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深沙の想い白骸に連ねて往く西遊記!  作者: 小日向星海
【第十四章 人参果の木と鎮元大仙】
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【二百十二 観音菩薩と准胝観音、五荘観での騒ぎを知る】

 孫悟空を乗せた觔斗雲は、あっという間に蓬莱山へと辿り着いた。


 広い海の上にある、緑が茂った島にあるのが蓬莱山だ。


 その中に館が一軒みえた。


 孫悟空は觔斗雲を飛ばし、その館へと降り立った。


 深夜ということもあり、館の扉は固く閉ざされ人気もない。


「俺様の名は孫悟空!火急の用があって参った。誰かおられるなら開門願う!」


 孫悟空は声を張り上げて門を叩いた。


 するとしばらくしてギィ、と思い音を立てて門の脇にある通用口から童子が顔を出した。


 童子は眠たそうに目を擦っている。


「おい、ここに福禄寿の三仙はいるか?」


「福様、禄様、寿様はただいまお出かけ中にございます」


「お出かけ?こんな深夜にか」


「はい。崑崙仙人会の慰安旅行で昨日より桃源郷にお出かけでございます」


「り、旅行?!くそ、こんなときに……っ!」


「お戻りになるのは五日の後にございます」


「それじゃあ遅いんだよ……ちっ!わかった、邪魔したな」


 孫悟空はそう言って觔斗雲に乗って夜空に舞い戻った。


「チクショウ、どうしたら……じいちゃんの気配もねえし……そうだ、観音菩薩のところに行ってみるか」


 孫悟空は觔斗雲を繰り、観音菩薩の元へと向かった。



 孫悟空が観音菩薩の元へ向かっている頃、観音菩薩の暮らす普陀山は大騒ぎになっていた。


 観音菩薩は自室にある浄玻璃の鏡によびかけた。


「た、大変なことになった!姉上!姉上!!」


「なんじゃやかましい」


 あまりの騒がしさに、鏡の向こうに現れた准胝観音は眉を顰めた。


 観音菩薩は姉の小言に構わず、浄玻璃の鏡の脇を掴み揺さぶった。


「姉上ですよね、鎮元大仙に玄奘たちを紹介したの!」


「そうだが……画面が揺れる。やめろ。で孫悟空がどうかしたのか?」


「やらかしたんですよ!孫悟空が、人参果の木を切り倒したんです!」


「……は?」


「ですから、孫悟空が鎮元大仙が大切に育てていた人参果の木をきりたおしたんですって!」


「なんだと……っ?!」


「少し目を話した隙にバッサリと!」


「ええ……っ?!」


 准胝観音は困惑した声を上げた。


「あっはは!」


 その背後から聞きなれない笑い声が聞こえてくる。


「笑い事ではないですよ!あの鎮元大仙の人参果の木ですよ!?」


 観音菩薩は興奮して、今にも鏡の中に飛び込みそうなほど近くに寄って大声で言う。


「落ち着け。今の笑い声は妾ではない」


 准胝観音の言葉に、彼女のものではない着物の断片を画面に見つけ、観音菩薩は謝罪した。


「……お客さまがいらしているのですか。失礼いたしました」


「あー、客と言ってもこやつだ。気にせずとも良い」


「やっほ、観音菩薩」


 准胝観音の背後から片手をあげて現れたのは、髪の毛を金から緑のグラデーションに染め、見たこともない服装に身を包んだ女性だった。


「須菩提祖師!」


 観音菩薩はうっかり浄玻璃の鏡に頭突きしそうになった。


 女性の姿をしているが、実は須菩提祖師は男性だ。


 可愛いものが大好きで、中性的な見た目を活かし時空を移動する術を駆使して、いろんな時代のおしゃれを楽しんでいる。


「見て見て、このネイル!可愛いでしょ!ウチのこの髪色にピッタリじゃない?」


 そう言って須菩提祖師はツヤツヤに光る緑色の爪を鏡の向こうにいる観音菩薩に見せた。


「未来の街で見つけたんだけどさー、すっごく素敵じゃない?この服も可愛いし動きやすいし。あ、准胝と瑤姫にも買ってきたからね」


「須菩提……今はそんな話をしている場合ではないとわかるだろう。で、観音菩薩は誰からその話を聞いたのだ?真偽はどうなっている」


「あ、ええと、先程紙の鳥が舞い込んで来まして。そちらに……あれ、宛名がない」


「真偽も定かではないものを信じたのか?」


「でもぉ……」


「いやいや、短気なウチの小猿ちゃんならやりかねないね!」


 やれやれと肩をすくめる准胝観音に、須菩提祖師は「わかるよ観音菩薩のきもち」と、画面に割り込んでカラカラと笑った。


「笑っている場合では……」


 観音菩薩が眉間に手を当てて言っていると、突然扉が開かれた。


「観音菩薩、いるか?!誰もいないから上がらせてもらったぜ!」


 現れたのは今し方話題に上がっていた孫悟空だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] ギャルっぽい須菩提、すごくいいキャラですね…! おとこの娘と言っていいのかはわかりませんが、こういうキャラ、大好きです…。 男だってメイクしたいですし、それを実際にやってくれるキャラがいると…
2024/05/14 20:45 退会済み
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