準備期間
更新です。次からまた戦闘シーンに移っていくつもりです
さて、昨日は刀を完成させることができた。これで買って1日も経たずに壊れてしまった剣の変わりは用意出来た。
けど、剣で全て解決できるのかと言えばそうじゃない。この世界には魔法がある。ちなみに今まで杖無しで魔法を使用していたが、杖を使った方が魔力消費は少ないらしい。
「今から杖を作ろうと思う。」
「それはいいですが…材料はあるんですか?」
「杖を作るためには、魔道触媒…魔力を増幅してくれるものを素材に、魔力を通すための道を用意すればいいって聞いた。なら、魔力を通すための道は玉鋼で行けるはずだ。少ししか使わんから重くもならないだろうし。」
「それはいいですが、触媒は?魔石を使うにしても、ある程度の大きさがあるものでないとダメですよね?そんな魔石、売ってないと思うんですけど…」
「まあまあそこは力技、脳筋戦法ですよっと。」
「クリエイトプロセッシングアイテム 魔石」
そう言うと、俺は20個の魔石をひとつにまとめてしまった。合体させたのだ。もちろん魔石は一つ一つ質が違うし、魔物も違う。だから普通は意味ないんだけど…質が違う、つまり不純物があるなら取り除いてやればいい。触媒がないなら作ればいい理論である。地球の文化の勝利だ。
「オブジェクトリソース・サーチデリート」
「……………こんな……簡単に……」
まあ、うん。驚くのも無理は無いと思う。というか普通有り得ないと思う。
「色がおなじ魔石なら、余分なものを消して同じ質にすれば同調するのが分かったんだよ。たまにある、同じ性質を持つ魔物が複数体いた時に、各々が強くなる現象はこれなんじゃないかな」
「もう葵くんですね」 「どういう意味なんだそれ…」
「というわけでまあ、あとは…クリエイトプロセッシングアイテム 魔石・玉鋼・木材」
最後に素材を全て合成する。出来上がったそれは、正しく…ゲームやアニメなんかでよく出てくる杖そのものだった。木製の持ち手に、先端の部分に赤い魔石が輝いている。魔力の通り道は贅沢に玉鋼を使っているから、伝導率はいいはずだ。
「試しに…そうだなあ、ライトシールド」
出来たものはすぐ試したい。けど流石に俺が知る攻撃魔法でポンポンと打っていい物は何も無いので、ライトシールドさんで試してみることにした。
以前よりも魔法を使うのが楽だ。魔力の消費が抑えられている。それに同じ魔石で共鳴し、増幅しているためかどうかはわからないが効果も上がっている。この製法で特許を取れば儲けそうだな。
「凄い…私の持つ杖よりも高度なものを、一瞬で…」
「欲しいならあげるよ、というかそのためにこれは作ったから」
「いいんですか?なら、有難く頂きます。けど、葵くんの杖は…?」
「杖って要は、魔法を効率よく使うための道具だろ?杖の形である必要は無いと思わない?」
首を傾げるリア。まあ分からなくて当然である。杖という常識を壊してくるのだから。
だが諦めてくれリア、これが異世界…地球のアニメ力だ。
「まあ要するに、機能さえ使えれば形はなんでもいいという事だよ。つまり…」
もう一度、魔石をひとつにし、不純物を取り除き、玉鋼を用意する。前と違うところはひとつ、木材がない所。
「クリエイトプロセッシングアイテム 魔石・玉鋼」
そう言って、今度はブレスレットの形に仕上げていく。どうせならアクセサリーの形にして身に付けた方が、オシャレポイントも上がって(気にしたことは無いが)手も空いて一石二鳥である。
「なるほど、杖の機能を持つブレスレット…ですか。確かに、片手に杖を持つならもう片方の手で刀を振るわねばなりません。けど、それは凄く難しいし隙になる。だから」
「そう、だったら持たなくていいようにしてやればいいのさ。動作も問題ないしな。」
「葵くんといると驚かされてばかりです。それで、次は何をするんですか?」
「次は防具…軽く魔法を弾けるものを作りたいんだけど…これに関しては、材料がないからな。手に入り次第だ。」
「何が欲しいんですか?」
「アダマンタイト。一切の魔力を弾くこの金属を使って少し、ね。そういう訳で、あとはひたすらだらだらと生活しながら鍛える日々だね」
「流石にアダマンタイトはほいほいと手に入るものではありませんもんね。」
「この際ギルドランク上げちゃうのもいいかなあ…魔核売りまくってたら依頼扱いでランク上がって、いつの間にか初期ランクのDからBになってるし。」
「なら、私もついて行きます。」
「遠出用に馬車を改造しようかな…馬車の中は意外と狭いけど、収納鞄があるから荷物は何とかなるし、いっそ魔力で動く自動車みたいなの作ってもなあ…」
「馬車を良くするのは、有難いですね。前に葵くん、テントはるのめんどくさいしすぐ移動できるように馬車で寝たりご飯が作れたりするようにしたいって言ってましたもんね」
「そうそう。そのための材料はあるからな。ゆっくり作ろうか」
そこから構想して、設計図を描いて、リアと一緒に作るまでに2日ほどかかったのだった。
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