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深沙の想い白骸に連ねて往く西遊記!  作者: 小日向星海
第十二章 ついに再会した玄奘と河伯!九つの前世の時を超え……今世こそあなたを守ります!
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【百四十七、黄風大王の急襲】

 あたりは薄暗くなり、駆け足でとっぷりと日が暮れた今では、焚き火の火がなければお互いの顔も見えづらい。


「ギャっ!」


 玉龍の悲鳴が聞こえ、次いでバシャっと何かが溢れる音。


 おそらく何かに襲われた玉龍が椀を落としたのだろう。


「玉龍、大丈夫ですか?!」


 玄奘は玉龍の近くへ行こうと腰を上げた。


 その瞬間。


「おっと、動くなッチ」


「うっ!」


 ぐいっと何かに引っ張られ、玄奘は動きを封じられた。


「お師匠様?!」


「お師匠さん!」


 玄奘の悲鳴に孫悟空と猪八戒がそれぞれの武器を取り、声のした方へ行こうとした。


「おっと、アンタらの相手はこの虎先鋒がするっスよ!」


 ヒュッと風を切る音がして何かが向かってくるのを感じた。


「させるか!」


 ようやく目が慣れて来た猪八戒は釘鈀を振り、それを弾いた。


 硬いものがぶつかり合う音と、砂利を引きずる音。


「ここはオレが引き受ける。お前はお師匠さんを!」


「わかった!」


 虎先鋒を猪八戒に任せ、孫悟空は黄風大王に捕まっている玄奘の元へ走った。


 何者かに羽交い締めにされた玄奘は、身を捩って逃れようとする。


 だがその際手に触れた感触は人のそれでは無く、毛むくじゃらの細い、小動物のようなものだった。


 こんな細いものがどうして自分の動きを封じられるのか、玄奘は不思議に思った。


「離しなさい!あなたは何者です!」


「チチチ!アチシの名前は黄風大王ッチ。お前が玄奘ッチね、一緒に来てもらうッチよ!」


 問うと、甲高いネズミのような笑い声と共に告げられた言葉。


「お師匠様を離しやがれ!」


 黄風大王が飛び去ろうとしたその時、間一髪間に合った孫悟空が如意金箍棒を突き出す。


「おっと!そう簡単にやられるわけにはいかないッチ!三昧神風!!」


 黄風大王は玄奘を捕まえたまま、右手を孫悟空に向けて唱えた。


 すると、ゴオオオという轟音と共に黄色い突風が孫悟空に襲いかかる。


 黄色い風の中には細かい砂の粒が舞っていて、孫悟空の体のあちこちを傷つけていく。


 そのうちの礫のいくつかが、孫悟空の目に当たった。


「うっ、目が……っお師匠、様……っ!」


 鋭い痛みで目を開くことが出来なくなり、孫悟空の視界は真っ暗に。


「くそ、どこだ!このっ!!」


 孫悟空は如意金箍棒を振り回すが、すでに距離をとっていた黄風大王には届かない。


「チチッ!では、この坊主はいただいていくッチ!虎先鋒、あとは任せたッチ」


「ウス!」


「ふざけんな!」


 威勢よく返事をした虎先鋒を、猪八戒の釘鈀が打つ。


「待てよ、おい!お師匠様……っ、お師匠様ーーーーっ!!」


 目が見えなくなってしまった孫悟空は、去っていく風の音に叫ぶことしかできなかった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 黄風大王、体は小さくて、攻撃も地味目ではありますが、意外と侮れないえげつなさと言うか、攻撃の卑怯さがありますね…。目潰しとは…。果たして彼(女)の目的はなんなのでしょう…。
2023/12/07 11:30 退会済み
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