
皆がブライの名前を呼びながら駆け寄る最中、何処からか女の声がした。
「螺旋 硬刃水!」
細く鋭い水槍は、螺旋状に突き抜けブライの胸を貫いていた。




