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虻蜂虎S'。  作者: 渡良瀬ワタル
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(道中)7

 行き交う馬車や旅人がいるのだが、

誰も僕達の方へ視線を向けない。

真っ直ぐに前だけ見て、擦れ違って行く。

暴力の臭いを感じ、明らかに避けている様子。

当の小物達も人目を気にしない。

さも当然のような仕草で僕達を見ている。


 魔法杖を出すのも面倒臭い。

代わりに風魔法を起動した。

エリカの背後に初級の風玉・ウィンドボールを四発、待機。

貫通力特化、四名の右膝をロックオン、ホーミング。

犬族が答えない僕に焦れた。

「何とか言え」

 それでも無視。

こちらが怯えて何も言えないとでも誤解したらしい。

薄気味悪い笑みを浮かべて仲間達を振り返った。

「おい、引っさらうぞ」

 悪党確定。

Go。

四発を放った。

一瞬で決まった。

膝を砕き、下腿部を吹き飛ばした。

悲鳴を上げ、鮮血を撒き散らし、

バランスを崩した四名がドッと倒れた。

ああまた、つまらぬものを・・・。


 途中の街道の駅で昼食を済ませ、先へ進んだ。

街道は真っ直ぐなのだが、左へ折れる道が見えてきた。

わりと広目の道、脇街道だろう。

よく使われてる様で、現に今も荷馬車や旅人が行き交っていた。

 と、その脇街道の奥から殺気が溢れ出て来た。

魔物の群れか・・・。

僕はエリカの手を引いて、右の草地に避難した。

「どうしたの」

「念の為だよ」

 深い藪があったので、その陰に身を寄せた。

他の行き交う者達も遅れて気付いた。

左右の草地に避難した。

馬車は避難のしようがない。

道の路肩に寄せて、ジッとした。


 脇街道の奥から複数の騎馬が現れた。

隊列を無視し、我先に駆けて来る。

暴走に近い。

人目を憚らぬ行為だ。

何やら記憶に・・・。

 鑑定した。

前に見た連中ではないか。

都庁警邏局の二十名。

怒っているのか、先を急いでいるのか、

傍若無人な態度で街道を右に折れた。

先にあるのはパラディン王国への国境。

まじですか、困った、困った。

 それにしても連中、僕を探す手掛かりをもっているのだろうか。

僕は鑑定を受けた覚えがない。

はて・・・、他人事ながら気にかかる。


 避難した者達が街道に戻って行く。

不平不満を口にしながら、それぞれの行き先へ。

路肩に寄せていた馬車も同様。

全く人騒がせだ。

幸い、魔物の群れでなかっただけ良しとするか。

 僕は街道を真っ直ぐ進むのは一時断念した。

都庁警邏局の連中とは遭遇したくない。

エリカを連れているのに相手は戦士系スキル持ちが二十名。

しかも中級ばかり。

エリカを守った状態では、戦い難い。

下手すれば数で押し切られてしまう。


 僕は連中が現れた脇街道へ爪先を向けた。

エリカが僕のローブの裾を引っ張った。

「道を間違えてない」

「こっちで時間稼ぎ。

さっきの連中が探してるのは、たぶん僕かな。

だから連中が調べた終えた町で二三日休もう」

「追いかけられてるの、・・・何をしたの」

「ちょっと怒らせたかな」

「へえ、かなり怒ってたみたいだけど」

「気にしない、気にしない」

「気にしないけど、泊まるお金はあるの」

「余裕、余裕」

「どうしてお金があるのか、聞かない方がいいのよね」

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