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○□☆◇▽/弟は姉のおもちゃ ~激闘篇~

以下は休載開始のご挨拶のおまけとして書いたものです。第二部終了直後のお話です。

〈 ○ 〉



 球技祭が終わった日、アネキがスマブラで「勝った奴は宗一をオモチャにする権利獲得な!」とか言い出した。そしてスマブラというゲームを一緒にプレイしていたうちの姉さんたちはなぜかそれを本気にした。

 その結果。

 姉さんたちは全員が俺に勝ち、俺をオモチャにする権利を手に入れていた。


「なんでだよ……」

「どうしたの、宗ちゃん?」

「別に……ところで」

「なに~?」

「早く選んでよ……」


 シャロ姉がGカップのブラジャーを手に取りながら、金の長髪を揺らし微笑んだ。

「ふふっ、今日の宗ちゃんはお姉ちゃんのオモチャなんだから。付き合ってもらわないとねっ」


 やけに明るい雰囲気のランジェリー店。入るのは初めてなのでというか、周囲の女性の視線で胃が痛い。


「よしっ、これにしよっと! ちょっと試着してくるわね。店員さ~ん!」

「シャロ姉、そのブ、ブラジャーはちょっと」

「なあに? オモチャの宗ちゃん」

「オモチャの宗ちゃん!?」


「な~んてね、うそうそ。恥ずかしがる宗ちゃんを見たいからといったって、さすがにこれはお姉ちゃんの方が、恥ずかしいもんね……」

 シャロ姉は生地が薄くて透けてるブラを戻す。

「…………」


「…………」

「…………」

「…………姉さん顔赤いよ」

「店員さ~ん! 試着お願いしま~す!」

「わああ! やめてシャロ姉! 他のことでオモチャになるから! 性的な意味以外でならいくらでも俺をオモチャにしていいから!」


 周囲の女性の視線が俺を突き刺す。失言だった。しにたい。






〈 □ 〉



「今から宗一さんをオモチャにしたいと思います」

「はい」


 俺はニゴ姉の殺風景な部屋で、ちびっ子メイドロボ姉さんと正座で向き合っていた。


「ニゴなりに考えてみたのですが」

「はい」

「宗一さんは人間であり、玩具ではありません。ですが玩具のメタファーとしての宗一さんというのならば、選択肢は如何様にも取ることができます」

「玩具のメタファー」

「そこでニゴは用意しました。これです」


 ニゴ姉が四次元ポケットから取り出したのは、乗馬のときに腰を落ち着ける部分、つまり鞍だった。


「ニゴ姉、これは」

「ニゴが検索したところ、通販サイトのおもちゃ売り上げランキング上位に、『乗ってあそぶおうまさん』というものがありました」

「乗ってあそぶ」

「そういうわけですので」


 ニゴ姉は機械の瞳を、どこか輝かせるようにしながらこちらを見つめた。


「宗一さんにはニゴのおうまさんになっていただきます」


 この後めちゃくちゃ跨られた。






〈 ◇ 〉



 部屋には当然ながらゆら姉がいて、当然のことのようにコスプレをしていた。


「おや、宗くん」

「その無駄にエロいコスプレをやめろ」

「今日はサキュバスのまゆらお姉さんがたっぷりと搾り取ってあげるからね……♡」


 黒い悪魔みたいなきわどい衣装はサキュバスとかいうやつのあれらしい。


「さ、横になって……。きみはもう私のオモチャなんだよ……♡」

「嫌だと言ったら?」

「サキュバスは精を摂らないと飢えてしまうのでこの場で一人ですることになるね」

「ちょっとエクソシスト呼んでくる」


 俺が背を向けた瞬間、

 ガチャン、と音がした。


 見ると、俺の両手首に手錠がかかっている。


「え」


 そのままベッドに押し倒され、両腕を上げたままベッドに縛り付けられる格好となった。


「あの、ゆら姉」

「……今から宗くんは」


 ひんやりした細指が俺の首筋を撫でる。


「まゆらお姉さんための、大人のオモチャになるんだよ……♡」


 この後めちゃくちゃ泣き叫んだら姉貴が駆けつけてゆら姉をめちゃくちゃくすぐりの刑した。






〈 ▽ 〉



 忍者屋敷のようなカラクリ(壁がぐるんって回るやつ)を通って、俺はひめ姉の部屋に来ていた。というか、招かれていた。


「そ、そうちゃん……あの……」

「うん」

「ぼくは、その……そうちゃんを、おもちゃになんかしないから……安心して……?」


 秘姉は、なんかすごく俺をおもちゃにしたそうな顔をしながらそう言った。しかし同時にそんな自分に罪悪感を覚えてもいる顔だった。

 俺は、うーん、と考える。


「じゃあ、こうしようか秘姉」

「ぇ……?」

「オモチャっていうのは、言うなれば『遊び相手』でしょ? だったら俺と姉さんで一緒に遊べば、それでいいんじゃない? でもせっかく秘姉の部屋に来たんだし、いつもと違う遊びをしようよ」


 秘姉はこの提案に、黒い前髪の間からのぞく大きな瞳を、きらっ、と輝かせた。


「じゃ、じゃあ……なにして、遊ぼっか……?」

「……忍者的な遊びとか?」

「に、忍者的……? あ、時代劇とか……再現、したい……」


 秘姉はそう言うと、押し入れから箱を取り出した。

 そしてこちらに差し出す。


「お代官さま、どうぞ……」


 受け取り、開ける。まんじゅうが入っていた。

 ……そういうことか、と思い、まんじゅうの下を見ると、上げ底になっていて、中に下着が……下着?


「へっへっへ……」

 秘姉は悪者っぽく笑っている(かわいい)。

 勝負下着の隠し場所にこの箱を使ってしまったことを忘れていて、かつ、今も気づいていないらしかった。


 俺は大判小判を受け取ったつもりで、「おぬしもワルよのう……」と邪悪に笑う。秘姉の和風の部屋に悪い笑い声がこだました。






〈 ☆ 〉



 一通り姉さんたちにオモチャにさせられた後、俺は廊下で姉貴に出くわした。

 ラスボスたる、赤髪の悪魔に。


「よう、宗一」

「おう、姉貴」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


「ところでさ、おまえオモチャになるって言ったよな?」

「だったらどうする?」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


「どうするって? 決まってんだろ……」


 ゴゴゴゴゴ…………


 ドンッ!!


「チケットとったから一緒にユニゾンのライブ行こうぜ!」


 俺は拍子抜けして「は?」と間抜けな声を出した。姉貴は「愛香と、SF同好会のやつらも来るから」と一方的に告げると、さっさと自室に戻っていってしまった。


 はあ、とため息をついて、その場で壁にもたれかかる。

 よく考えれば、姉貴にこうやって命令されたり振り回されたりするのは日常茶飯事だし、今更オモチャもなにもないか……。


 押し付けられたチケットを見る。俺も好きなバンドだ。付き合ってやるか。

「☆♡/弟は姉のおもちゃ ~煉獄篇~」に続きます。

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