表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/172

102#感染

 ランディside


 ランディが3人の女性の前で、今後の方針を話していた。


「いつ頃になるか解りませんが、ガルが戻って来るまで、この世界を堪能したいと思います……まず、僕の行きたい所は雑貨屋とリフォームを取り扱っている店です」



 マーニャが手を挙げる。


「はい、マーニャ 何でしょう?」



「お兄ちゃんはそこで何をするの?」


 ランディは答える「水風船と空気入れ、後は……割れやすい瓶かな……ここは、ゾンビばかりの世界みたいなので、聖水を作ります」


「リフォームのお店は?」


「趣味です……だから内緒」

 と言って人差し指をマーニャの唇に付けた。


 マーニャはデレた。




 ランディは瞬く間に3階を制圧して、生存者のいる2階に降りた。


 ランディの特技の1つ、アンデットの浄化は『ターニングアンデット』と言って、本来アンデッドモンスターを、強制退却させる特技なのだか、高レベルクレリックは、退却では済まないで浄化までしてしまうのだった。


 例えるなら、ランディは 通常のヴァンパイアまでなら浄化してしまう。

 浄化出来ずに退却になるのは、ヴァンパイアの真祖級とヴァンパイアより高位にあたるアンデッドモンスターとなる。


  ランディの『ターニングアンデッド』は1度発動すると5分間の、インターバルをおく必要がある。


 それでも、この世界ではランディの力は圧倒的だった。


 

 ランディは100円SHOPを見つけ大量の水風船を手に入れた。

 勿論お金はレジの前に置いた。



 ランディは瓶や水風船に水を入れ、それを大漁に用意した。

 その数瓶が200個水風船が800個。

 ランディはそれらに向かって呪文を唱える。

「第1レベル呪文……ホーリーウォーター……完成です」



「お兄ちゃんハヤッ!」


 水風船を複数のカートに入れ、

「さあ此れから人助けと言う名の商売を始めましょう」



 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 8時間≡


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ◇2階某店舗内◇


 この中には、残りわずかな食料で飢えを凌いでいる8人組がいた。


 この8人組はこの店の店員だった。

 食料系の店と、水回りが生きていたおかげと、店長と7名のチームワークの良さで、誰1人欠ける事無く生き延びていたが、その食料も、もたせても1週間分……自分達の寿命を悟り始めていた。


 1人の男性が、

「て、店長……外が妙に騒がしいですが……もしかして救助隊が来たんでしょうか?」



「なに?!」

 店長が慌ててシャッター聞き耳をたとに行く。


「確かに若い女性の声が聞こえた気がする……助けを呼ぼう……」


 ガンガン!ガンガン!

「助けて下さい、助けて下さい!」

 ガンガン!ガンガン!


 店長他2名が聞き耳を立てる。


「キャァ! ランディあっちからゾンビがいっぱいで出てきたよ?」


「お兄ちゃん! 此方から3体ゾンビ発見!」


 店長達は、自分の犯した過ちに気付いた……みすみす救助かもしれない人達を、ゾンビの餌食にしてしまった事を……



 暫くすると物音が全くしなくなった。


 店長が脱力して、座り込んだ時、

「生きてる人はまだいますかぁ? 誰かいますよねぇ?」

 と閉じた店の外からマーニャが叫んでいる。


 座り込んでいた店長や店員達は立ち上がり

「い、今開けます、○○君! 非常用のバンドルを回してくれないか?」


 店長達は、大量と思われるゾンビを退けたと、救助隊が来たのだと確信した。


 もし、店長の精神が疲労の限界でなかったら、マーニャの若い女の声に疑問を持ったであろうに。



 ゾンビがいない事を再確認して、バンドルを懸命に回す店員達……


 シャッターが1メートルも、開かないうちに次々と店の外に出る店員達……バンドルを回していた店員も、続くように店の外に出る。



 8人の店員達は、助けてくれたのが救助隊ではなかった事を知った。


 3人の女性はコスプレをしていて、(前の世界の一般的な服)

 男性に、至っては鎖帷子を身に纏っている。


 そんな人間たちが、水風船をいっぱいにカート敷き詰めていたのだ。



 1人が男性に話しかける。

「あ、あなた方は?」


「はい、『聖水』移動販売員です」

 男はにっこりと微笑んでいた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ランディ達は、バ○カンからの特務隊と言う事にした。


 理由はランディが面白いからだ。

 ジト目の香織とマーニャを他所にして、ランディは満足気だった。



 店員達はその言葉をあっさり信じた。

 服装も理由の1つだったが、聖水入りの水風船で実践したからだ。


 店員達が見守る中、ゾンビは水風船2発で死滅してしまったのだ。



 結果ランディは水風船を売ってボロ儲けした。

 ランディの出したカロリーメイ○はプレゼントで差し上げることにした。



 助かった店員の1人が、まだ籠城して生きている人達が居るかも知れないと教えてくれた。


 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 10時間≡


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ◇2階某店舗◇

 この店舗には11人の人達が籠城していた。


 しかし、先に助かった8人組とは違って、チームワークは悪かった。


 籠城して3日もしないうちに、社員組とバイト組に派閥が別れ、社員組が威張り出した。



 始めのうちは、バイトをクビになると脅されて、苦渋を舐めるような生活を強いられて来たが、あまりにも救助が来ない事から、バイトの事はどうでもよくなり、革命が起こった。


 社員組3人に、バイト組8人だ勝敗は直ぐに決した。


 しかし、社員組3人をどうする事も出来ずに、縛るだけにとどまった。


 社員組の思考回路は壊れているようで、『必ずクビにしてやる!』『覚えてろ!』『弁護士を呼んで慰謝料を、請求するからな!』とかの4パターンしか無かった。


 そして、そんな社員組に嫌気がさし、トイレの世話を辞めた初日、外側から人の声がした。

「通路のゾンビは、排除しました。もう大丈夫です。通路のゾンビは、排除しました。もう大丈夫です」と。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 無事?にランディ達に助けられた11人は、縛られた状態の3人に興味を持ち、事情を聞いた。


 全員興奮状態のためか、ランディはみんなの話の中で事実を把握できなかった。


 ただランディは一つだけ分かった事がある。


 3人の社員組は、ランディの嫌いなタイプの人間だったと。



 ここでもランディは商売を始めた。

 社員組は会社のお金を使って、大量に聖水入りの水風船と瓶を買った。


 ランディは11人で仲良く分けるように提案したが、脚下された。


 その3人組のある言葉が、引っ掛かった。

『バイトに人権は無い』『此れから再び奴隷になればクビは勘弁してやる』『また、下の世話に逆戻りだな……ガハハハハ』



 ランディは丁重に3人の社員組を緊縛生活に戻して上げることにした。


 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 12時間≡


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 22時間≡


 一夜明けた朝……ランディはある作戦に出た。


 昨日で大体の事情を聞いたランディは、

「パンデミック!パンデミック!」

と、はしゃいでいたが香織に叱られた。


 今回は、スーパーの食料を確保を考えて『プュリファイフード&ウォーター』を相当数選択していた。



「それでは、これからランディ遊撃隊が、1階の制圧を始めます。皆さんはマーニャの指示に従って下さいね。」



 今回1階の制圧にあたって、8人組の店長を1人案内役に任命した。



 1階に続く道は数多くある。エレベーターが2基、商業用エレベーターが1基、階段が2ヵ所、非常用階段が1ヶ所、エスカレーターが1ヶ所もある。


 エレベーターは停電のため、使用不可能で階段の1つは封鎖されていた?


 ランディはエスカレーターを選んだ。

 今回、この世界の人間に気を使い、マーニャとリリスの、魔法を使うのは避けたいランディであった。


 エスカレーターの前で騒音をたてる。


 数体のゾンビが、音につられて歩いてくる。

 そして集まるとランディの『ターニングアンデット』で浄化をする。



  これを2回繰り返すとゾンビは来なくなった。

 ランディは油断しないで、香織とリリスを連れ1階に生き音を出してはエスカレーターまで誘い込み、浄化を繰り返した。


 この頃になると『イ○ス様、有り難う御座います』と勘違いして、ランディに向かって祈る者も出始めた。


 そして、数時間もしないうちに大量にいた1階のゾンビ達は、ほぼ消滅した。



 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 24時間≡



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 何人かの助言で、新太陽光発電システムから電気を供給出きるようになり、明かりが全体に行き渡った。


 ランディ、香織、マーニャがその発電効率に驚いたが、この世界の人間達の方がランディの能力に驚いていたことだろう。



 照明や空調機能を回復させたランディ達は、スーパーに移動したが、ランディが助けた人々全てが悲しい顔を浮かべていた。


 生鮮食品、惣菜コーナーや乳製品など、賞味期限が短めになっている食品は全滅していた。


 よく考えなくても気付く筈なのだが、もしかしたら……と希望を持っていたのだろう……い 今生き残っている者は皆極限状態に近いのだったから。


 そして、カビたり、腐ったりしている食材の前で、ランディは堂々と立ちはだかっていた。


 香織とリリスはランディが、何をするのか理解していた。

 そう、あれをやるのだ。


 ランディが動いた。

「第1レベル呪文……ピュリファイフード&ウォーター」


 ランディの呪文で食料と飲み物が清められ新鮮な状態になった。


 まだ、何が起きているか状況を掴めていない、現地の人達……ランディは次々に食料を浄化していく……


 スーパー全ての食品を浄化したランディは「あっ……やり過ぎちゃった……今日、明日食べる分だけでよかったんだよね?」

 と舌を出していた。



 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 26時間≡


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



『ピュリファイフード&ウォーター』は元々、王族や貴族の食べ物から毒物を除去するために生まれた呪文であったが、サバイバルとして活躍するようになり、最終的にはランディによって美味しさまで追求された。


 ランディパーティが、美味しそうに食べているので、つられて皆も、食べだした。


 久しぶりのまともな食事に殆どの人達は泣き出した。


 例の横暴社員組の3人は、縛られたままで食べれない事に泣き出していた。


「あの3馬鹿は五月蝿いですね……香織さん、マーニャさん、リリスさん、何処かの物置にでも連れていってあげなさい……可哀想だから『バナナ味の飲むゼリー』でも突っ込んであげて」


 嫌いな人間にも、気を使うランディだった。




 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 30時間≡


 リリスは突然倒れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ