事後処理の完了、リアの思い
しばらくまったり続けます。
目覚めたらいつもの教会にいた。どうやら俺は意識を失った後、教会に運ばれたらしい。周りを見渡すと、切られたはずの左腕が元に戻っている。不思議に思っていると…
「目が覚めたんですね、葵くん。具合はどうですか」
「左腕も戻ってるし、体調も悪くない。ぼちぼちってとこだな」
そう声をかけてきた少女、リアに声を返し、起き上がろうとする。瞬間、体に激痛が走り、リアに寝かされる。
「まだ無理しちゃダメです。あれだけ無茶して…もう、馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿!」
「酷い言い草だな…助かったんだからいいだろ…」
「なんで…私を助けてくれたんですか?あそこで私を置いて逃げていれば、こんな目に遭わなくても…」
「リアがいない生活なんて寂しいから助けた、それじゃだめか?」
そう言うと…リアが泣き始めた。
「リ、リア!?どうした!?」
「…助けてくれて、庇ってくれて、私のためにあんなこと言って…こんなになってくれたの、凄く嬉しかったです。私は生まれつき、巫女としての力が強く、色んな人に妬まれたり、恨まれたり、小さい時から1人で過ごしてきました。」
「リア…」
「なぜ自分が巫女にえらばれなかったのか、なぜあいつなんだ、そう言われ続けてきました…」
「だから、そんなことを言ってもらえるなんて嬉しいです…」
「俺はこれから先も、リアを守るよ。」
「葵くん……はい。お願いしますね」
笑いながらそういうリアを、辛うじて動く手で頭を撫でてやる。
「葵くんはしばらく寝ていてください。後処理はカルスさんとイシスさんがしてくれていますから、今は体を休めて下さい。」
「ああ…有難う、リア。」
大好きです、葵くん…リアがそう言ったのは誰にも聞こえず、ただ少年の寝息が聞こえるだけだった。
起きた頃には、もうカルスさんとイシスさんは王都に戻らなくちゃならないらしく、後処理の完了と軽く言葉を交わして別れた。
イシスさんには「葵くん、有難うございました。リアをお願いしますね?あの子友達いないから」
と言われたり、カルスさんには
「坊主、礼を言うぜ。だらしなくやられちまったが…今度王都を案内してやる、またな」
と言われた。こちらこそお願いしたいぐらいだ。




