表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/172

143#クエスト受注

 ◇ギルド会館二階◇


 ランディ達がクエスト依頼所に足を踏み入れた時、そこにいた十数名の冒険者が、好奇の視線で見ていた。


 ランディ達は、既に一部の冒険者から噂をされていたのだ。

『異国から来た富豪のどら息子が、護衛とメイドを引き連れて、遊びに来た』と……


 噂については、先日ギルド会館の一階で、ドドンガやマリアンヌが騒いでいたのが、起因となっていた。


「あいつが、世間知らずの金持ち息子か……」

「噂通り、全員美人で構成されてるな」

「女の趣味は良いが、このメンバーでパーティを組むなんて悪趣味だ……」

「あの、成金息子が持ってる長い棒はモンスターが怖くて、近寄れないようにするためか?」

「ああ、間違いないな……」


 凄まじい噂話が飛び交う中、一人の女性がランディを見つけて走りよって来た。

「こんにちは、ランデイヤさんっ」


 その女性は、クエスト受付嬢のマリアンヌだった。


「あっ昨日の……マリーアントワネット?」


 マリアンヌは頬を膨らまして答える。

「マリアンヌですっ! もう覚えて下さいよ……でも、早速来てくれたんですね? ……実はランデイヤさんのパーティ『ランディパーティ』なんですが、私が専属の担当になりました」


 ランディは疑問に思う。

「は? 何故? 昨日の縁からですか?」


「はい、そうです! (ウソです) それで私は、適切なクエストをランデイヤさんに紹介して、円滑にクエストをこなして貰える様にするんです。これからお願いします!」


「はい、ヨロシク……で、マリアンヌさんのメリットは?」


「うっ……」

(この人、鋭いですね……ホントに田舎者ですか? ……まあいずれバレちゃうだろうし……)


「はい、『ランディパーティ』がクエストをクリアすると、ほんの少しだけチップが入ります。さらに、魔石を換金しますと、ギルドが払った金額に応じて、ほんの少しだけ、私にもチッブが貰えるんです。先輩が言うには、最小サイズの魔石を百個換金したら鉄貨が二枚貰えるって話でした。因みに最小サイズの魔石は、一個で銅貨一枚で換金できます」


「ふ~ん五百分の一か……」


「へっ? もしかして知ってたんですか?」


「いや、今知りましたけど……」


「だって、今五百分の一って……」


「その程度なら、お兄ちゃんじゃなくても、みんな一瞬で計算出来るよ」


「わたしは、無理だよぉ」


「へっ? あの一瞬で計算? うそっ……」


「結構貰いが少なそうだから、がんばりますね」


「ランディさん……ありがとうございますっ」

(計算能力まで高いのは意外でしたが、このパーティには、レベルが68、80、100と一流どころが二人と化物が一人います。つまらないクエストは無視して、ガンガン稼げるクエストを紹介しますよぉ!)



 ~~~~

 この受付嬢担当制度を導入後、受付嬢も親身になり、自分の知識を活かして、危険のあると思われるには、注意や助言もしたりする様になっていった。

すると、パーティのモチベーションも上がり、結果的に冒険者ギルドの収入は増加したのだ。

 この発案者は、約百年前に魔王を倒した勇者パーティの一人(日本人)だった。


 受付嬢一人につき、五パーティまでしか担当出来ず、新米受付嬢マリアンヌはめぼしいパーティをほとんど見つけられないでいた。

 ~~~~


「はい、『ランディパーティ』が受注出来るクエストはご覧の通りです」


 ランディ達はG級のクエスト一覧を見せて貰った。



 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


 ※Gランク※


『迷いネコを捜せ』

 報酬……銅貨四枚、得点……1

 個人……○、パーティ……○

 備考……名前ミミリー、メス。

 期限……十日



『地下道の大掃除』

 報酬……銅貨十八枚、得点……2

 個人……X、パーティ◎

 備考……第二十四区域の地下道の掃除。広いので最低でも、五人以上で受注すること推奨人数は九人。

 期限……七日



『ご令嬢の荷物持ち』

 報酬……銅貨七枚、得点……1

 個人……○、パーティ……X

 備考……受注資格STR値50以上、約半日ほど買い物荷物持ちをお願いします。

 期限……翌日



『美味しい水が飲みたい』

 報酬……銅貨三枚、得点……1

 個人……○、パーティ……X

 備考……都市の西門から約十キロ先の泉から、水を三十リットルを運ぶ。

 期限……三日



『薬草の採取』

 報酬……銅貨各六枚、得点……1

 個人……○、パーティ……○

 備考……一人あたり、五束を納品する事。

 期限……十日



『邪魔な瓦礫を退()かせ』

 報酬……銀貨十二枚、得点……1

 個人……X、パーティ……◎

 備考……八人以上でお願いします。推奨人数二十四人。

 期限……十日



『鳥鍋が食べたい』

 報酬……銀貨二枚、得点……1

 個人……○、パーティ……○

 備考……美味しいと有名な鳥『ダッ鳥』を二羽捕獲する

 期限……六日



『☆スライムゼリー』

 報酬……銅貨各十六枚、得点……1

 個人……○、パーティ……○

 備考……納品数、一人あたり二個

 期限……十日



『☆コボルトスパイス』

 報酬……銀貨各二枚、得点……1

 個人……○、パーティ……○

 備考……納品数、一人あたり三個

 期限……十日



『☆特薬キノコ』

 報酬……銅貨各十六枚、得点……1

 個人……○、パーティ……○

 備考……納品数、一人あたり二個

 期限……十日



『☆蝙蝠の羽』

 報酬……銀貨各四枚、得点……2

 個人……○、パーティ……○

 備考……納品数、一人あたり三個

 期限……十日



『☆鼠の尻尾』

 報酬……銀貨各二枚、得点……2

 個人……○、パーティ……○

 備考……納品数、一人あたり二個

 期限……十日



『☆蛇の皮』

 報酬……銀貨各二枚、得点……2

 個人……○、パーティ……○

 備考……納品数、一人あたり二個

 期限……十日



 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


「うわぁすごいなあ……早くやりたいなぁ……ところで『脱腸』ってどんな鳥?」


「ランディ、漢字が違う」

「お兄ちゃん、漢字が違う」

 と香織とマーニャに同時に言われる。


「ランディさんにピッタリのクエストは……」

「マリーさん待って、質問」


「えっ、あ、はい……何でしょう?」


「パーティの後の表記、『○』『◎』の違いは?」


「はい、『○』は単独パーティ『可』で『◎』は複数パーティ『可』になります」


「なるほど、判りました。で、次にクエストの冒頭にある『☆』マークは?」


「はい、それは、いくらクエストを受注しても、無くならないクエストです」


「無くならない?」


「はい『☆』がついてるクエストは、地下迷宮のモンスターが稀にドロップするアイテムで、ギルドは年中無休で受け付けています。たまにですが、同じクエストで、報酬が高い場合がありまして、そのクエストには『☆』はつきません。でも、そういったクエストは人気なので、すぐに無くなっちゃいますね」


「なるほど解りました」


「はい、それではランデイヤさん達にオススメの」

「えっと、地下迷宮絡みのクエスト全部って出来ないんですか?」


「……は?」


 すると、聞き耳を立てていた、冒険者達が一斉に笑いだした。

「オイオイ、初仕事が迷宮クエスト全部とは、調子にのってんなあ」

「なぁに、メタクソにやられて、今夜にはママのオッパイが恋しくなるって」

「いや、帰れなくて全滅だろ?」

「「「「ドハハハハハハ……」」」」

 等と大笑いしていた。


「ラ、ランデイヤさん、すみません。Gランク冒険者は一度に1つしかクエストが受けられないんです……」

 マリアンヌが説明するなか、笑われて怒ったマーニャ達が、好戦的になった。


「なに、あいつら……燃やしちゃおっか」

「マーニャだめぇ、首を折った方が大人しくなる……」

「ワシ達を侮辱たのじゃな……丁度いい……血が欲しいと思っていた頃じゃ」

「我が力、魔の下にぎょうムググ……」


 リリスの攻撃は、香織に未然に防がれる。

「マーニャ、ひなたも、カミーラさんも落ち着いて」


「ねえ、香織ちゃん……この娘たち、こっちに来てから好戦的になってませんか?」


 ……

 …………


 ランディは、『迷い猫を捜せ』のクエストを選んだ。


 マリアンヌに、

「えっ? そんなので良いの? ランデイヤさんならもっと稼げそうなのが……」

 と言っていた。


 クエストの受注には少し時間がかかった。

 理由は、この都市にギルド会館が二つあって、依頼が重複しないよう、魔石を加工した『通信魔石』で本館と情報のやり取りをしていたのだった。



 ランディはクエストを受注して、猫の名前、毛色、と飼い主の住所と名前の情報を貰って、ギルド会館の外に出た。


「ランディ、地理の疎い私達には難しいクエストをだと思うわ」


 香織の言葉にランディはニッコリ答える。

「うん、そうだね……でも僕の呪文の汎用性を確かめたかったんだ。 第4レベル呪文……人物捜索LVⅠ」


「ゴクリ……」×5


「…………ダメ、失敗です。人物じゃないか、見たこと無いとダメなのか、検索範囲外のどちらかだね」


「お兄ちゃん、期待して損したよ?」


「まあ、待てマーニャ、次が本番だ。第6レベル呪文……ディテクトアイテムLVⅡ……ミミリーの首輪」


「ゴクリ……」×5


「反応あり! 行くよっ」

 ランディはゆっくりと走る、そう百メートル二十秒ほどの速度でゆっくりと……



 ……

 …………


 香織とリリスが息を切らしていた。


「香織ちゃんとリリスたんには更なる修行が必要ですね……もうネコちゃんは見つけましたよ。 さあ早く依頼主に届けて、余った時間を地下迷宮に費やしましょう」


 ……

 …………


 ランディ達は、『今朝クエストの依頼をしたのに、もう見つけてくれるなんて……』と言われて、内緒で、金一封を貰った……銀貨が三枚も入っていた。

 大盤振る舞いである。


 ランディは、この時間のかかりそうな『捜索クエスト』を30分かからずにクリアしてしまった。


 しかしランディは、ギルド会館に報告に行かないで、まっすぐ地下迷宮の入り口に向かった。



 そして、ランディ達は今、巨大な門の前にいる…………これがストマティアが誇る第一の地下迷宮『ウノ』の入口だった。



~ランディパーティの懐事情……金貨二十枚、銀貨三枚~

宣伝です。

ランディの転生物語を書いてみました。


題名は『神級回復呪文使いが、転生したら……こうなった』



http://book1.adouzi.eu.org/n9057df/


です。

気になる方はどうぞ、って言うかミテ~~~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ