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字母】爾天毛宇事爾武幾天八曾乃/
翻刻】にても、う事にむきてはその/
※「にても、う事に」の部分、久松氏(大系)に拠ると、「宇」は「衍字=誤って付け加えた余計な字」(つまり原文は「にても、事に」)または「曾」の誤字プラス「の」の脱字(つまり原文は「にても、その事に」)ではないかとの指摘あり。小川剛生氏(集成)は「原文は『にても、その事に』説」を支持。今回は「原文は『にても、その事に』説」を採った。
本文】にても、うことに向きてはその/
古文】にても、そのことに向きてはその
字母】事爾奈利可部利曾乃末己止越/
翻刻】事になりかへり、そのまことを/
本文】ことに成り返り、そのまことを/
古文】ことに成り返り、そのまことを
字母】安良者之其安利左満遠於毛比/
翻刻】あらはし、其ありさまをおもひ/
本文】あらはし、その有様を思ひ/
古文】あらはし、その有様を思ひ
字母】止女曾禮爾武幾天王可古ゝ呂能/
翻刻】とめ、それにむきてわがこころの/
本文】とめ、それに向きて我が心の/
古文】とめ、それに向きて我が心の
字母】者多良久也宇越毛心爾不可久/
翻刻】はたらくやうをも、心にふかく/
本文】働くやうをも、心に深く/
古文】働くやうをも、心に深く
字母】阿川遣天心爾詞越末寸留/
翻刻】あづけて、心に詞をまする/
※「まする」の部分、久松氏(大系)に拠ると、「か」の脱字(つまり原文は「まかする」)ではないかとの指摘あり。小川剛生氏(集成)も「か」を補う「まかする」を支持。今回は「まかする」を採った。
本文】預けて、心に詞を任する/
古文】預けて、心に詞を任する
字母】爾有興於毛之呂幾事色遠乃/
翻刻】に、有興おもしろき事、色をの/
※「有興」は「有リ興」、つまり「興有り」を漢文体で表したもの。
本文】に、興あるおもしろきこと、色をの/
古文】に、興あるおもしろきこと、色をの
字母】美曾不流八己ゝ呂遠也留八可利奈留/
翻刻】みそふるはこころをやるばかりなる/
本文】み添ふるは、心を遣るばかりなる/
古文】み添ふるは、心を遣るばかりなる
字母】八人乃以呂比安那可知仁爾久武部/
翻刻】は、人のいろひ、あながちに憎むべ/
本文】は、人のいろひ、あながちに憎むべ/
古文】は、人のいろひ、あながちに憎むべ
字母】幾爾毛阿良奴事也己止葉爾天心越/
翻刻】きにもあらぬ事也。こと葉にて心を/
本文】きにもあらぬことなり。言葉にて心を/
古文】きにもあらぬことなり。言葉にて心を




