表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
49/285

(道中)17

     ☆


 『マラウス市』の治安は市警邏局が全面的に司っていた。

門衛から、船舶管理と監視業務、灯台勤務、魔物駆除、

そして市内の警邏と多岐にわたっていた。

兵力は千。

全てが兵卒ではない。

兵站業務もあるので、実働部隊は半数ほど。

 現在、夜間なので稼働している人員は少ない。

ほとんどの部門が窓口を閉じていた。

明かりがあるのは夜警と残業している部門だけ。


 夜警部門に市民が駆け込んで来た。

それも一人や二人ではない。

「港で騒いでる連中がいる」

「あれは借金奴隷ではないか」

「乱闘していた」

「奴隷商あたりで揉めている」口々に言う。

 そこで一部隊十名を向かわせた。

ところが、それっきり。

音沙汰なし。

そこで二十名を増援で送り出した。

これも音沙汰なし。

苦慮した宿直長は現場に部隊ではなく斥候を派遣した。

同時に市警邏局長にも連絡員を走らせた。


 呼び出された市警邏局長は宿直長の説明を聞いて、

複数の斥候を市内各所に派遣した。

一方で、事件現場から味方死傷者を救出させた。

死者か重傷者、重傷者にしても治癒魔法で治せぬ者ばかり。

敵が強力な魔法使いでは宿直のみでは対処しきれぬと判断、

ただちに非常招集を行った。

 本来なら冒険者ギルドの手も借りるのだが、

時刻柄、依頼しても集まらない。

市兵のみで解決せねばならぬ苦しい状況。

それでも市警邏局長としての責からは逃れられない。

市長にも連絡員を走らせた。


 局長の執務室に全ての斥候が戻って来て、

それぞれの受け持ち地区の状況を報告した。

局長は市内地図片手にそれを分析した。

魔法使いを含む不穏分子が潜む場所を特定した。

港湾地区。

空き倉庫にでも隠れているのだろう。

港湾地区を閉鎖し、一つ一つ虱潰しに当たらせる。

 ただちに実働部隊を再編した。

敵魔法使いの破壊力を察するに、風魔法中級以上は確か。

それに対応できるスキル持ちの兵を一つの部隊に纏めた。

剣術中級二名、槍術中級一名、火魔法中級一名、

土魔法中級二名、弓術初級三名、水魔法初級二名、

そして治癒魔法初級二名。

彼等を実働部隊の核とした。


 局長自ら陣頭指揮を執る為に港湾に赴いた。

昼間と違い倉庫街は寝静まっていたが、漁船の溜りは違っていた。

朝陽が上る前に沖に出ようと、その準備を開始していた。

魚市場も明かりが点いた。


 探知魔法初級の斥候の一人が怪しい倉庫を見つけた。

「百人近くいます。

全員が武装しています。

倉庫の裏には荷馬車が十輌。

それで逃げるつもりのようで、荷物が積まれています。

奴隷の首輪は見た限りでは、一人もつけていません」

 首輪は何らかの手段で外したのだろう。

全員、奴隷と看做しても問題ないだろう。

「魔法使いはどうだ」

「魔法杖を持った者が六名います」

 六名とは予想外だ。

全員が倉庫内にいるうちに焼き討ちし、

逃れて来た者は捕らえるのではなく、数で持って個別に潰す。

鎮圧する手段はこれしかない。

 だからと言って、市警邏局は無法者ではない。

兵を倉庫所有者の元に走らせ、確認させた。

倉庫内の人間はそちらが雇用している人間かどうか。

違うそうだ。

焼き討ちまで知らせると厄介になるので、そこは内緒。

 市当局の消防部門への通知にも怠りなし。

不穏分子捕縛の際に出火の可能性大、と。

これで持てる手は尽くした。


     ☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ