132#Bチーム【サバイバルゲーム】開始
本ゲームのBチームと呼ばれている、生き残りの五人は、早朝に無人島に上陸した。
最終日の食料ボックスには、地図と、一枚の座標を記したカードが添えられていた。
五人は、其々カードを見ながら考え事をしていた。
「これは……多分、サバイバルゲームを便利に乗り切るヒントなのかも知れない。」
「お兄ちゃん、私もそうだと思うな」
石川兄妹はカードを見せ合いながら、コンテナから離れていく。
どうやら、待機していた五日間で体調も良くなった様だ。
このグループは、五人全てが簡易リュックサックを持っていた。
石川かなたは、Tシャツを細かく紐状に切り分け、三編みで寄り合わせて丈夫な紐にして、ジーパンの腰と脚の出口に上手く紐を通した。
腰の部分にはベルトの穴を使い、脚の出口付近は槍を使い、穴を空けた。
こうして、ジーパンは大きい物が入る場所が一つと小さい物が入る場所が二つある便利なリュックサックに様変りした。
感心している新潟夫妻に、自慢気にしている石川まどか。
まるで、『どお? 私のお兄ちゃんって凄いでしょ?』と言わんばかりだ。
コンテナの爆発に、石川かなた以外はずいぶんと驚いていたが、それも一時の事で五人でこれからの事を、地図を見ながら話していた。
地図~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
軸 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
─ 海海 海 海 海 海 海 海 海 海 海
一 海┏ ━ ━ ━ ━━━━━┓ 海
二 海┃ □ □ □ □ □ □ □ ┃ 海
三 海┃ □ □ □ □ □ □ □ ┗ ┓海
四 海┃ □ □ □ □ □ □ □ □ ┃海
五 海┃ □ □ □ □ □ □ □ □ ┃海
六 海現 □ ┏ ━ ┓ □ □ □ □ ┃海
七 海┗ ━ ┛ 海 ┃ □ □ □ □ ┃海
八 海海 海 海 海 ┃ □ □ □ ┏ ┛海
九 海┏ ━ ━ ━ ┛ □ □ □ ┃ 海
零 海┗━━━━━━━━━┛ 海
─ 海海 海 海 海 海 海 海 海 海 海
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富山健太のカードには『九・2』
石川まどかのカードには『五・3』
石川かなたのカードには『九・6』
新潟秀次のカードには『二・2』
新潟雅子のカードには『三・8』
と記してある。
そして、三人の持ち物は、
Tシャツ二枚・Tシャツの生地を使って出来た紐が若干・ジーパンが一つ・ジーパン形リュックサックが五つ・ペットボトル(用量一リットル)が二十本・トイレットペーパーが一つ・槍が一本だった。
五人は相談の結果、三つのグループに、別れて行動する事に決まった。
そして、余裕の出来た者と困った者は、太陽が真上に上った辺りの時間帯で、この場所に集まると言った不定期集合する事になった。
こんな結果になるのは、理由がある。
それは富山健太の存在だ。
新潟夫妻め石川兄妹も富山健太は、自分のためなら他人の事など、どうでもいいと思うタイプだと認識している。
ほとんどの人間はそのタイプなのだが、富山健太は、その事に全く遠慮しない正確なのだ。
安全が約束された場所なら彼は無害に近い存在かもしれないが、そうでない場合は寝込みを襲う事もするだろう……みんなそう考えていた。
富山健太にしても、独りは心細いが、この面子での集団行動は嫌だったらしい。
サバイバルゲームが楽だったら、独りで行動して、困ったら助けを呼べば良いと思っていた。
こうして、富山健太は海岸を南下。
石川兄妹は 、東の森林に向かい。
新潟夫妻は、海岸を北上し始めた。
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石川兄妹、新潟夫妻 、富山健太ら五人が内陸部に入ってから五時間弱が経過して、太陽がもう少しで上になる頃、爆発したコンテナ付近に、もう一つのコンテナが、出現していた。
そのコンテナが、開くとその中から、三人の男と三人の女が出てきた。
その男女とは、キンジ・カーズ・アーサー・マリ・ユリ・エリの六人だ。
その内のマリ・ユリ・エリはアーサーに、
「先日はありがとうございました。……あの、報酬は三十日後のゲームクリア後で良いでょうか?」
「それで いい これ やる 困った時 使う」
アーサーはロケット花火三本と電子ライターを一つ三人に渡した。
三人は、最戸お礼を言って、足早に内陸部に消えていった。
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キンジ視点
ああ……とうとう、サバイバルゲームが始まったか……嫌な予感しかしねぇよ……
「カーズさぁん、サバイバルゲームって具体的に何するんですか?」
「基本、文明の利器無しに生活する事だな……アーサーがいればヌルゲー過ぎるが、そこは運営に期待しよう」
期待したくないっす。
無事に一ヶ月すごさせて下さい。
「でも、このカードと地図って」
「う~ん、多分手遅れ……キンジとアーサーのカードを、しっかり見てたし」
えっ? いつの間に?!
しかもアーサーさんからも見れたって……どんだけ!?
「女 見たそう だから 見せた 女 驚いた でも見た」
あっ、そう言うことっすか……納得しました。
「でも、カーズさんは? 流石に見せてないっすよね?」
「ああ、私は見られていないね……暇になったらその座標まで探検しよう」
すると、コンテナからアラーム音が鳴り、その後コンテナは爆発した。
「おわっ! ビックリした……」
カーズさんとアーサーさんは、驚きすらしないのね……
まさか知ってた?
兎に角、これからの事を聞こう。
「カーズさぁん、これからどうしますか?」
「ん、サバイバルゲームの醍醐味は、住居の確保と、水、食料の確保なんだよ……ぼーっとしてると美味しい所に全部アーサーに持ってかれますよ」
いえいえ、全部持っていって下さいませ。
「キンジ、この時のために、昨日教えた呪文を使いなさい」
えっ? あれっすか? こんなところで何に使うのかな……
「分かりました……すぅぅぅ……大森林の精霊達よ、我に森の恩恵を与えよ……クライミングツリー」
おれの超絶呪文で巨大な木が出現した。
ふっ、さすがおれ……
「キンジ 次 俺 やる 第2レベル呪文……クライミングツリー」
アーサーさんが、呪文を使った。
おれの時とは違い、二本の大木が出現した。
さすがアーサーさん、このおれの二倍のクライミングツリーを出すなんてな……あっ、冗談です。
「それじゃ、私は家でも作るかな……アーサーと、キンジは食料を頼む」
「解った 任せろ キンジ 行く」
カーズさんはあんな大木三本でどんな家を造るんだろうか……
……
…………
………………
おれは今、圧倒的恐怖に襲われている。
原因はアーサーさんだ。
恐い、恐すぎだ……カーズさぁん助けてぇ。
内陸部の森林に入って、約5分過ぎてからのアーサーさんの奇行を説明しよう。
「早速 メシ 見つけた」
アーサーさんが見つけたのは、手のひらサイズの大蜘蛛だ……ひえぇ……
「ここ 食べ物 豊富 贅沢 する」
なんて言ったとたん、蜘蛛の手足を引きちぎり、パクッと本体を一口で食べてしまった。
やめてぇぇぇぇ!
「むっ これ 毒 有る キンジ 食べれない 残念」
残念じゃないっすよぉ! むしろラッキーです。
毒がなかったら、おれに食べさす気ですか?
無理っす、絶対に無理っす。
おれは声に出さないように抗議した。
その後は、樹の皮を削り、蔦や蔓を使って篭を作ってしまった。
アーサーさん、めっちゃ器用っす。
ちなみに余った樹の皮は、アーサーさんが美味しく食べてました。
二つの篭には、どんどん食材とは呼びたくない物が入れられている。
一つは、無造作に入れてあるアーサーさん用。
もう一つは、アーサーさんが毒味して、無毒の物を入れているカーズさんと俺の分だ。
気を使ってくれるのは有りがたいんですけど、もっと別のとこに気を使って下さい!
昆虫はいやぁぁぁぁ!
これから、野菜もたくさん食べるから、蜘蛛はやめてぇぇ、ああっ! 脚をもぎ取られた昆虫が次々と篭の中に…………
移動中に、川を見つけアーサーさんが一口飲む……
「俺 驚く 水 澄んでる」
「川の中に何が住んでるんでるっすか?」
「馬鹿の 相手 疲れる 水 綺麗 キンジ 飲める」
「しくしく、そんなに冷めた顔をしないでくだしいよぉ」
おれ勘違いした……テヘペロ。
おれはこんな事もあろうかと、空のペットボトルを一本ちょうだいしていたのさ。
カーズさんやアーサーさんは、そこらは計画性無いからなぁ……
アーサーさんは、様々な茸のバイキング中っす。
茸って旨いのがたくさん有るけど、自然界の茸って毒茸ばっかりって聞いたぜ、しかも見分けるのはプロでも困難って話しだ……アーサーさんは…………あっ忘れてた、アーサーさんは見分けるんじゃなくて、食べて確認するんだった。
ひとしきり、茸バイキングを楽しんだ筈のアーサーさんは、浮かない顔をしていた。
「アーサーさぁん、どうしたっすか? ま、まさかついに茸の毒が……」
「キンジ アホ 俺 毒 効かない 茸 変 無毒の 茸ばかり 毒茸 殆ど 無い」
へぇ、そんな偶然って、あるわけ無いよな……水はそのまま飲める、生えてる茸は食べれる物ばかり……その招待は……昔は茸の栽培をしていた地帯だと、おれは見た。
しかし、おれの予想をアーサーさんは否定したの。
「キンジ バカ ここ 人工島 間違いない」
何ですって!? ここが造られた島? だとしたら、運営の力って……どのくらい? わかんねぇけど、スゲーのはわかった。
こうして、沢山の食料を持って砂浜に帰ってきた。
砂浜に戻ると、やたら完成度の高い木造建築一戸建てが、出来上がっていた。
素手でどうやったら、こんな家が建つんだ?
やっぱり、カーズさんもアーサーさんと同じ非常識な人だった…………いや、もう人間じゃないよな……




