表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深沙の想い白骸に連ねて往く西遊記!  作者: 小日向星海
第九章 玉龍討伐戦
57/339

【五十七 観音菩薩、六丁六甲を玄奘の元に送る】

「ただいま戻りました……」


 河伯の元から戻った恵岸行者は、観音菩薩の居室に声をかけた。


 その時部屋の中から聞こえてきたのは玄奘と孫悟空の言い争いだ。


 ただならぬその声に恵岸行者が慌てて中に入ると、観音菩薩は浄玻璃鏡に映されるその様子を難しそうな顔をしてじっと眺めていた。


「ああ、恵岸おかえりなさい」


 恵岸行者に気づいた観音菩薩は振り返って手招きをしたので、恵岸行者も浄玻璃鏡を覗き込んだ。


 そこには五行山で言い争いになっている玄奘と孫悟空の姿が映し出されていた。


「お師さま、おとうと弟子でしくんたち、どうしてケンカなんて……」


「蛇盤山で玄奘たちを待っているはずの玉龍が、五行山まで来て皇帝から下賜された白馬をたべてしまったのです」


「えっ?!玉龍は蛇盤山から出られないように封印してましたよね?!」


「……どうやら地滑りが起きて結界がこわれていたようです」


「ええ、大丈夫なんですか……?」


「玄奘は混乱していますし、年嵩の孫悟空ならばうまくやるだろうとみていたのですが……」


 浄玻璃鏡には、觔斗雲から引き摺り下ろされ途方に暮れる孫悟空が映し出されている。


「無理そうじゃないですか?」


「そうですね……二人で解決できるかと見守っているのですが……難しそうですね」


 観音菩薩は二人の様子に苦笑すると考え込むように腕を組み目を閉じた。


「あの、自分が行きましょうか?」


「いえ、河伯のところから戻ったばかりのあなたは疲れているでしょうし……なので、今回は」


 観音菩薩は十二枚の符を取り出すと高く放り指を鳴らした。


「彼らに行ってもらいましょう」


 その言葉と同時に白い煙が上がり、その煙が晴れる頃には十二の人影が現れていた。


「観音菩薩さま、陰神いんしん玉女ぎょくじょ陽神ようしん玉男ぎょくなん、只今参上いたしました」


 十二枚の符から呼び出されたのは六丁六甲とよばれる、六柱の女神と六柱の男神だった。




 所は変わって五行山。


「イダダダダダダダ!!イダイイダイイダイイイィイイイイ!らめぇ、やめてえ、脳みそ出ちゃう!出ちゃう、らめぇぇええ!!」


 ついに玄奘は使わないと決めたはずの緊箍呪を唱えてしまった。


 孫悟空は想像以上の痛みにのたうち回っている。


「あなたはずっとここで私と共にいるのです!あの龍のところなんか絶対行かせません!」


「お、お師匠様の嘘つき!緊箍児使わないって言ったじゃないですかぁああああ!」


 坊主が嘘ついていいのかよ!とわめく孫悟空に玄奘は悲しそうな顔をして俯いた。


「そうですね、嘘をつくのはいけないことです。ごめんなさい……だから共に地獄へ堕ちましょう、孫悟空!」


「そこは呪文を止めるところでしょ〜!!もぉおおおおおお!」


「あなたが行かないと言うまで私は呪文を止めません!さあ悟空、行かないと言うのです!悟空!!」


「そういうわけにはいかないでしょう、血の味を覚えた龍がうろついてるんですから!!!」


(うう、せめて俺の他にもう一人いたらお師匠様を任せていけるのに……!)


 強い痛みに孫悟空の意識がだんだんと薄まっていき、完全にそれを手放してしまいそうになったその時だった。


「玄奘様のことは私たちにお任せを」


 その言葉と共に二人の前に現れたのは、見慣れない十二人の男女だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 12人の男女は心強いですね…!これで玉龍への対処ができますね!あとは玄奘が許可をするかと、孫悟空の実力だけですね…どきどき。
2023/04/01 13:42 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ