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字母】万葉乃比八心乃於己留所乃末ゝ爾/
翻刻】万葉の比は、心のおこる所のままに、/
本文】万葉のころは、心の起こるところのままに、/
古文】万葉のころは、心の起こるところのままに、
字母】同事不多ゝ比以者留ゝ遠毛八ゝ/可
翻刻】同事ふたたびいはるるをもはば/か
本文】同じこと再び言はるるをも憚
古文】同じこと再び言はるるをも憚
字母】八ゝ/可良須褻晴毛奈久哥詞多ゝ乃/
翻刻】はば/からず、褻晴もなく、哥詞、ただの/
本文】憚らず、褻晴もなく、哥の詞、ただの/
古文】憚らず、褻晴もなく、歌の詞、ただの
字母】己止葉止毛以者寸心乃於己留爾/
翻刻】こと葉ともいはず、心のおこるに/
本文】言葉とも言はず、心の起こるに/
古文】言葉とも言はず、心の起こるに
字母】随而保之幾末ゝ仁云出世利心自/
翻刻】随て、ほしきままに云出せり。心自/
※「心」の部分、時雨亭文庫本では「心乃」とあることから、時雨亭文庫本に拠って補うこととする。
本文】随ひて、欲しきままに|云《(い)ひ出だせり。心〔の〕自/
古文】随ひて、欲しきままに言ひ出だせり。心の自
字母】性越徒可比宇知爾動心遠外爾/
翻刻】性をつかひ、うちに動心を外に/
本文】性を使ひ、内に動く心を外に/
古文】性を使ひ、内に動く心を外に
字母】阿良者寸爾太久三爾之天心毛/
翻刻】あらはすにたくみにして、心も/
本文】あらはすに巧みにして、心も/
古文】あらはすに巧みにして、心も
字母】詞毛躰毛性毛優爾以起遠比/
翻刻】詞も躰も性も優にいきをひ/
※「優爾」の部分、時雨亭文庫本では「以宇毛」であることから、時雨亭文庫本に拠って訂すこととする。
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「いきをひ」だが、「勢ひ」の歴史的仮名遣いは「いきほひ」。
本文】詞も躰も性も優に勢ひ/
古文】詞も体も性も優も勢ひ
字母】毛遠之奈部天安良奴事奈留由部/
翻刻】も、をしなべてあらぬ事なるゆへ/
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「をしなぶ」だが、「押し並ぶ」の歴史的仮名遣いは「おしなぶ」。
※「をしなべて」と「あらぬ事なる」の間に、時雨亭文庫本では「作者乃(以下数文字、虫損)加禮毛己禮毛寸部天」とあることから、時雨亭文庫本に拠って補うこととする。
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「ゆへ」だが、「故」の歴史的仮名遣いは「ゆゑ」。
本文】も、をしなべて〔作者の□□□□□、かれもこれもすべて〕あらぬことなる故/
古文】も、おしなべて作者の□□□□□、かれもこれもすべてあらぬことなる故
字母】爾太可久毛不可久毛遠毛久毛安留也。/
翻刻】に、たかくもふかくもをもくもある也。/
※本文の仮名遣い(定家仮名遣い)は「をもし」だが、「重し」の歴史的仮名遣いは「おもし」。
本文】に、高くも深くも重くもあるなり。/
古文】に、高くも深くも重くもあるなり。




