13#激闘 戦士ブライアン
頑張れブライアン!
オレ達は、10体の3m級武装スケルトンに囲まれている。
みんなを見る、流石にびびってるようだ。
無理もない。
オレだって恐い。
この状態で襲われたら、勝ち目は無いか……いや、何とか突破口を探さないと……それには……
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ユリウスが悲鳴をあげた。
恐怖の限界が来たか……
「もう、駄目だぁぁぁぁ」
としゃがみ込む。
一番近くにいたマーニャが、ユリウスを励ます。
「しっかりして!あきらめたらダメ!…………なに……この光」
オレも気付いた。
ユリウスの左胸から光が漏れてる。
ユリウスも正気を取り戻したのか、左胸をまさぐる。
光の正体はギルドカードだった。
ユリウスは光るカードを見る。
「特殊能力が……読める!?」
「「「えっ?」」」
みんなで同じ声を出した。
「で、どんな能力?」
期待を込めるマーニャ。
「地上への転移門を召喚 だって」
うっわぁ……なんて都合の良い特殊能力なんだ……よし! 希望が湧いてきた。
「脱出だ!」
ユリウスが意気込む。
シャルがユリウスを止める。
「待って、このまま門を召喚したら、スケルトンも一緒にくるんじゃないかしら?」
「だったら 皆、脱出したら門を閉じれば良いじゃないか」
マーニャが
「どうすれば門を閉じれるの?」
「うっ、そ それは……」
口ごもるユリウス。
オレは 言い争いをしてるのに、一向に襲って来ないスケルトンの事を考えていた。
思い出すと、2m級のスケルトンも、オレが近づいてから動きだした気がする。
もしそうだとしたら、この化物スケルトンも 同じなのかもしれない。
なら、考える時間はあるだろう。
保証は無いけど。
「皆、あんまり動かないで。多分 あのスケルトンはこっちから動かないと、襲って来ない」
「あっ…………そう言えば、さっきから動いてないよね」
「だから、このまま ユリウスの特殊能力で脱出しよう。スケルトンをこのまま放置するのは気になるが、今はこれしか無いと思う」
「うん、賛成」
とマーニャ。
「うん、お願いユリウス 頼める?」
「わかった、門よ出でよ!…………あれ?出ないよ。
やり方が違うのかな……」
「あっ……」
シャルが何かに気付いたみたいだ。
「どうした、シャル……あっ!」
オレも気付いた。
この部屋の端に約1m四方の通路らしき穴がある。
その奥で 輝く光の門を見付けた。
「そ、そんな……」ユリウスも気付いたな。
光の門にたどり着くには、どうしても巨大スケルトンと一戦交えなければ ならないと……
少し考えた後、オレは覚悟を決めた。
「みんな、オレが別方向に移動して『おとり』になる。オレが戦い始めたら、一斉に脱出してくれ。幸い光の門手前の通路は狭い、あのスケルトンじゃ通れない。だから、光の門にさえ たどり着けば助かる。」
ユリウスが聞く。
「そんな、ブライはどうするんだよ」
「もちろん戦いを仕掛けながら、隙を伺い、脱出する」
「だったら、みんなで……」
シャルが引き留めようとする。
「駄目だ、相手の数が多すぎる。まず、みんなを逃がして その後オレが一か八かの賭けに出る。
これが 一番生存率が高いはずだ」
シャルが涙目で「駄目だよそんなの!」
「嫌、もう決めた事だ。スケルトンもこのまま動かない保証は無い、だからもう 特攻を仕掛ける。ユリウス!マーニャ!シャル!オレの賭けが成功するのを 祈っててくれ!」
オレは スケルトンに向かって走り出す。
案の定巨大スケルトンは オレに集まって来た。
皆が走りすのを確認してから オレはスケルトンを見直す……
もう 囲まれてる……
オレだって勝算が無いわけでは無い。
戦いの度に、急速に強くなって行くオレ……
その戦いの中で、きっと活路が有るはずだ……
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こうして、戦士ブライアンの無謀な戦いが始まった。
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今、オレは懸命に剣を振り続けている。
幸いな事に、スケルトンを一体だけ相手にして戦っている。
残りはオレを取り囲むように、配置している。
ユリウス達は、無事転移門までたどり着いただろうか、 オレには確認する余裕が無い。
オレとスケルトンの攻撃がぶつかり合う。
力で負けてる、スピードでも負けてる、相手は3m級のスケルトン、戦う手段も限られている……
もう、幾つの傷を負っただろう、数え切れない……
だが、まだ戦っている。
そう、オレは未だ負けてない 鼓動がうるさいくらいに聴こえる。
相手の剣が見える…… どう戦えばいいか判る……感じる。
「オレは戦士ブライアンだ!!」
このかけ声を境に、形勢は少しずつオレに傾き始めていった。
もう何分スケルトンと戦っているか判らない。
しかし、遂にオレの一撃がスケルトンの片足を破壊した。
バランスを崩すスケルトン、よしっとどめだ!
オレはスケルトンを破壊した。
しかし、スケルトンは破壊される直前にオレの右足に切りつけていた。
深手を受けてしまった。
スケルトンはとどめを刺される瞬間でも 、全く怯んでいなかった。
そうだな、スケルトンに感情なんて 無いもんな。
残りは9体か……
今度はスケルトンが2体、オレに向かって動きだした。
2体か…… 不幸なのか幸運なのか、判らないとこだな。
流石に 今度は防戦一方だ、まずい。
反撃の糸口さえ掴めない。
右足の深手に続き、左腕も深手を負った。
そして、遂に左足も…… 倒れ込むオレに 2体のスケルトンが 覆い被さってくる……
終わった…………
オレの異世界生活は短かったが、日本に居た頃より、何倍も充実してた。
ユリウス、マーニャ、シャル、無事に外に出られただろうか? アーデル、もう一度アーデルの出す水を飲みたかった……
オレの冒険は此処までのようだ。
もう満足だ……………………
……本当に満足したのか?
そうだ、後一振り……後、一振りだけ……
そう思ったら右腕が動いた。
しかし右腕には、何の感触も感じなかった。
代わりに、前後から物凄い熱い衝撃を受けた。
もう何も見えない。
もう何も聴こえない。
もう何も感じない。
みんな、さよならだ……戦士ブライアンの冒険は ここまでだが、みんなはまだ……まだ、生きていてくれ…………
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こうして、ブライアンは息を引き取った。そしてブライアンの死体の側には、1体の首なしスケルトンが、倒れていた。
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さよなら ブライアン(ノ_・。)
少しずつ 宣伝しました。
しかし ファンレター まだ着ません なぜでしょう?




