20#散水師の真価
【異世界生活5日目】 ランディ達は4日目
真視点
今日も桶を持った村人に囲まれている。
(どうやら、井戸全てが 満水になるまで使わないらしい)
日に日に『真様』と呼ばれる回数が増えていく……最早 呼び捨てにしてくれるのは、おばば だけになってしまった。お昼を過ぎた辺りに、全ての井戸を満水にすることが出来た。
仕上げに 『極地大散水』を使って 村に雨を降らせる事が出来た。
初めは 恵みの雨だと喜んでいた 村人達も 僕の法術だと知ると、 僕にむかって 土下座をしてしまった。 見える範囲内で、全員の村人がだ……
しまったやり過ぎた。
流石に 桶100杯 井戸6箇所 に村に雨を降らせたら 魔力が 枯渇してしまった。
僕がちょっと躓いたら 村人達は血相をかえてきて、村長の家まで丁重に運ばれてしまった。
ブライ達がいなくてよかった。
ブライ達は 子供達を 助けた頃かな、 助かるとわかっていても心配してしまう。
よし 明日から自分の修業をするぞ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ランディ 視点
今日も香織ちゃんと 準備体操(訓練です)。
プルンプルン揺れる胸を見ながらの 訓練は楽しい。
しかし、僕だって目の保養ばかりしている訳ではない。
どうやら僕は、足技より、手技の方が得意な様だ。
さらに、僕は腕力も凄いのに、力を逸らしたり吸収したりする、回転系の体術が得意なのも判明した。
恐らく回復や、ダメージを与える呪文のほとんどが、対象者に接触してから 発動するからなのだろう。
今日も僕の頭は冴え渡る。
今日も浴槽を借りる入浴好きな僕、本日のお風呂は 『秩父温泉』、 効能『糖尿病』『アトピー』『胃潰瘍』
当然香織ちゃんも誘ったが 今日も仕切りを用意して着て入浴…… しかし 見えないとはいえ、至近距離に香織ちゃんがいると思うと……萌える 。
「はぁはぁ」はっ『香織ちゃんの入浴に乳欲する』
出来た……やっぱり冴えてる。
この後は 香織ちゃんとショッピング。
纏まったお金が手に入ったので、二人の装備を買おうかと思いました。
香織ちゃんの調査では 武器屋は三件あるが 一番大きい店に行くことにした。
店の中に入る 中は剣だけでなく、槍、斧、杖、等多種多様な武器が勢揃い。 やはり異世界に来たなら、『宿屋』『食堂』『武器屋』『防具屋』『道具屋』『酒場』『冒険者ギルド』は行っておきたいよね。
目玉商品には、魔法の力を宿した両手剣、ドラゴンの鱗を使用した短剣、長剣等が有ったが、
何故か全く剣、いや刃物に興味が無い!
何故だ……ふと目に止まったのは『メイス』ファンタジー漫画で 武装した司祭達が持っているような…… そうだ! 僕は 限界まで到達した 高レベルクレリックだった。
あと 武器を見回すと 『フレイル』も目に止まる。
きっと 『フレイル』も僕に適した武器なんだろう。
早く装備して、振り回したくなってきた……別に中二病とかじゃ無いぞ。
色々見て回った結果、自分用にメイス一本 香織ちゃんに、ショートソード一本 ダガー五本。
合計4万5000ドラルの買い物をした。
どれも 一番安いタイプを買ったので 出費を押さえられたと思う。
次は防具専門店にお邪魔しました。
今の僕たちは、冒険はおろか、闘いにすら向いていない様相だ。
色々置いてあるが、今回は二人とも軽装備で行こう。
香織ちゃんには、皮と薄い断熱材を細くて丈夫な針金で織り込んで作った『ハイレザーアーマー』と 『ダガーストッカー』
僕には、細い鎖で作成された『ライトチェーンメイル』と 軽そうな素材で出来ている『ハーフガントレット』を購入した。
ここでは2万5000ドラル を使った。
次は道具屋と雑貨の合わさった店に ここでは、背中に背負うリュック 小と中 水筒などを買って
1100ドラル使った。
時間はまだ早いが宿に戻る事にした。
ん? 宿屋の前で 5~6人の集団とトリマお姉さんが話をしている……なんだろう?
トリマお姉さんが、僕達に気付く。
「ランディ!ちょうど良かった、ランディのお客様が着てて、今日ランディは休みだって伝えたんだけど……」
おばさまA「あら?ランディさんって若いのねぇで、聞いてよ最近右側の耳だけが聞えが悪くてね、治療院でも治らないのよ。そんな時に 貴方の噂を今朝聞いてね 急いで来たのよ」
おばさまB「私は一年前から胸焼けが酷いのよ。 治療院の薬で一時は良くなるんだけど、またすぐに胸焼けがするのよね~」
おじさまA「ちょっと待ってくれ、彼の職業は修理屋って聞いたぞ、うちのムメ(米の様な物)を精製する道具を直してくれよ 」
お婆ちゃんA「私の家にある『ポッテイトウ』の解毒をお願いししたいんじゃが」
誰も トリマお姉さんが言っていた 『僕の休み』は聞いていないんだね……
それにしても 一昨日仕事をしたばかりなのに、反響速いな……
少なくとも情報の発信源は3つは有ると見た。
しかし、トリマお姉さんの話をまともに聞いていない所を見ると、僕がやんわり断っても、ごねるだろうな。
仕方ない働くか。
僕はおばさまAとBには、此れから治療を始めると伝え、残りの3人には、宿屋から近い順に行きますので、このまま待って貰うように話した。
まぁ 二人のおばさまは『ライトキュア』で治った。
その後、おばさまCとお婆ちゃんAも依頼をこなしたが おじさまAだけは、「金物は苦手なので金物屋のマクウェルさんに頼んで下さい」とつたえて、断った。
すっかり夜になってしまった。
宿に戻ると、3人ほど、トリマお姉さんとお話し中だ。
嫌な予感がするので、僕と香織ちゃんは逃げるように宿に入った。
後は、トリマお姉さんに任せよう。
その後、トリマお姉さんに明日からから大変だよ?と脅されました。
明日は『ライトキュア』10回分くらい覚えておこうと思う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちょこっと香織視点
今朝はランディが 可愛いって言ってくれなかった。
今日の訓練も一方的にやられてしまった、私強くなってるのかな?
しかも、ランディの目線はいつも私の胸なのに、なんで私の攻撃を避けられるのだろう。
今回は蹴りより
掌底突きが多かった しかも加減してるみたい、これってタッチされてるだけ?
気のせいかしら……
ランディは今日も温泉を出して私をお風呂に誘う。
別々の浴槽に入り温泉について話を聞いてみたら、一度飲んだ事のある水分は 再現できて、温度も自由自在らしい。
こんな凄い事が、『第1レベル呪文』だもの 一昨日辺り ランディにいくつまであるのか聞いたけど、はぐらかされた。
幾つまで扱えるのだろう?
見ているかぎりては、『第3レベル呪文』までなのよね、『第4』とか『第5』とかあるのかしら。 でも今より凄いなんて 想像出来ないわ。
今夜もランディは先に寝てしまう。 もう私どうしたらいいの!
お休み!プンプン!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【異世界生活6日目】ランディ達は5日目
真視点
今日から 村で井戸が使える、しかし習慣になったのか 大勢の村人達が桶を持って広場に来ていた。
飲み物は新鮮なほうが良いもんね。
でも『大散水』一回で済んでしまったので、村人に森までの道を聞いた。
村人に中は危ないから入るなと言われたけど、入り口までなら大丈夫だよね。
歩くこと数10分 森に着いた僕は、自分の力がどこまでなのか 試すことにした。
おばば に借りた文献では、水系攻撃魔法は、
『圧水』『刃水』『硬刃水』『魔破硬刃水』『魔列魔破硬刃水』の5段階ある 火系や土系と一緒だね。
マーニャは火系統 2段階目まで使えていた。
さぁ試そう水系統3段階目「硬刃水」スパン!薄く硬い水の刃が 樹を斬り倒す、ズドーン!
小さめの樹を狙ったとはいえ、一撃で樹を斬り倒したぞ……
次、4段階目は大きな樹を狙って「魔破硬刃水」スパン!! しかし樹は何ともなっていない……あれ?外したかなと思っていたら樹がゆっくりとずれていった。
僕は慌てて逃げ出した。
スズーン!!
あぁ怖かった…… 水系5段階目の『魔列魔破硬刃水』は唱えても何も起きなかった……流石にそこまでチートじゃないか……
次は、前回僕の胸に風穴を開けたあの魔法……
文献にも載っていないが 確実に覚えている……
思い出すと胸がズキンと痛む、まるであの出来事は嘘じゃないと 身体が訴えているようだ。
深呼吸をする……「螺旋硬刃水!」ドシュッ!
目標の樹に直径5cm程の穴が空いた……凄い……
これならどんな魔物も倒せそうだ。
後は もうひとつ試すことがある。
あの時、僕が無意識に巨大スケルトンを倒した魔法…… あれを再現出来れば多数の的に囲まれた時でも戦える。
あの時の事を思い出す……『里美!大好きだー!』…………マズイ……攻撃の度に告白するのは 自分にもダメージがある。
独りで唱えても恥ずかしいだろうに、まして皆がいる前で使ったら……と考えると 僕の方が立ち上がれない、恥ずかし過ぎるよ……
そうだ!替わりになる掛け声とかあるはずだ、
うん、きっとある色々言ってみよう!
「多数刃水!」出ない「周りに刃水!」出ない「八方刃水!」ピュー 出た! なんかこう……言いづらい おしっこみたいな威力の水が出た。
これじゃダメージ0だね。
だけど進歩はあった引き続き色々試そう……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なかなか上手くいかない、まてよ……『刃水』にこだわらないで、直感で言ってみよう!なんか……格好いい名前を……よし!『魔破八門陣!』ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!前方に8つの水の刃が飛んでいって木々を薙ぎ倒していった。
出来た……あの時の全方向とは違うが かなり使えると思う。
こう、なんかアーデル的に 格好いい名前が強い力を生むみたいだ。
その後、10回以上試行錯誤した結果『魔破回転陣』で 全方向の水刃を出すことに成功した。
流石に疲れた……気が付くと 辺りの木々は 全て倒れ 『ミステリーサークル』見たいになっていた。
これって 見つかったら言い訳出来ないよね?……
そうだ、逃げよう!
僕は 薪に使えそうな木々を集めて、逃げるようにこの場を去った。
でも、ここって ブライ達が狩りをした所だよね?
なんで獣とか一匹も出なかったのだろう?
入り口付近だったからかなぁ?
不思議に思う真であった。
さあブライ達が子供を助けて帰って来る頃だ、僕も村に帰ろう。
~~それも、そのはず、いくらこの森の獣達が鈍感とは言え、絶対に近寄ってはいけない存在を感知していた。真から周囲100mは一匹の獣も存在していなかったのだ。~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブライアン視点
オレ達は 村に凱旋帰還した。
村中歓喜に満ち溢れ、子供達の家族は泣いて再開を喜んでいた。
そこでオレは地面が少し湿っているのに気付いた。
雨か……村に雨が降ったのか? オレ達の所にはそれらしい雲など無かったが……
喜んでいた村山を一人掴まえて、聞いてみる。
「あのう、昨日あたり村に雨でも降ったんですか?」地面と村人を交互にみて質問した。
「真様です、真様が昨日村に雨を降らせて下さったのです」
「「「「えっ?!」」」」 「真が?」「真君が?」「「アーデルが?」」 それぞれ、一緒にバラバラな声を出した。
オレは疑問に思って「雨を降らせる位なら、井戸に向かって水を出した方が効率的なんじゃないのか……」アーデルだって気付くと思うが……
村人は「井戸の水は 昨日真様が、村に有る全ての井戸を満水にしました」
「はぁ?!何だって?!」声に出てしまった。
だって それは少し……いやかなりおかしくないか?
オレの記憶だと、初日は桶20杯くらい、2日目だって25杯くらいだったぞ?
確か3日目で沢山出せる様になったとは聞いていたが、どう考えたって50杯前後だろう?それが、おれ達が居ない2~3日中に 村全てを潤した?
一体アーデルに何があった? 村長の家に戻ったら 詳しく話でも聞いてちみよう。
村長の家に戻って来た。
すると、村長が出迎えてくれて、「良く子供達を無事に助け出して下さった、この気持ちどう表現してよいかわからぬくらいじゃ。
此度の『ブラックオーク』討伐さぞや疲れた事でしょう、今夜は少し豪華な食事を用意いたした。ゆっくり食べながら色々話を聞かせてくれんかの?」
とお礼の言葉を貰い、まだ頼んで居ないのに アーデルの水まで、持ってきてくれた。
そうだ アーデル! アーデルはどこだ?
「村長、アーデルはどこにいるんですか?」と聞いてみた。
「アー……真殿はブライアン殿達に風呂に入って貰いたいと 薪を沢山運んで来てくれたのじゃ今は 水を湧かすのを手伝っているはずじゃ。
薪が少々湿っていたので、時間がかかるじゃろうが、なぁに食事が終わる頃には、湧きますじゃろう」
マーニャは大喜びしているが、オレは違う!アーデルはオレ達が居ない間、血の滲む様な訓練を、影でしていたに違い無い!
オレも今のままで満足してはいけないと思う。
そうだ!アーデルを見習うんだ!
~と堅く誓うブライアンでした。~




