118#サクラ・フォン・アルフシュタイン
私は、サクラ・フォン・アルフシュタイン。
ある日、カミーラ姉様と木陰で、のんびりと過ごしていると、原因不明の超常現象により、未知の世界に吸い込まれてしまいました。
現地の人々は、とても優しくしてくれ、途方にくれていた私たちに、住居と食事を用意してくれました。
そして、色々気遣ってくれています。
もとの世界に戻れる研究も、してくれると言ってくれました。
私達に合う食料も、探してくれました。
これからの生活の事を親身になって話し合ってくれました。
そして、この世界は様々な病原体が在るからと、人間ドックと言うものも進めてくれました。
だけど、何故かカミーラ姉様は検査の類いを一切断り、あの親切な人達と距離を置いています。
でもある日、彼らが真剣に私達を心配してくれていたので、つい注射器1本分の私の血液を提供しました。
まさか、これが地獄の始まりだとは気づかないで……。
私は彼らに捕らえられてしました。
そして、身体中に金属の棒を差し込まれ、様々な人体実験を受ける事になった。
私とカミーラ姉様は『ノスフェラト』 と言う吸血種族です。
『ヒューマン』と違って、高度な身体能力と再生能力に加え、少々の魔法もあやつります。
そして生半可な攻撃では、傷がつかない強靭な肉体も持っているのですが、私の血液を元に『ノスフェラト』の弱点を見つけたのでしょう。
私の身体を切り刻んでは、再生実験を繰り返しています。
苦痛に負けた私は自害を試みました。
『ノスフェラト』でも自殺くらいは出来るんです。
ですが、彼らはこう言いました。
『君で満足の行く実験・研究が出来たら、既に幽閉しているカミーラには、危害を加えない』
言い換えると、私がすぐに死んでしまったら、次はカミーラ姉様を切り刻むと言っているのと同じだった。
だから私は人体実験に、耐える事にした。
カミーラ姉様を私と同じ目に合わせないように。
……
…………
………………
あれからどれくらいの月日が建ったのだろう……
10日かも知れない……100日かも知れない。
私の身体の大半は切り取られてしまった。
既に眼球も鼓膜も切り取られて、なんの感覚もない……身体の重要な臓器も恐らくほとんど抜き取られているだろう……でも私は死ぬわけにはいかない。
カミーラ姉様に、こんな地獄を受けて欲しくないからだ。
……あっ、また私の身体の何処かを切り取っている……もう痛みだけが、私を生きてると実感させている。
……
…………
………………
そろそろ私も終わりの時が来たみたい。
あれだけ感じた、激しい痛みが無くなっていった。
それとも私には、もう切り取る部位すら残って無いのかな?
意識が遠のいて行くのが解る。
カミーラ姉様……私、頑張ったよ、凄く辛かったけど頑張ったよ……だからカミーラ姉様には手を出さないよね?
カミーラ姉様、私はもう消えて無くなっちゃうけど、カミーラ姉様は幸せになって……私の分まで、しあ……わ…………せ、に…………な、っ……………………。
この日、『サクラ・フォン・アルフシュタイン』という一つの命が消えた。
今回も短いです。
もう一発投稿します。




