頁001
字母】哥止申候物八己乃比花下仁/
翻刻】哥と申候物はこの比花下に/
本文】哥と申し候ふものは、このごろ花の下に/
古文】歌と申し候ふものは、このごろ花の下に
※「候ふ」の読みは時代によって変遷がある。王朝文学では「さぶらふ」、中世以降は「さうらふ」が一般的。
字母】集留好事奈止乃安末禰久/
翻刻】集る好事などのあまねく/
本文】集る好事などのあまねく/
古文】集る好事などのあまねく
字母】思比候様爾者可里八候者寸/
翻刻】思ひ候様にばかりは候はず。/
本文】思ひ候ふさまにばかりは候はず。/
古文】思ひ候ふさまにばかりは候はず。
字母】心爾安留越志止以比己止仁安良/
翻刻】心にあるを志といひ、ことにあら/
本文】心にあるを志と言ひ、言にあら/
古文】心にあるを志と言ひ、言にあら
字母】八留ゝ遠詩哥止八皆之利天/
翻刻】はるゝを詩哥とは、皆しりて/
本文】はるるを詩哥とは、皆知りて/
古文】はるるを詩歌とは、皆知りて
字母】候部止毛耳爾幾ゝ口爾多乃志/
翻刻】候へども、耳にきゝ、口にたのし/
本文】候へども、耳に聞き、口に楽し/
古文】候へども、耳に聞き、口に楽し
字母】美候者可里爾天心爾於左女候/
翻刻】み候ばかりにて、心におさめ候/
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「おさむ」だが、「治む・修む・収む・納む」の歴史的仮名遣いは「をさむ」。
本文】み候ふばかりにて、心におさめ候ふ/
古文】み候ふばかりにて、心にをさめ候ふ
字母】可多久良久候由部仁多ゝ志良/
翻刻】かた、くらく候ゆへに、ただしら/
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「ゆへ」だが、「故」の歴史的仮名遣いは「ゆゑ」。
本文】方、暗く候ふゆへに、ただ知ら/
古文】方、暗く候ふ故に、ただ知ら
字母】左留止同事仁奈利者天候仁計留/
翻刻】ざると同事になりはて候にける/
本文】ざると同じことに成り果て候ひにける/
古文】ざると同じことに成り果て候ひにける
字母】良之沙汰候然而我毛我毛止保/己
翻刻】よし、沙汰候。然而、我も我もとほ/こ
※「然而」は「然而」あるいは「然而ドモ」と読む漢文体。「之可禮止毛」などと書くよりは手短に書けるために採用されたものと思われる。
本文】由、沙汰し候ふ。しかれども、我も我もと矛
古文】由、沙汰し候ふ。しかれども、我も我もと矛




