21#事件前
難産でした
【異世界生活6日目】ランディ達は5日目
ランディ視点
今日は毎朝の香織ちゃんとの準備体操の時から既に、 お客様が待っていた。
気が散るじゃないか……
お客様は、ほとんどが 病人だった。
おかげで、折角覚えた『ライトキュア』10回分あっさり使いきってしまった。
申し訳ないが残りの病人達は 香織ちゃんに頼んで帰って貰う事にした。
香織ちゃん嫌な役を押し付けてごめんね。
怪我人はたった2人なので『ヒール系』はバッチリ余っている。
でも、怪我人は居ない……
いつの間にか治療代が 一回1000ドラルに定着化していて、(誰が決めたんだ?) 安いと評判になっている様だ。
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その 働くランディ達を遠くから眺めている男達がいた。
男A「彼が病気を治すという治癒師デスか……」
男B「はい、見たところ本物の様です。病気の治療は1日に10回、他に修理や食物の解毒まで出来ると聞きました」
男A「食べ物の事など、どうでもいいのデス。しかし困りましたねぇ、これでは私達が造った薬が売れなくなってしまうじゃないデスか……」
男B「このままですと病人だけでなく、怪我人まで取られてしまうかもしれないです」
男A「まずいデスね……早く手を打たなくては……」
男B「安心してください。手は既に打ってあります」
男A「ほう……早いデスね。で、どんな手段なのデスか?」
男B 「先ずは狙撃手を雇いました。百発百中らしいです。念のため、次に屋根の修理を頼み、罠を仕掛けます。死んだりしないといいですが……」
男A「罠を仕掛けておいて良く言いますねぇ」
男B「私達の薬が売れなくなると、困りますので……」
男A「では、遠目から伺いますか……」
この日は 何故か治療院は一日中臨時休業だったと言う。
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午後、初めて呪文を使用しないで済みそうな依頼を受けた。
ある お嬢様の買い物のボディーガードだ。
何でも いつものボディーガードが急な腹痛で、仕事が出来なくなり、代わりに僕を指命してきたらしい。
なんか胡散臭いが、心当たりも無いので引き受ける事にした。
仕事内容は 買い物の道中は一緒に歩き、店に入ると、入り口で警備だった。
ふと気付くと 少し離れた壁に2本の矢が 刺さっていた。 あれっ? さっきまであんな矢 あったかなぁ…… インテリアにしてはおかしいが、気にする事は無いか……
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男B「おい! あんた! 狙いを外した事は無いって言ってたよな?」
狙撃手「おかしい……絶対に命中したはずなのに……」
男B「なら、もう一度射つか?」
狙撃手「いや、2度も射って当たらないなら、次も当たらないだろう……きっと何かの魔法防御なんだろう。でないと説明がつかん……」
男B「そうか、わかった」(次のプランに移行だ)
男達は この場から消えていった。
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依頼の1つで屋根の修理を頼まれた。
何でも、朝起きたら いきなり凄い物音がして 見に行って見ると、屋根が壊れていたらしい…… 不思議な事もあるものだなぁ。
とりあえず ササット屋根に登り、「第1レベル呪文……リカバー」屋根を直した直後、僕の付近に幾つかの壷が投げ込まれた。
幸い当たらなかったが 危ないなぁ…… なんて落ち着いてる場合じゃない! 壷の中には油が入っていた。
まずい!罠だ!気付いた時にはもう遅かった。
ここは三階の屋根だ、落ちたら無事じゃ済まないだろう。
油が流れてきて、足が滑る…… この状態で、落下したら受け身が取れない…… どうせなら 滑る前に自分で飛び降りれば良かったか? それなら受け身が取れて 回復呪文を使えば問題なかったはず……
自分の愚かさに舌打ちする。
くっ、落ちる…… ランデイヤと融合したことを思い出す……
そして僕の身体は屋根から離れた。
横になった状態で落下中……僕は せめて手足を使って、衝撃を出来るだけ吸収しようと考えた。
頭部さえ無事なら……
ドスン!! そして僕は地面に激突した。
香織ちゃんがちょうど、落下点を見ていたらしい。
「えっ?ラ、ランディ?! なんで?どうしたの?ランディ!ランディ!!」
必死な香織だった。
~~~少し離れた、所に、厭らしい笑いを浮かべている3人の男達がいることは誰も気付いていない。~~~
「ランディ!起きてよランディ!」
涙ぐむ香織ちゃんを見て、
「いたた、三階の屋根から落下した僕に、『起きてよ』なんて 無茶言うねぇ 香織ちゃん」
僕は、言われた通りに 起き上がった。
香織ちゃんは目をパチクリ……
僕はダメージ確認をする そうまるで身体に語りかけるかの様に…………運動機能問題なし。ダメージは……打ち身で約4%のダメージ
どうやら、ざっくりではあるが、自分の身体のダメージ計算が出来る見たいだ、ロールプレイングゲーム のキャラ見たいだ。
しかし僕の身体も大概頑丈だな、 やっぱり いずれは『ドラゴン』討伐しなくてはね。
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男B「おい!確かに三階の屋根から落ちたよな?」
男C「はい、確かに……」
男B「じゃあ何で平気で動いているんだ?」
男C「わかりません」
男B「わかりませんじゃ駄目なんだよ!私は医院長に任せて下さいと言ったんだぞ!」
男C「そ、それは……」
男B「弓矢も駄目、落としても駄目…………そうだ!」
男の顔がイヤらしく変化する。
男B「よし!次の作戦だ、ゴニョゴニョゴ、ニョゴニョ、ゴニョゴニョ」
男C「えっ?それ 俺がやるんですか? 」
男B「お前がやらなくて どうするんだ? いつも一緒に居るんだぞ」
男C「それって、治療中も一緒だったら、俺は無駄になるんじゃ……」
男B「そこは、お前が何とか考えろ」
男C「そんな……」
男B「いいな!今夜 決行だぞ……」
男は再び ニヤリと下品な笑いをしていた。
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夕方
流石にあの 油入りの壷は 僕を狙ったものだよなぁ、どうしたのものかな……まず犯人を突き止めて和解するってのがいいな……
三階の屋根から落とすって事は 殺意があるか……
それとも力試しか……兎に角もう少し情報が欲しい所だ。
それにあまり真面目な顔をしてると また香織ちゃんが心配してしまう……遅かったか……
「ランディ、本当に大丈夫なの?」
「うん、あれから何も無いし大丈夫だよ」
「だって、油を使って、ランディを落としたのよ許せない! 」
ちょっと嬉しい。
カランカラン 一人の男が食堂に入ってきた。
男はキョロキョロと辺りを見回しているみたいだ。
トリマお姉さんが出迎える「お兄さん、いらっしゃい 食事かい?宿泊かい?」
男は 「すいません、ランディさんって方はいますか?」
「居るけど、仕事の依頼なら明日にしてくれないかね」トリマお姉さんもやれやれといった表情だ。
「両足を骨折して悲鳴をあげてる人が、ここから近くにいるんですよ。かなり重傷の様だし、治療院も今日は休みなんですよ、助けてあげて下さい」
トリマお姉さんは此方を見る。
う~ん 断る理由もないし、重傷なら助けてあげた方が良いかもしれないな、「わかりました。その人の所まで連れて行ってください」
「ありがとうございます。さっこちらです。行きましょう」男は助かったとばかりに喜んでいる。
はて、なんであの人があんなに喜ぶのだろうか? 会話からして、身内じゃないはずだけど……
宿から歩くこと約5分 人気の無い暗い路地で、足から血を流してる男性がいた。
男性は両足を骨折していて、骨が突き出ている。
うっわぁ どうしたらこんなになるんだ?
早く治療してあげよう。
念のため、少し強い回復にするか。
「第2レベル呪文……ヒール」男はすぐに元気になった。
男は、泣きながら僕に「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます 」と感謝をしてきた。
これだけ感謝されると悪い気はしないよね。
今から彼の財布を取りに一緒に彼の家に向かう、歩くこと約10分 以外と遠かったな。
彼は直ぐにお金を持って来てくれて、誰かが勝手に決めた相場より高く1500ドラルも 貰った。
結局 宿屋に戻るのに30分以上かかってしまった。
宿に戻ると、そこにいるはずの香織ちゃんが、ひ消えていた。




