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頁037

字母】上陽人

翻刻】上陽人になりたる心ちして、なく/

本文】上陽人((しゃうやうじん))になりたる心()して、()く/

古文】上陽人になりたる心地して、泣く



字母】思/

翻刻】なくふるさとをもこひしう((おもひ))、/

本文】()くふるさとをも(こひ)しう((おも))()、/

古文】泣くふるさとをも恋しう思ひ、



字母】雨

翻刻】雨をもききあかし、あさゆふに/

本文】雨をも()()かし、朝夕(あさゆふ)に/

古文】雨をも聞き明かし、朝夕に



字母】

翻刻】つけてたへしのぶべき心ちもせざら/

本文】つけて()(しの)ぶべき心()もせざら/

古文】つけて耐へ忍ぶべき心地もせざら



字母】能々

翻刻】む所をも、能々なりかへりてみて、/

本文】むところ()をも、よくよく(能々)()(かへ)りてみて、/

古文】むところをも、よくよく成り返りてみて、



字母】其心

翻刻】((その))心よりよまん哥こそ、あはれも/

本文】((そ))()心より()まん哥こそ、あはれも/

古文】その心より詠まん歌こそ、あはれも



字母】

翻刻】ふかくとをり、うちみるまことにこた/

※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「とをる」だが、「通る」の歴史的仮名遣いは「とほる」。

本文】(ふか)(とほ)り、うち()るまことにこた/

古文】深く通り、うち見る、まことにこた



字母】委心/

翻刻】へたる所も((はべる))べけれ」といふに|委心《(こころをゆだぬるも)》/

※「いふ」は「言ふ」か「いう」の誤用か悩ましいが、今回は後者で解した。

※「委心(をかし)」の部分は熟語として「をかし」と解しているようだが従わない。また「くはしい心(をかし)」とするのでも文意がおかしいので、陶淵明『帰去来辞』にもあるように「ゆだヌ心ヲ」つまり「心をゆだぬ」と漢文体で解した。

本文】へたるところ()はべ()()べけれ」と(いう)((こころ))()((ゆだ))ぬるも(●●●)

古文】へたるところもはべるべけれ」と優に心を(ゆだ)ぬるも



字母】

翻刻】をかし。されば恋の哥をばひきか/

本文】をかし。されば恋の哥をばひきか/

古文】をかし。されば恋の歌をばひきか



字母】

翻刻】づきて、人の心にかはりても、なくなく/

本文】づきて、人の心に()はりても、()()く/

古文】づきて、人の心に代はりても、泣く泣く

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