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140#冒険者登録、ランディパーティ結成

「ぶっ、な、なんだとぉ!?」

 

 換金所のオヤジがぶったまげていた。


「ほ、補正値が100超えだとっ! …………ま、まさか、勇者……いや職業は僧侶だな………………ゴクリ……100超えの補正値に、見た事の無い金貨……あ、あんたら……まさか、異世界人か?」


 いきなり、核心を突く換金所のオヤジ。


「おじさんすごい、何でわかったの?」

(100超えの補正値と見たこと無い金貨でしょ)

 とランディがリリスに突っ込みを脳内でかましてる中。


「「「あっ」」」

 香織・マーニャ・ひなたが、リリスの言葉に焦る。


 ランディは、この世界では異世界人がそれほど珍しくないと考えたので、焦らない。


「そうか、異世界人だったのか……これが勇者補正に匹敵すると言う、あの異世界人補正か……異世界人ってのはスゲーな……レベル20の坊っちゃんが、レベル50の僧侶と遜色無ぇ……」


 換金所のオヤジは、数秒間目を閉じて上を向いて深呼吸した。


「ふう~、よし! 坊っちゃん達、そのステータスは隠せ。レベルと職業、冒険者ランク以外は自分の意思で隠せる……って、冒険者登録は未だだったな。しかし、これならあの娘を呼んで正解だったな。って来た来た。おぉい? ここだぁ!」



 すると、二十歳前後の赤い髪の美女がやって来た。

 その女性は、換金所のオヤジの呼び掛けにやって来て、砕けた感じで挨拶する。


「こんにちはみなさん。ワタシは初級クエスト受付担当の『マリアンヌ』です。マリーって呼んでも良いですよ? 今回は『ドドンガ』さんの強引な頼みで、冒険者登録とパーティ登録までしちゃいます」


 すると、どこから出したのか、大きく怪しげな箱形アイテムをテーブルに、ドンと載せて話し出す。


「それでは冒険者登録をします。ステータスカードは持ってると聞きました。 このカードがギルドカードにもなりますから、絶対に無くさないで下さいね。」


 マリアンヌのか細く、綺麗な手がランディ達の前に差し出される。


「はい、ステータスカードを貸して下さい」


 ランディはステータスカードをマリアンヌに渡した。


 マリアンヌはステータスカードを謎の箱形アイテムに置いて、カタカタと操作をしている。

「はい、ランデイヤさん…………まあ僧侶ですか。しかも、初期登録でレベル20……僧侶って珍しいんですよ? 冒険者ギルドや商人ギルドでも欲しいくらいです。……Gランク冒険者登録完了です。 はい次の人」


 香織が、マリアンヌステータスカードを渡す

「よろしくマリアンヌさん」


「はい、よろしくですね。……えっとエンドウ カオリさん、変な名前ね……カオリさんは盗技士でレベル24……初期登録でレベル24は凄いですね、もしかしたら話題のルーキーなんて呼ばれちゃうかも知れないですね。 はい次の人」


「次、わたしやるぅ」

 リリスがステータスカードを、差し出す。


「はい、…………リリステルさんですね。あなたは魔法士でレベルは28ですか。アレレェ?みんなすごいですねぇ……さてはどっかの訓練施設で修行を積んできましたね? もうビックリしたじゃないですか……これなら十五日くらいで、ランクアップ間違いなしですよ。はい、リリステルさんもGランク冒険者登録完了ですっ、次は?」


 次はランディの指名で、ひなたがステータスカードを差し出した。

「よろしくお願いします」

 今のひなたはよそ行きモードだった。


「次は、マエバ ヒナタさん、戦士っと……レベルは、えっ? …………68!? うそっ……あっドドンガさんが珍しい物が見れそうって、そうだったのね……彼女の事だったのね……」


 実際にドドンガは、男一人に女が五人の異色チームが見れると言う意味で話したのだったが、マリアンヌは勘違いした。


「さあ、気を取り直して、次いきましょう」


 マーニャがニヤケ顔で、ステータスカードを、マリアンヌ渡す。

 どうやら、マリアンヌの驚く顔を期待している様だ。


「はい、マーニャさんは魔法士で、は? 80!? ドドンガさん、何なんですか? この集団は!」


 ドドンガも目をパチクリして驚いていた。

 ドドンガは、ランディ・香織・リリスのカードまでしか見ていなかったからだ。


 ……

 …………


「もう、驚きませんよ……グスッ」

 涙目で、最後のカミーラからステータスカードを貰い、カタカタと操作をしている。


「はい、カミーラさんも戦士…………で、こ、これは10ですよね? 、涙で『0』の文字がだぶって見えるんですよね?」

 いったい、マリアンヌは誰に答えを求めているのだろうか。


「マリーよ……ワシのレベルは100じゃ」

「いやぁぁぁぁ、有り得ない、ありえない、アリエナイですっ!! ……ドドンガさん! これは謀略ですね? なかなか有望なパーティが見つからない私に

対する、嫌がらせですねっ……………………」

 

 しばらく、マリアンヌの悲鳴の混じった抗議や現実逃避が続いた。


 ……

 …………


「コホン、先程は失礼しました。それでは…………今回の登録で、みなさんは全員Gランクの冒険者となりました。これでGランクのクエストを受注する事が出来ます」


 マリアンヌは、普段の調子を取り戻した。


「私からざっと説明しますので、疑問点などは後でまとめて伺いますね。 受注するクエストには期限があります。受注したクエストの失敗には違約金として、報酬の二割と言った支払いの義務が発生します。五回連続のクエストの失敗にはランクを下げる処置が有りますが、私が冒険者ギルドに就職してから、その処置を受けた冒険者は見ていません。 そして基本、冒険者達には『パーティ』を組んで貰います。ここまでは大丈夫ですか?」


 みんな首を縦に降る。


「はい、次に行きます。冒険者は自分のパーティ以外にも、一時的にパーティに参加することができましす。しかし、パーティリーダーはそれが出来ません。もちろんギルドの報酬無しの条件下であればパーティとして参加することができます。そして、そのパーティにもランクが有ります。そうです……パーティリーダーはパーティランクと同じ扱いなんです。パーティランクの±1ランクの冒険者までなら正式に参加出来ます。」


 マリアンヌは一呼吸置き、続いて話す。

「例えば『Eランクの』パーティリーダーと正式にクエストを受注するには、『D』『E』『F』ランクの冒険者迄なのです。そして、たまに有る複数のパーティで行うクエストもランク差は一つまでと決まっていますが、緊急クエストはその限りではありません。ここまで、質問は?」


 みんなが首を横に振る。


「それでは、ランクアップについてです。 ランクアッブは点数制を採用しています。 点数が昇級点までたまりますと、ランクアップの試験をして、それに合格すれば、見事ランクアップとなります。 ランクアップの試験はFランクに上がるには第一の迷宮で五層の到達。 Eランクからは、個人の戦闘技能テストが有りますけど…………まあ、あの三方なら既に問題ないですね」


 マリアンヌは、マーニャ・ひなた・カミーラを見る。


「特に質問が無ければ、パーティの登録に移りますね。 パーティリーダーはカミーラさんでいいですよね?」


「実力はともかく、立ち位置としては、ワシが一番下なのじゃ、リーダーは主殿でいいのじゃろ?」


「リーダーはお兄ちゃんに決まってるじゃん。 ねっ?」


「あ、ああ、そうだね……」



 マリアンヌは一番レベルの低いランディがリーダーになるのを、少々不思議に思ったが、『金の力』と思い込んで、無理矢理納得して自己完結した。


「それでは、リーダーも決まったので、パーティの名前を決めてください。 あっそれとですね、Dランク以上のパーティ名との重複は出来ないので、御了承くださいね」


 マーニャの瞳がキラキラと輝き、名前を提案する。

「お兄ちゃん、『マーニャとランディ、その仲間達は』?」


「却下」


「素敵な名前が思い浮かびました『ランディひなた夫妻と娘達』は、どうでしょうか?」


「ひなたん却下」


「ぷっ、主殿『漫才集団ランディ』はどうじゃ?」


「カミーラも却下」


「『リリスと使い魔五人衆』はどうかな?」


「ちょっと、リリス! なんであんたが代表になってんのよっ」


 実りのない会話に、マリアンヌが催促をする。

「あのぅ、まだ決まりませんか?」


「「「待ちなさい!」」」


「はぃ~……」


 マリアンヌは、本気でマーニャ・リリス・ひなたに怒られた。


「はぁ……マリアンヌさん、Eランク以下のパーティは重複可能みたいな事を行ってたけど、重複したパーティのどちらかが、Dランクアップしたら?」



「はい、Eランク以下のパーティの名称は、変更して貰う事になります」


「ふうん、じゃ後から変えられるんだ」


「はい。ただギルド側の都合でしたら、無料ですが、冒険者側の都合で変えますと、手数料として銅貨五枚を頂いています」


「なるほど、解った。なら無難な名前でいいんじゃないか?」


 すると、香織がこれはどうかな? って感じで、提案する。

「『ランディパーティ』ってどうかな? ランディが有名なれば、ガル達も探しやすくなるし……」


「採用!」


「はやっ! ってお兄ちゃん香織さんに贔屓してない? もういくら正妻だからって……ブツブツ」



 こうして、ランディ達のパーティ名は『ランディパーティ』となった。



「はい、登録完了です。 何か質問は有りますか?」



「はい!」

 ランディが右手を上げる。


「はい、ランデイヤさん」


「マリアンヌさん、ここにある地下迷宮について、簡単でいいから教えて貰って良いですか?」


「へっ? 地下迷宮を知らない? 田舎者? でもあの強さ……はっ、地下迷宮ですね? では、コホン……では、この国『ストマティア』には四つの地下迷宮が有ります。 地下迷宮は魔石を含む様々な恩恵を得られるので、自然と栄えてしまうのです。 この国には、二つの都市が地下迷宮の恩恵で栄えています。そしてこの都市『テトヴォー』では、二つの地下迷宮が存在しています。 その名前は『ウノ』と『トレス』難易度は下から一番目と三番目となってますから、初心者は難易度の低い『ウノ』の地下迷宮から攻略するのが基本です」


 ランディは地下迷宮がの名前を聞いてピクリとした。

 それは聞き覚えのある名前だったからだ。


「ギルドで一番多く出る依頼は、地下迷宮のモンスターが、希に落とすドロップアイテムです。 堅実なパーティは、ドロップアイテムを先にある程度集めてから、ドロップアイテムの入手クエストを受注していますね」


「へぇ、ならドロップアイテム入手クエストは、みんな、先にアイテムを集めてからやれば、失敗しないじゃん」

 ランディは真っ当な事を言う。


「そうなんですよね。 でも、たまに同じ中身のクエストで、報酬額が相場より高い時が有るんですよ。その時は、こぞって受注してますね。」


「あっ、なるほど……」


 ランディは納得した。


「あっ、それと……ランディさんはこの国の地下迷宮は初めてですよね? ドロップアイテムの入手確率は、五・六体に一回くらいですから、例えば一番簡単なアイテム入手クエスト『スライムゼリーの入手』は一人あたり二個なので、ランディさんのパーティでは、十二個集めなければ行けません、すると必然的に、えっと……え~~っと六十くらい?」


「六十から七十二体倒せばいいって事ですよね?」


「あっはい、そうなりますね」

(この人、思ったより教養があるのね)


「それに、迷宮の地下一階は『スライム』『コボルト』『化けキノコ』が出て来ますから結構手間ですよぉ。 それに、この三種はかなり弱いので、冒険者に向いていない非戦闘職の人達も、狩りに来ていて、迷宮に潜っている人数が多いんですよ」


 ランディはある程度予想はしているが、念のため、マリアンヌに聞いてみる。


「そんなに、たくさん狩りに行ったら、モンスターはいなくならない?」


「大丈夫です。地下迷宮のモンスターは半日で復活しますので、狩り放題ですよ。あと地下迷宮のモンスターは『目が赤い』『逃げない』『死骸が残らない』が特徴です。後は『自力で階の移動が出来ない』ってのがありましたね。では説明は以上です。なにか、質問はありますか?」


「説明解りやすかったですよ。 問題ないです」


 ランディの言葉に、やっぱり知性と教養を感じると思いながら、

「ランディさんは、二階の方に一度来てください。 パーティリーダーの心得を話しながら、二階クエスト受注の仕方を教えておきますね」


 マリアンヌとランディは、二階に上がって行った。




 ドドンガは、まだこの場に残り世間話をしていた。


 特にドドンガは、カミーラが何故ランディといるのか興味が湧いたのだ。


 はじめの内は、女性五人はランディに金で雇われていたと思っていたのだが、それにしては様子が違うと、感じていた。


 ドドンガの質問に、こう答えたカミーラだった。

「ワシは金では動かんのじゃ。大恩ある者に頼まれたのじゃ主殿を護ってくれとな……」


 ドドンガも合点がいった。

 きっと大富豪のランディの親あたりに、頼まれたのだろうと。

『バカ息子を頼む……しっかりと鍛えたつもりじゃが、冒険好きな息子に育ってしまった……メイドを何人かつけるが、どうも不安だ。 カミーラ頼むぞ』

 と、ドドンガは勝手に想像していた。


「大恩か……聞いてもいいか?」


「ああ、妹の討ってくれた」


「なるほど……」


 カミーラとドドンガの会話に、マーニャが遠い目をして話す。


「(お兄ちゃんに)、私とお姉ちゃんも、救ってもらったなあ」


「なるほど……」

 ドドンガのランディ像が固まりつつあった。


「話は解った、これからどんどん稼いで、換金してくれよ」


「ドドンガおじさん、もうピンハネはやめてね…………はい、これ」


 ドン!

 マーニャは手持ちのドラル金貨を、ドドンガの前に置いた。


「んなっ、これは……」


「こんな時用に(お姉ちゃんと真に)、貰ったんだよ」


 ドドンガは言葉の足りないマーニャの話を意味を間違えて理解した。


(ランディとやら、お前の親父はとんでもない金持ちだな……)

 

 ……

 …………


 マーニャは、六百五十万ドラルを約半額の手数料で換金した。


 ドドンガは気を使い、貨幣を金貨をだけにせず、バランスよく渡した。


 マーニャは金貨六十枚相当を、金貨を四十八枚、銀貨九十六枚、銅貨二百四十枚にして受け取り、六つの小袋に均等に分けた。


 そこで、ランディが一人で戻ってきた。

「みんな、お待たせ。 さあ、今夜の宿を探そう」


 ランディ達は、ドドンガと別れの挨拶をして、ギルド会館を後にした。


 ギルド会館を出てから一分もしない内に、ランディは困り果てていた(たたず)まいのエフィス母娘を見つけた。



宣伝です。

ランディの転生物語を書いてみました。


題名は『神級回復呪文使いが、転生したら……こうなった』



http://book1.adouzi.eu.org/n9057df/


です。

気になる方はどうぞ、って言うかミテ~~~。

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