第百二十八話 選択
風邪、治らんです(>_<)
「ハルト! ハルトはどうなの? どっちか選んで!」
エリが真っ赤な顔で僕を睨んでくる。仮面の奥の目はギラギラと輝いている。まるで夜の闇に光る猛獣の目だ。それって選んで欲しい人がする目じゃ決して無いよね?
「そうよ! ハルト! あんたが選びなさい! さっさと私を選ぶのよ!」
近い近い。イリスが僕に詰め寄ってくる。負けじとエリも僕に当たるか当たらないかの距離まで来る。僕は交互に二人を見る。美少女だ。美少女二人に選べと詰め寄られる僕。夢のようなシチュエーションだけど、あれ、なんか嬉しく無いぞ?
パタパタと天使が飛んでくる。妖精付きで。
「えー、宴もたけなわでございますが、不肖このビューティーラブリーキュート天使のモモちゃんが、司会進行を務めさせていただきます。はい、皆様拍手ーっ」
モモが両手を下から上に乳と一緒に振る。どよめきが起こりながら、いつの間にか遠巻きに僕を囲んでだ騎士冒険者からまばらな拍手が。それをさらにモモが煽って雨あられをしのぐ音になる。何やってるんだよ。僕はこういう陽キャ世界の空気は苦手なんだよ。意味も無く顔が熱くなる。
「はい、皆様ありがとうございます。では、ルールを説明させていただきます。ここにおります美女二人、共にここにおります冴えない少年ハルトと一緒に色んな冒険を繰り広げたいと希望しております。ハルトが選ぶのは二人のうちの一人。ハルトに選ばれた方はそのパーティーメンバーに、選ばれなかった方はフリーとなりまして、会場の皆様にもメンバーとしての獲得の権利が発生します。これで問題無いでしょうか?」
まあ、それでいいんじゃないか? 僕は首を縦に振る。エリとイリスは激しく首を振りまくってる。羞恥心皆無な動きだ。んー、選ば無いって選択肢をつけた方が良かったかも。
「それではアピールタイムです。自分の得意な事、メンバーになったらやってくれる事などをアピールお願いします。それではエリさんから」
「そっ、そーね。あたしが出来る事? 炊事洗濯掃除はあんまりやった事が無いから苦手だし、ハルトを守れる程は強くも無いし。けど、けど、ハルトのために頑張るわ」
なんかもじもじしながら盛大に嘘ついてる。強くも無い? 殻かぶってたドラゴンを素手で削りまくってた化け物なのに。て言うかドラゴン。こんな遊んでていいのかなー?
モモが大きく頷き話し始める。
「そうですね。本人がおっしゃる通り、私が知りうる限りエリさんが人並み以上に出来る事と言えばぶん殴る事だけです。女性としてはどうなのかと思いますが」
モモのセリフにエリの額に青筋が立つ。モモはビクンと跳ねる。
「エリさんのいいとこ、いいとこ。んー、ですが、なんと、エリさんはマスクで隠しておりますが、かなりの美貌を誇ります。あと、皆様も記憶に新しいと思いますが、素晴らしいプロポーションを誇ります。金色のビキニで駆け回るその心はまさに鋼。要は取り得は見てくれだけの鋼の心を持つ脳筋ファイター。それがエリさんです!」
「あんた、あたしに喧嘩うってるの?」
エリがモモに近づくが、モモは浮き上がる。それをぴょんぴょん跳びながらエリは捕まえようとしてる。なんか二人共、大勢の人に見られてるって意識はあるのだろうか? メンタル鋼だな……僕、逃げ出していいかな?
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