第百十二話 王子
遅れてすみません。仕事の合間に書いてます。誤字、あとで直します(>_<)
「冒険者たち。私の話を聞いてくれ」
男は語り始める。入り口からワラワラと銀色の鎧の騎士が現れ、その男の左右を固める。もしかして偉い人? 模擬戦場の方を見ると、エリがモモの後ろに隠れてる。さっきの声で誰か分かったみたいだな。会いたく無い知り合いなのか?
男は端正な顔でそれだけ見ると女の子と間違われてもおかしくない。ん、なんか誰かに似てるな。あ、そうだ。エリに似てる。エリの顔を多少クドくしたような感じだ。
「控え控えーっ。この場におわす方をどなたと心得る。恐れ多くも限王位継承第一位のエクス様におわせられるぞ」
男の隣の騎士が懐から短剣を取り出す。そこには王家の紋章が。冒険者全員がその場に蹲り手を付き頭を下げる。えっ、まじ、王族? 僕だけ高い椅子に座ってるから土下座が出来ない。椅子から降りようにも辺りびっしり冒険者が土下座してる。僕は焦って、やむなくその場で可能な限り頭を下げる。
「堅苦しいのは無しだ。皆の者頭を上げてくれ。私は頼み事する立場だ」
王子の言葉に僕は恐る恐る頭を上げる。冒険者たちも大半は頭を上げてるが、未だに土下座してる人もいる。王子はぐるり見渡すと、大きく息を吸う。そして、その口から心地よく力強い言葉が放たれる。
「王国の騎士の演習場にドラゴンが出た。我こそはと思う者は討伐に力を貸して欲しい」
王子の言葉にどよめきがおきる。確か騎士の演習場って街から結構近かったよな? 山、森、湖、平地、海、様々な地形を柵で囲んで騎士の訓練に使ってるとこだ。一般人は立ち入り禁止だ。風光明媚なので、一度は入ってみたいと思ってた。だけど、ドラゴンは無理だ。ドラゴンを見た事は無いけど、空を飛び火を吐き、硬い鱗に覆われた最強の生物の一角だ。いつかは倒せるような英雄になりたいけど、僕には難しいだろう。もっと、もっと、もっともっと強くならないと。
「ドラゴンかっ! そいつはいいなー」
響く胴間声、ジェイルだ。いつの間にか上に上がってきてる。その後ろにはパーティーメンバーの3人もいる。
「何者だ!」
王子の隣の騎士が王子をかばうように前に出る。
「シルバーランクの冒険者、ジェイルだ!」
「ほう、お前がジェイルか。心強いな。当然騎士団との合同での討伐になるが、肩肘は張らなくてよい。お前らには自由に戦って貰う」
王子はそう言うが、冒険者を自由に戦わせるって上手く行くのだろうか?
「待てよ、ジェイル。俺達にはドラゴンはまだ早くねーか?」
バートンの言葉にジェイルは不敵に笑う。
「どっちにせよいつかは倒すんだ。早いか遅いかの違いしかねー。他にも、俺様と一緒にドラゴンを倒しに行く奴はいねーか。報酬は弾んでくれるんだろ王子様」
「当然だ。個々に成果以上の報酬は約束する」
「聞いたかおめーら! ドラゴン! ドラゴン狩りだー!」
ジェイルが吠える。そして、ちらほらと冒険者たちがジェイルのそばに集まり始める。
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