128#Aチーム【ランディ怒る】
ジャックとジェイソンは、あるレーダーを用意していた。
それは、生命力の高過ぎる生命体を探すためのレーダーである。
アナログなレーダーに辟易しながら、カミーラを探していた。
そして、カミーラに近づいて来たなと、思った辺りからカミーラを指しているであろう針の動きが、予想外にブレ始めた。
「なんだってんだこりゃぁ……」
一人愚痴たジャックに、ジェイソンが口を開く。
「カミーラクラス二人いる……あっちとあっち」
指を差すジェイソン。
「うわっ喋った……って、バケモンが二人もいるのか……こいつは、象にだって反応しないんだぞう? くはははっ、俺はあっちに行く……お前はそっちな、もし、そっちがカミーラでも犯るのは、俺だからな?」
……
…………
………………
少し歩くと、ジャックは、何か考え込んでいるカミーラを見つけた。
「見つけぜぇ……しかも、こっちに気づいてねぇ……ククッ、重装備で失敗したぜ……」
対ノスフェラト用の麻酔銃を構え、狙いを定める。
「クケケッ、今だ! なにっ?」
ジャックが引き金を引いた瞬間、スコープからカミーラの姿が消えた。
長射程の銃を投げ捨て、連射の出来るハンドガンに切り替え、ジャックに迫り来るカミーラを狙い、撃ち捲る。
「く、くっ、ば、化け物が……」
ジャックの撃った弾丸は全てカミーラは避けてしまう。
カミーラとて、弾丸より速く動ける訳じゃない。
ジャックの構えと銃口の向きで、位置を予測して、気配が大きく変化した瞬間にその場を回避するだけで弾丸を避けていたのだ。
相手が素人ならは、弾道の予測は困難だし、気配を完璧に殺せる玄人なら、射出の瞬間を読むことが出来なかったであろう……
カミーラにとって、ジャックは手頃な相手だった。
全ての弾丸を避け、ジャックと会話出来る距離まで近づいたカミーラは、睨む。
「お主……武器を見るに、ガストブレイクの手の者じゃな? 何ゆえワシを襲う?」
ジャックは冷や汗をかきながらも、答えた。
「ケッ、上層部は停滞が嫌いな様でね……俺とカミーラの愛の絡みを見たいんだよ」
「くっ、ゲスどもが……」
「そう言う事で、大人しく捕まってくれないかなっ」
ジャックは電磁ネットを使った。
虚を突かれたカミーラは、電磁ネットに捕まる筈だった。
「今のは危なかったのじゃ……」
今度こそジャックは苦い顔をした。
奥の手まで避けられていたのだから。
「観戦者にはお前の薄汚い裸体で、我慢してもらおう……なっ」
ジャックに向かって一歩、踏み出した瞬間、別方向から、電磁ネットがカミーラに向かって発射されていた。
「し、しまった!」
その方向には、ジェイソンが武器を構えて潜んでいたのだった。
「うわぁ、ジェイソンに美味しいとこ持っていかれたぁ……だが、何でここに?」
「カミーラ……情報通りなら……苦戦する……そう思った」
ジャック本人も気づかずに、事を成したジェイソンにムカつきながらも、電磁ネットに絡まったであろうカミーラを、確認するために歩いた。
しかし、電磁ネットに何も無かった。
実際は電磁ネットは白く凍っていたのだが、ジャックは気がつかない。
「そこまでじゃ、」
ジャックはカミーラに背後を取られて、腕を後ろに捻られた。
カミーラは、吹雪の魔法を使い、電磁ネットが覆い被さるのを数瞬遅らせていたのだった。
だが、ジャックを捻り上げようとした瞬間、カミーラの体に予測出来ない衝撃が走った。
「あっ……が……な、に、?」
カミーラがドサリと地面に崩れ落ちた。
「クックックッ……ぐあぁはっはっはっはあ! 全く最終手段を使わせるとは恐れ入ったぜ、効いただろ? この54ボルトの電圧はよ、電流さえ下げれば人間様は大丈夫なんだよ! まさか、こんな弱点が有ったとは驚いたろ? まあだいぶ痛かったがなぁ……実験結果だと、六分間は身動きが取れねぇって事だぞ……」
目当ての獲物を捕らえた喜びで、饒舌になっているジャック。
カミーラは、自分の知らない弱点を突かれた驚いていたが『実験結果』の単語に、吐き気を催す程の悪寒が走った。
「じ、実験、と、は……ま、ま、さ、か……まざがぁぁぁぁぁ!!」
「おいおい……麻痺してんじゃねぇのかよ、スゲェ声だぜ? じゃ十回くらい射精したら、教えやんよ……煩いと運び難いから暫く眠って貰うぜ……」
ジャックは、対ノスフェラト用のハンドガンを構えて撃った。
パン! パン!
と乾いた音が響き、カミーラは意識を失った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
捕まえた、熊を解体していたランディは、ふと辺りを見回す。
僕を見ていた気配が消えた……
「ランディ、どうかした?」
香織ちゃんが僕の僅かな変化に気づいて聞いてくる。
「うん、あの金髪のカミーラさんに、何か合った見たなんだ、今夜様子をみよう」
……
…………
と、言うわけで、カミーラさんの様子を探りにいって参ります。
「お兄ちゃん、一人で行くの?」
「今回は、偵察なので香織ちゃんと二人で出掛けます」
「そんな事言って、ついでにイチャイチャしないなぁ?」
「らんでぃ、私も行きたい」
「お兄ちゃん私の方が役に立つよ?」
う~ん、ここは香織ちゃんの力を見せてあげなくては……
「何故香織ちゃんかと言うとね、一番適任だからだよ、香織ちゃん見せてあげてあれを……」
「解ったわ……すぅぅ、発動 "闇衣"」
香織ちゃんは、別の世界で手に入れた可念盤の力で姿を消した。
相変わらず、凄いな……姿が気配が完全に消失してるもんな……
今の香織ちゃんを判別する方法は、匂い・熱源探知・超音波くらいしか思い付かない。
ビックリしているマーニャ・リリスたん・ひなたん。
「ねっ? 何故連れて行くか解った?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カミーラは、ジャックに凌辱されていた。
定期的に、54ボルトの電撃を受けて、運動機能が麻痺しているカミーラに抵抗する術は無い。
今の無抵抗なカミーラを、犯し続けているジャックは、少々物足りなさを感じているが、カミーラを完全に自由には出来ない……一応手は縛って有るが、幅のあるプレイをするため、脚までは縛っていない。
結果、定期的に電流を流すしかない……
そしてジャックは、ある行動にでた。
「そうだ、お前の妹……サクラだっけか、そいつがどうなったか知りたいか? おっ、締め付けるじゃかねえか……」
口を封じられているので、話は出来ない。
ジャックは、ガストブレイク社に騙された経緯、様々な、人体実験・最終的には、肉体を少しずつ切り刻み、人体のあらゆる箇所を摘出したと伝え、カミーラの反応を楽しみながら、犯し続けていた。
カミーラから、血の涙が溢れ始めた時、ジャックはとどめとも言える言葉を吐いた。
「なあ、カミーラさんよお……なんで、実験体が、生き延びていたかってなぁ? カミーラのためだよ……自害しようとした実験体をカミーラのためだってさあ!」
「!?」
「身体中のパーツを切り取っても、生きていたのはカミーラを実験体にしないための、会社との約束したんだってよ……まあ、でもその会社は約束を反古して、俺を送り込んだけどなぁ……」
「…………!」
「流石にショック過ぎて、反応も出来ないか……、しかし無念だよな、頑張って身体を差し出して死んだのに、姉も同じ目に合うなんてなぁ、うかばれねぇ、ぜ? ……あ……」
怒りで正気を失いかけていた、カミーラは物凄い殺気により、殺気の方に首を向けた。
ジャックは、当てられた殺気に、呼吸するのがやっとの状態だった。
「な……ん……だ……?」
ジャックも、ゆっくりとカミーラと同じ方向を向く。
そこには、怒り心頭のランディが立っていたのだった。
どうやら、全てではないが、ジャックの話を聞いていた様だ。
「話は聴いた……これから俺独断で、カミーラの味方になる……手始めにキサマは死ね」
ガガガガガガ…………!!
突然、機関銃の乱射する音が響き渡る。
その衝撃に、ジャックは何とか動く事が出来、ハンドガンを2丁手にした。
「へっ……ビックリさせやがって……しかしなんてぇ殺気だ……本気でビックリしたぜ…………なっ!?」
ジャックが驚いた理由は、ランディが機関銃の乱射を受けても、無傷のままその場にいたからだ。
「香織ちゃん、あれを殺ってくれ……」
何も見えない空間に、話しかけるランディ。
そこには可念盤と言うマジックアイテムで、姿を消した香織がいた。
「こいつ……機関銃が効かないのか? 何で?」
「誰が教えるかバカ!」
そう言ったランディは、急にジャックに接近した。
ジャックは慌て、2丁のハンドガンを撃ちまくった。
ジャックの行動は完全に悪手だった。
機関銃の乱射で無事だったランディに、ハンドガンが有効で無いことは、冷静になっていれば理解出来た筈なのだ。
ランディはジャックの懐に入り、拳を握りしめて呪文を唱えながら、殴った。
「第1レベル呪文……リバース……ライトダメージ」
ボゴッ!
ジャックは、殴られた瞬間に全身にダメージを受けた。
徹底的に鍛え上げた戦士なら、軽傷ですむ攻撃だが、ジャックには行動不能になるほどの衝撃だった。
「ほべぇぇぇっ!」
「次は、玉を潰す……目玉か金玉を選べ……答えられねぇなら、両方潰す」
「あっひゃぁ~~~~! ごめんなさい、スミマセン、勘弁して下さい!」
(このままだと死ぬ……死んでしまう……ジェイソン早く俺を助けろ!)
しかし、今のランディに時間稼ぎは通用しなかった。
「選べなかったな……」
ランディの人差し指が、ジャックの右目を貫いた。
「ぐああぁぁっっ!!」
のたうち回るジャックに、ランディが無理矢理引き起こす。
「まだまだ……」
「ひぃっ! 取引だ、俺の知っている情報を全部渡す! だから、今ので勘弁してくれっ!」
(ジェイソン!! 何をやっている……えっ?)
ジェイソンは、姿を気配の無い所から、突然香織に襲われていた。
急所への、投げナイフをまともに受けた、直後に、『スクロール』を使い三発のマジックミサイルを受け、止めに、ナイフを突き立てられていた。
ジャックとは違い、耐久力の有るジェイソンは、機関銃で反撃するも、ランディから貰ったexclamationバックルの効果で、全く命中しない……後手に回ったジェイソンは、ダガーを深々と突き刺されて、絶命した。
ジェイソンが死んでいるのを見たジャックのすることは一つ、出来るだけ自分の知ってる情報を流すしか無かった。
下手な交渉は、通用しないと自分の『も』で確認していた。
……
…………
ジャックは、全ての情報を開示してから、ランディに命乞いをした。
ランディは、少々考えてから答えた。
「色々教えて貰ったし……僕が手を出すのは……無粋か……わかった……僕はお前には手を出さない」
ジャックは、助かったと思い、一気に脱力した。
「第3レベル呪文……ライトキュア。第2レベル呪文……ヒール」
ランディは、カミーラの拘束を解き、回復までした後、
「カミーラさん、僕は出口で待ってるから、後で話をしよう……行こう、香織ちゃん」
ジャックの目の前には、冷めた瞳をしたカミーラが立ちはだかっていた。
「そこの、お兄さん! 助けて下さいっ! このままだと俺は……俺は……」
(言っただろ……僕は手を出さないって、後の事はお前とカミーラさんの問題だ……)
ランディは振り向きもしないで、頭の中で答えた。
……
…………
出口で、少し待っていたら、軍服に身を包んだカミーラが、やって来た。
カミーラの足取りは元気なく、表情は全てを諦めた様な顔をしていた。
「すまなかった……」
「思ったよりた……早かったね……」
それは、『ジャックをあっさりと殺したね』と言っている様な物だった。
カミーラは俯いたまま、反応しない。
ランディはカミーラをそっと抱き締めた。
「っ……な、にを……」
「これから忙しくなるよ……後、十数日で、ガストブレイクに向かう、自動航行船がくるんだろ、サクラさんの敵を取りに行こう。 ……だから今は、泣こう……今カミーラさんのすることは、泣いて泣いて、精神を回復することだよ……」
ランディの包容に少しだけ力が入る。
「っ……う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!! サクラッ! サクラァァ!」
……
…………
「すまなかったのじゃ……」
カミーラは、香織に謝っている。
「ん?」
香織は、カミーラの詫びの意味が解らない。
「その、そなたの男の、胸を借りてしまって」
「あっ……でも、私の男って訳じゃ……」
慌てて、否定しようとしたけど、途中で辞めてランディを見る。
「香織ちゃんの事は大好きだけど、伴侶って訳じゃないんだ……これからみんなの所に行って改めて紹介するからね、暫く仲間になるんだ、あの子らはかなり騒がしいけど、きっと楽しいから」
「しかし、ワシはそう言う気分では……」
再び、俯くカミーラ。
「カミーラ、サクラさんの事を考えているなら、考え方を変えよう……カミーラは、サクラさんの分も生きて、笑って、食べないとね……そうする事でサクラさんは浮かばれるんだ」
「ランディ……グスッ……」
「怒りは、サクラさんを陥れた奴等に取っておいて。今は、僕たちと同じくサバイバルゲームしている人達を困ってるなら助けよう」
ランディは、運営には嫌がらせで、出来るだけ多くの生存者を出し、多くの賞金をふんだくり、サクラ殺害の関係者には、カミーラに全てを任せる予定でいた。
「さあ、カミーラ、みんなを紹介しよう!」
今は、まだ仮初めであるが、後に別世界で、名を轟かす『ランディパーティ』が全員揃った瞬間だった。
言い忘れていましたが、ジャックは、無惨に殺されてしまいました。
そう言った描写が欲しい人は感想かメッセよろしく。




