(道中)14
僕は話を変えた。
「ところで、ここに君達のような借金奴隷はどの位いるんだ」
ジョニーは話好きらしい。
「個人所有は分からない。
俺達のように港で働かされている借金奴隷は二百名ほど。
幾つかの会社で所有している。
俺達と同じ会社で働く奴等は残りは三十名とちょっとだな。
残りは別の現場で働いているが、さっきの奴が顔を出したから、
全員が奴隷寮に戻っているようだな。
ここが寮に近いから一番最後になるんだ」
「君達の会社は倉庫会社か」
「いや、ただの派遣会社。
港湾労働、建設労働、農作業、漁船乗り、街道整備。
とにかく、この町は人手が足りないんだ。
普通の奴も大勢雇ってる」
「海外に売る奴隷を扱っている奴隷商は幾つある」
「港に店を構えているのが三軒で、その三軒が揃って売ってる。
どうするつもりなんだ」
時間をすっかり忘れていた。
日が暮れていた。
僕はエリカを連れ、ジョニー達を率いて彼等の奴隷寮に向かった。
それは近くの裏通りにあった。
奴隷寮の名に相応しい年代物。
いざとなれば壊しても問題ないだろう。
ドアは外から鍵がかけられていた。
鑑定しながら錬金を重ね掛け、ちゃちゃっと開錠。
普通に入った。
僕はジョニー達に指示した。
「奴隷の首輪を外したい者だけを呼んでくれ。
ただし、外した後はこっちの指示に従ってもらう」
全員が希望した。
借金がチャラになる話を逃す奴はいなかった。
ここでも【奴隷の首輪】は安物の汎用品。
跪かせてパチンパチンと流れ作業で外して行く。
ご新規さんが増えて総勢四十三名。
数は力。
さっきの倉庫に戻って武装させた。
その隙にすばしっこそうな奴が僕の目を盗んで逃げようとした。
予想はしていた。
それがただ、一人とは。
もっと出ると思っていたんだけど、拍子抜け。
制裁を下した。
風玉・ウィンドボールで右膝を砕いた。
呆れた顔のジョニーがそいつを隅に片付けながら、
ご新規さん達に注意を喚起した。
「逆らうとこうなる」
残りは四十二名。
僕は奴隷商を襲うことにした。
幸い、その三軒は隣り合っていた。
時刻柄、閉じられて施錠されていた。
僕には関係ない。
手前の店を鑑定で店内を調べた。
宿直は四名。
四名揃って並みスキル。
奴隷は地下室に十三名。
重ね掛けの錬金で開錠した。
店内の様子を説明してジョニー達十五名を突入させた。
僕は次の店に移動した。
ここの宿直は五名。
五名とも並みスキル。
地下室に奴隷が十六名。
開錠し、マット達十五名を突入させた。
三軒目。
宿直は三名。
ここも並みスキル。
奴隷商人は人件費をケチるのだろうか。
まあ、それが商人のサガか。
奴隷は地下室に八名。
全員を突入させ、僕はエリカと外で待つ事にした。
想定外の事が起きた。
三軒からドタバタ、ガチャンガチャン、ガキーンと聞こえてきた。
外へ丸聞こえ。
明らかに並みスキルの連中が抵抗していた。
それが戸締りした奴隷商から聞こえてくるとなれば、
誰もが奴隷の反乱か、押し込み強盗と疑う。
数はこちらが上なのに、この手際の悪さ。
素人かっ。
組む相手を間違えたらしい。
前を通りがかる人達が胡散臭そうに眺めて過ぎた。
あっ、二三人が駆け出した。
こりゃ、通報だな。




