休章・バレンタインの日に
この話は本編とは関係ありません。本編は別の時間帯に更新予定でございます。
ちょっと遅めのバレンタインです。今年のバレンタインは投稿してなかったので今投稿しました。
「バレンタイン?」
「そうです、バレンタインです。なんでも女性から、普段お世話になっている方や気になる男性にチョコを送る習慣だとか」
「こっちにもあるのか、バレンタイン……」
朝起きてご飯を食べた後に、リアからお話があった。向こうの世界では縁のなかったバレンタインという闇の習慣である。もう一度言う、闇の習慣である。
貰えたものは1日幸せに過ごせ、貰えなかったものは悲しい思いをするという誰得案件である。得するのはチョコメーカーぐらいのものだろう。いかん涙出てくる。
「葵くんのもといた世界でもあったんですね。貰ったこと…ありますか?」
「ない。断言しよう、ない!」
「ええと、自信を持っていうことでもないような…」
そう言ってリアは、服のポケットから綺麗に梱包された箱を取り出した。
「はい、プレゼントです、葵くん。……葵くん?」
俺は今、固まっていた。何故か?簡単だ、人生で初めて家族以外からバレンタインのプレゼントを貰ったからだ。
「あ、ああ、ありがとう。貰えると思ってなくてちょっと驚いてた…開けていい?」
どうぞ、と言われたので開けてみる。中には………
綺麗なハート型のチョコが4つ、そして…紙が入っていた。おお、美味そう…
「これは手紙か?チョコ食べる前に開けてみるか」
「わ、私は少し席を外しますねっ。後で感想聞かせてください!!」
そう言って逃げるように立ち去るリア。扉から顔をちょっと出してこっちを見ている。可愛い。
じゃなくて。とりあえず手紙読んでみるか。
「ええっと……いつも有難う御座います、私は葵くんがいたから、生きていられます。ただ死を待ち、絶望しかなかった私の日々に葵くんは意味を持たせてくれました。これからも、そばに居てください。」
…リア、想像はしてたけど結構大変な日々を過ごしてきたんだな。というかこの文章だけ見ると…
「告白みたいだな。それだけ大事にしてもらっているのは、嬉しい事だけど。」
そう言いながらチョコを食べる。美味いなこれ。俺は甘いものはそこまで得意ではないのだが、甘すぎるわけでもなく、ちょうどいい甘さのチョコだったためあっという間に4個食べてしまった。
ホワイトデーのお返し、どうしようかなぁ……
「うぅ…喜んでもらえるかなぁ…」
手紙を目の前で読まれるのは、流石に恥ずかしすぎて逃げてしまいました。けれど反応は見ていたいのでここから見ることにします。
「告白みたいだって…でも、これで葵くんが私のことを意識してくれるのなら…!」
正直、恥ずかしい。あの手紙の最後の一文はどう考えてもプロポーズのものです。けれど鈍感な葵くんなので、しっかり伝えないと意識して貰えないでしょう。
「美味しそうに食べてくれた…」
あっという間に食べ終わった葵くんは、こちらに来てすれ違いざまに
「美味しかった、ありがとう。これからもそばに居るよ」
と言いながら、頭をぽんぽんと撫でて部屋に戻ってしまいました。反則です。
ちなみに部屋に戻った葵は
「頭撫でちゃった……思わず可愛くて……ああああっっっ」
と、悶えていましたとさ
この2人はいつくっつくのでしょうね…
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