24#狂った時間
【新異世界生活 7日目】
真視点
朝、いつも にこやかなブライが、険しい表情をしている。
どうしたの?と質問したが、いつもの顔に戻り何でもないと言う。
どうしたのかな?
食後ブライは ユリウス、マーニャ、里美を連れて、村の端にある『訓練所』に行ってしまった。
前回には無い行動だ。
でも、皆が強くなれば生存率が上がる。
良い事だよね。
僕も、桶100杯の日課と、ついでに雨を少し降らせて、森に出掛けた。
僕の使える魔法は理解した。
次の段階として、走りながら狙った場所に魔法を当てる訓練だ。
今頃気付いたんだけど、レベルアップと共に身体能力まで、上昇したみたいだ。
走っていたら 僕のイメージ以上にスイスイ 動ける。
それでも走りながらの魔法は難しく、全く狙った所に当たらない。
結局 時間をかけた割りに上達しないで終った。
少し考えよう……
そうだ!折角速く動けるのだから、サッと動いて、ピタッと待って、サッと呪文発動 するって 作戦はどうだろう……
よし、やってみるか……
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はぁはぁ 何とか物になったぞ……
あの悲惨な時を繰り返さないための訓練、思った以上に楽しい。
楽しんじゃいけないと、心のどこかで思ってるのだけど、やはり楽しい。
でも、ちゃんと真剣に訓練してるからね。
村に戻ると、ブライ達と出会った、「真君!」
早速 駆け寄る里美、ご主人様を見つけた仔犬みたいで、にやっとする。
里美が少し興奮気味に話だす。
「ブライがね、たった1日ですご~く強くなったんだよ、本当に凄いの……でも私たちも少しは強くなったんだから、明日からの迷宮探索は任せてね」
僕はブライを見る……なんか、逞しくなってないか?うん、きっとブライは強くなったに違いない。
これで、当日……『Xデー』に僕が加われば……勝てるかもしれない、ううん、絶対に勝つんだ!
ブライも遅れてやって来た。
ブライは自身ありげな表情で、右手を挙げる。
僕も、右手を挙げる……バチン!
これだけで、僕とブライはわかり会えた。
僕の大幅な成長に気づいて、ブライ自身を再度、鍛え方あげ 見事大幅なレベルアップをしてのけたのだ。
夕飯時
村長から村の周辺に雨を降らせて欲しいと頼まれた。
恐らく丸一日かかるだろう。
自分の訓練をしたい所だが、一通りイメージしていた事はマスターした。
Xデーまで、まだ日にちは有る、問題無いか……
このあと皆と和気藹々(わきあいあい)と過ごした。
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【新異世界生活 8日目】
今日は、村の周辺を村人数名と、まるで散歩でもしてるかの様に散策する。
「極地大散水」で雨を降らせる……ほとんど刈り取った『テンサボ』は雨が降ると急激に成長するらしい。
そんな感じで一日が過ぎて行く。
夕方になると、ブライ達も帰って着て、里美が迷宮での出来事を話してくれる。
地下一階には、『肉食ラット』『ジャイアントバット』『野犬』3種類が出るらしい。
特に『肉食ラット』と『ジャイアントバット』の動きが素早いらしいのだが、ブライとユリウスであっさり片付けてしまうらしい。
そこで「マーニャは何をしていたの」と、聞いてみた所、何故か里美は頬を膨らませながら、「閉鎖空間だから火はなるべく使わないって事にしたのっ」
なぜ怒っているのかわからないが、すぐに里美の機嫌は治ったいた。
【新異世界生活 9日目】
今日は、訓練の総仕上げ。
ひとつ、秘密の技を開発した。
明日1日は村でゆっくり休養を取って、Xデーの11日目に備える。
どんな手を使っても 皆と一緒に地下迷宮に行くからねっ。
帰り道 おばば と会った。
「真かい 今までお役目御苦労さん、今度はうちらが働く番だね。ちょうど一昨日 ブライアンたちが、村外れの木々を無惨に斬り倒して行ったからね。みなで整理して、蒔きにするのさ。あ~忙し、忙し」
夕飯時になると、『地下迷宮冒険記』を里美が話してくれる。
地下二階には、『スケルトン』『ゾンビ』のアンデット軍団がうようよ 出てきたらしいのだが、ブライが 玩具でも壊すかのように、バッタバッタと倒してしまったそうだ。
因みに、里美、マーニャの姉妹はやることが無く、松明係りに成り下がっていた。
続く地下三階は 『ジャイアントアント』『ジャイアントスパイダー』『ジャイアントクローラー』の巨大昆虫セットだ。
コイツら昆虫セットは、連携攻撃をしてきたらしいが、ブライ&ユリウスの連携攻撃の前には
ただの虫けら同然だったようだ。
虫だけにね……
あれ? 確か、前回はおばばも 食事に参加してなかったけか……
ものすごく気になるんだけどなぁ……勘違いかな。
【新異世界生活 10日目】
今は 村人達に 日課の桶に散水100杯プレイをしていた所だ。
これが終われば、速くも休憩時間……
あの時の出来事を思い出す。
7体の大型スケルトン…… 死骸も入れると8体か
。
その後に、6体のミノタウロスに謎の魔法使い。
不意打ちで貰った『螺旋硬刃水』に気を付けなければ……
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今日は、何故か村の外が気になる。
なぜだろう?
明日の事を考えすぎたかもしれないな、村長の家に戻ろう……何もないはずの空を、もう一度振り返る。
笑いながら何も無いじゃないか、と言うつもりだった。
しかしそこには、光がある。
村の外が光ってる。
忘れる筈もない……あの光だ。
でも何故? 時間が狂った? どこで?
考えてみても、時間が狂う要素などないはずだが……
昨日の夜、村長の家でおばば が居なかった事を思い出した。
そうだ!、前回おばば は『ジャイアントクローラー』から貴重品が出ると言っていたんだ……
その貴重品の存在を知らないブライ達は、1日分早く下層に入ってしまったのか?
なら何故?おばば は昨日、村長の家に来なかったのか……
そう、蒔き拾いが大変で来れなかったんだ……
その蒔き拾いの原因は……7日目のブライの特訓だ。
まさか、あの時の特訓が原因で、時間が丸一日も狂うなんて……
それより皆を助けに行かなければ、村の外に向かって走り出す。
1日ずれたが、歴史通りなら、ブライは地下迷宮で死んでしまう。
そして、僕がたどり着いた頃にはユリウスも死んでいる……
こんな事になるなら、今日から一緒に行動していれば良かった。
噛みしめた唇から、血が少し流れる。
ブライごめん、ごめんよう!
せめて、ユリウスは間に合わせよう!
~半泣きになって、懸命に走る真であった~
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村の出入口から、10分程歩いた距離に、大きく輝く光の門が聳立っていた。
その門から少しは離れた所にユリウス達 3人が居た。
しかしこの3人の表情は一様に暗い。
「ブライ……」誰かが呟く。
いつまで そうしていたのだろう、村人のひとりが、門の光に気付いて、ここまでやって来たのだった。
「あれ?皆さんどうしたんですか?こんなところで、それにあの光はなんですか?……あっ光の中に誰か居るみたいです」
それを聞いて、皆一斉に門を見る。
シャルロットは「ブライ」と呟く。
すると、光の門から出てきたのは血塗れのブライアンであった。
ブライアンはたった今力尽きたのか、急に足取りが悪くなった。
「「「ブライ!」」」 皆、同時に叫び駆け寄る。
「ブライのばかっ!無茶な作戦立てて……」
涙ぐむマーニャ。
「今回復するから、少し待ってて、中回復」
生き生きとして、治療するシャルロット。
「ま、まあオイラは信じてたけどな……」
こぼれた涙を見られないように背中を向けるユリウス。
先程まで満身創痍だったブライアンが息も絶え絶えに、「作戦成功、スケルトン3体も減らして来たぜ」
「それ、ホント?」先程まで泣きそうになっていたマーニャはブライアンを疑っているようだ。
「へへっ 実は何故だかわからないが、始めはスケルトン1体しか襲ってこなかったんだよ。そいつ1体でかなり手こずったけど、なんとか倒した。次は2体同時に襲ってきた、流石にもう駄目かもと思ったけど 2体のスケルトンも同じ癖が有ったから、ギリギリの所で助かったんだ……次に3体動いた時に 相手の包囲網が崩れてね、後ろも見ないで全力で走ったよ。正直、死んだなと思った時もあったよ」
そこで、シャルロットの中回復が終った。
「中回復1回じゃ、治りきらないね、もう1回、中回復!」
「ありがとうシャル」
「ううん、私の役目だもん。それより、この事 村に報告しなきゃね」
すると、村人が「あれぇ? また光の門から何か出てくるみたいですよ?」
全員 慌てて門を見る……すると、光の門から1体また1体と 巨大スケルトンが 出現してくるではないか……
「そんな……あの狭い通路をどうやって……」
ユリウスが狼狽える。
「うわぁぁぁ」村人は錯乱して村に向かって逃げ出した。
全部で7体出現した スケルトンが、逃げ出した村人に反応して、物凄い速度で追いかけ出した。
ブライアンは思う、スケルトンは強いのに思考は単純だ、俺達の方が近い位置に居るのに、逃げ出した村人に反応した、でも黙ってみてる訳にも行かない……
あと、少しで村人が追い付かれるのを妨害したのは、ブライアンだった。
ユリウス達はまるで反応出来なかった。
「ユリウス!マーニャ!シャル! バラバラになって村に危険を伝えてくれないか?」
ブライアンが話している間に、一時停止していたスケルトンが、村人に向かって4体走り出す。
残りの3体はブライアンに襲いかかってきた。
村人は捕まるのが時間の問題であろう……
ユリウス達は動揺して、その場を動けず、村人とブライアンを交互に見るだけだった。
その村人を見ていたら、その奥から此方に走ってきている小さな人影……
シャルロットが人影の正体にいち早く気付く……
「真君!」
小さな人影は、懸命に走っている真だった。
ふたたび盛り上がってきた気がします。
次回 真がついにモンスター相手に活躍するはずです。
真好きの
方は必見かな、頑張れ真 レベルアップした 真を見せてやれ!




