頁038‐039
字母】曾乃心遠思也利天與三計留止曾/
翻刻】その心を思やりてよみけるとぞ。
本文】その心を思ひやりて詠みけるとぞ。
古文】その心を思ひやりて詠みけるとぞ。
字母】可也宇仁武可者奴人乃哥八左八ゝゝ/
翻刻】かやうにむかはぬ人の哥は、さはさは/
本文】かやうに向かはぬ人の哥は、さはさは/
古文】かやうに向かはぬ人の歌は、さはさは
字母】止毛於毛之呂幾也宇奈留八安禮/
翻刻】とも、おもしろきやうなるはあれ/
本文】とも、おもしろきやうなるはあれ/
古文】とも、おもしろきやうなるはあれ
字母】止以可爾曾以不乃曾比以起於比乃/
翻刻】ど、いかにぞいふのそひ、いきおひの/
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「いふ」だが、「優」の歴史的仮名遣いは「いう」。
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)だが、「勢ひ」の歴史的仮名遣いは「いきほひ」。
本文】ど、いかにぞ優の添ひ、勢ひの/
古文】ど、いかにぞ優の添ひ、勢ひの
字母】不可幾事八奈久天古哥仁可八禮/
翻刻】ふかき事はなくて、古哥にかはれ/
本文】深きことはなくて、古哥に変はれ/
古文】深きことはなくて、古歌に変はれ
字母】類事也左禮八紫式部毛以部流/
翻刻】る事也。されば紫式部もいへる/
本文】ることなり。されば紫式部も言へる/
古文】ることなり。されば紫式部も言へる
字母】也宇仁以天也左末天心者部之呂(虫損)/
翻刻】やうに、「いでやさまで心はへしろ(虫損)/
※「紫式部も言へるやうに」以下は『紫式部日記』のうち「和泉式部を評した一節」の借用であるが、「心はへしろ(虫損)」は「『いでやさまで心は得じ、口にいと歌の詠まるるなめり』の「心は得じ、口」の部分を誤読した上に続きは虫損(=虫食い)で読めなくなってしまったものと思われる。今回は『紫式部日記』から本文を補うこととする。
本文】やうに、「いでやさまで心は得じ、口にいと歌/
古文】やうに、「いでやさまで心は得じ、口にいと歌
字母】乃與末流ゝ奈女利者川可之遣乃/
翻刻】のよまるるなめり、はづかしげの/
本文】の詠まるるなめり、恥づかしげの/
古文】の詠まるるなめり、恥づかしげの
字母】哥與美也止八見衣寸末己止乃/
翻刻】哥よみやとは見えず。まことの/
本文】哥詠みやとは見えず。まことの/
古文】歌詠みやとは見えず。まことの
字母】哥與三仁己曾侍良左女連奈止/
翻刻】哥よみにこそ侍らざめれ」など/
本文】哥詠みにこそ侍らざめれ」など/
古文】歌詠みにこそ侍らざめれ」など
字母】以部留仁己所。
翻刻】いへるにこそ。
本文】言へるにこそ。
古文】言へるにこそ。
つたない翻刻にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。




