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古文】相応の故と申すにこそ。されば道/

語釈】

※相応=相応(ふさわ)しいこと。つり合うこと。相当。

※こそ。=(文末の結びに当たる「あらめ」等が省略された、係り結びの省略の形)~であろう。

※されば=そうであるから。そうだから。それゆえ。だから。

※道=和歌の道。

訳文】(和歌が神に)相応しいからだと申しあげるのでしょう。そうであるから(和歌の)道



古文】をもまもり、あらたなることも/

語釈】

※あらたなる=神仏の霊験がはっきり現れる・霊験あらたかである。

訳文】をも守り、(それによって)神仏の霊験があらたかであるということも



古文】先規(せんぎ)多く侍るにや。大方、物に/

語釈】

※先規=漢語。先行の規則や慣例。先例。これを後の規範として重んじて言う語。

※にや=(文末に用いて疑問の意を表す。「あらむ」や「ありけむ」が省略された形)~であろうか。~であったのだろうか。

※大方=①通りいっぺんに。②大雑把に言って・だいたい。③そもそも・だいたい。

訳文】先例が多くてございますのではないでしょうか。そもそも、物事に



古文】触れてことと心と相応さうおうした/る

語釈】

※物に触れ=(「ことに触れ」などの言い方で)ある事柄・事態に関連する、関連づける。

(こと)=①ことば・言語。②うわさ・評判。③和歌。

※相応=ふさわしいこと。つり合うこと。相当。

訳文】関連づけて言葉と心とがつり合っている



古文】あはひをよくよく心得んこと、必ず/

語釈】

あはひ=①中間・隙間。②あいだから・仲。③とりあわせ。④その時の都合。

※よくよく=「よく」の畳語。①念を入れて十分にするさま・念入りに。②程度が普通をはるかに超えていると思われるさま。よほど。

※心得=①承知する・了解する・理解する。②ある分野に嗜みを持つ・造詣がある。

※必ず=①きっと・絶対に。②(打消の表現に対して用いて)必ずしもに同じ。

訳文】間柄を念入りに理解することは、必ずしも



古文】草木さうもく鳥獣てうじうばかりに限るべからざ/る

語釈】

草木(さうもく)=草と木。また、植物全般を指して言う。

鳥獣(てうじう)=鳥と獣。

※ばかりに=①(範囲・程度を表す)~ほどに・~ぐらいに。②(限定を表す)~だけに。

訳文】(『古今集』に言うように)植物や動物だけに限るべきではない



古文】故に、よろづの道の邪正じゃしゃうもこれに/

語釈】

※道=①道・道路・通路・航路。②途中・途上・道中。③道のり・行程。④方面。⑤専門の道・専門の方面。⑥方法・手だて。⑦道理・条理・人としてのあり方・正しい生き方。

邪正(じゃしゃう)=邪と正。道理や教え、考えや行いなどのよこしまなことと正しいこと。

訳文】ので、全ての分野の善悪もこれ(=和歌)に



古文】志すとて言へるにこそ。景物けいぶつにつ/き

語釈】

※志す=心をある方向へ向ける。そうしようとする意志を起こす。それと心に決める。

※にこそ。=(文末の結びに当たる「あらめ」等が省略された、係り結びの省略の形)~であろう。

景物(けいぶつ)=漢語。四季折々の風物。

※~につきて=①(対象に関連することを言う場合に用いる)~に関して。②(対象に触発されて事が起こる場合に用いる)~によって。

訳文】心を向けたと言えるでしょう。四季折々の風物によって



古文】て心ざしをあらはさむにも、心を/

語釈】

※心ざし=心ざすの名詞形。心がある方向へ向かうことを言う。①ある人や事柄に対する配慮。②歌道・芸道などを求める心。求道心。

※「にも」は連語。

※心を()む=①心を配る・気を配る・配慮する・注意する。②関心を寄せる。愛情を持つ。

訳文】心を和歌に向けて(和歌で心を)表現すようなのも、(風物に)関心を



古文】とめ、深く思ひ入るべきにこそ。/

語釈】

※心を()む=①心を配る・気を配る・配慮する・注意する。②関心を寄せる。愛情を持つ。

※深く(深し)=①厚みがある・深い・奥まっている。②並大抵でない・甚だしい・著しい。

※思ひ入る=①心に深く思い込む・没入する。②熟慮して中に加える。

※こそ。=(文末の結びに当たる「あらめ」等が省略された、係り結びの省略の形)~であろう。

訳文】寄せ、並大抵でなく心に深く思い込んだからであろう。

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