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深沙の想い白骸に連ねて往く西遊記!  作者: 小日向星海
【第十四章 人参果の木と鎮元大仙】
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【百九十九 孫悟空、人参果を食べたことを認める】

 月亮と風舞は、弟子たちから話を聞いてすぐに人参果の数を数えた。


「確かに三つ足りぬ……」


「孫悟空は玄奘様と共にいるはず。師のそばを離れたのか?」


「玄奘様は体調が良くなさそうだったからな。師が目を離したすきに部屋を出たのかもしれん」


 二人はそんなことを話しながら足早に玄奘がいる部屋まで歩くと、乱暴にその戸を叩いた。


「玄奘様、お聞きしたいことがあります」


「どうされましたか?」


 玉龍が戸を開いて月亮と風舞を入れてくれた。


 玄奘は少し回復したのか、顔色もよくなっている。


 たが部屋には肝心の孫悟空の姿がない。


 二人は顔を見合わせたちょうどその時、孫悟空が戻ってきた。


 彼の背後には弟弟子の二人もいる。


「単刀直入にいいます。玄奘様、人参果は召し上がりましたか?」


「いいえ、私には食せませんとお返しましたよ。それからみていません。なにかあったのですか?」


 突然心当たりのない質問に、玄奘は首を傾げる。


「ボクたちはずっとここにいたし、何も食べてないよ。あ、食べたのはお饅頭!梨のあんこが美味しかったよー!」


 玄奘の隣に座る玉龍が身を乗り出して言う。


「それはよかった。ってそうではなく」


「人参果が三つ、たりないのです」


 玉龍に微笑んだ月亮の言葉を風舞が引き継ぐ。


 その言葉に孫悟空と猪八戒、沙悟浄の表情が曇ったのを玄奘は見逃さなかった。


「悟空?それに八戒と悟浄も、何か知っているのでは?」


「あの、お師匠さん……」


「っていうかそんな実がいくつなっていたかなんてわかんのかよ」


 猪八戒の言葉を遮って孫悟空が言う。


 心なしか、いつも赤い顔が青くなっている気がする。


「人参果は一度に三十個の実をつけると決まっているのだ。我が師鎮元大仙が持っていったのは三つ、我らが玄奘様に持ってきたのが二つ。木には二十五個残っていなければならないのに、先程数えたら三つ足りなかった」


「二十二個しかなかったのだ」


 月亮と風舞には犯人の目星がついているようで、孫悟空から目を離さずに言う。


「か、数え間違いなんじゃねえの?」


「間違いではない。弟子たち全員で何度も数えたのだ」


「葉の影に隠れてたんじゃねえのか?それか、鳥が食ったとか」


 しどろもどろな様子の孫悟空に、さすがの玄奘にも察することができる。


「悟空、正直に教えてください。あなたが人参果をとったのですか?」


 玄奘に尋ねられ、孫悟空は観念したように俯いて蚊の鳴くような小さな声で答えた。


「はい……俺様が盗みました…」


 そのとき、猪八戒と沙悟浄もその場に土下座をした。


「お師匠さん!オレも食いました!申し訳ありません!!」


「俺もです、誘惑に負けて食べてしまいました!すいませんでした!!」


 玄奘は目の前が暗くなりそうになった。


「猪八戒……沙和尚まで……?!そんな……!」


「オジさんたちまで何してるのさー!おシショー様のこと考えなかったの?!」


 玉龍が怒ると、申し訳なさそうに三人は縮こまるばかりだった。


「月亮様、風舞様、弟子たちが申し訳ありません。弟子の罪は師の罪。なんでもして償いましょう」


「ほう……なんでも、と?」


 玄奘の言葉に風舞が含みを持たせるように首を傾げた。


 本当にやれるのか、二言は無いのかと暗に聞いているのだ。


「はい、なんでも、です」


 玄奘は決意を込めた目で二人を見た。


「だーっもう、うるせえ!!!木の実ぐらいでガタガタガタガタやっかましーわ!人参果の木なんてこうしてやる!」


 孫悟空はそう叫ぶと外に飛び出して行った。


「悟空!」


 孫悟空を追いかけて玄奘たちも外に出た。

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― 新着の感想 ―
[一言] 悟空、人参果の木を切り倒すとかしなければいいのですが… しかも玄奘は全ての罰を引き受けるなんて言ってしまいました…。 あのクセの強い仙人ですから、一体何をするのかわからないですよね…。 玄奘…
2024/04/29 17:15 退会済み
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