表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/180

雑歌〈雑四季歌〉下

『玉葉和歌集』一七七首(雑歌一)、『風雅和歌集』二一三首(雑歌上)より。

〈玉葉和歌集〉


  春の御歌の中に

一八八七 忘れずよ御階(みはし)の花の()()より霞みて更けし雲の上の月(伏見院御製)


訳】春の御歌の中に(あった歌)

一八八七 忘れないよ、(紫宸殿の)階段の(下の)桜(、いわゆる左近の桜)の梢の間から(見た、)霞みながら更けていった禁中の月(を)。

 ※皇統が対立した時代に、皇位への強い思いを感じさせる一首。


     ◆


  題しらず

一九五四 秋に添ふ(うれ)へも悲しいつまでと思ふ我が身の夕暮れの空(源具顕(みなもとのともあき)


訳】題しらず

一九五四 (ただでさえ悲しい愁えの)秋にさらに加わる(我が身の)愁えも悲しい。いつまで(の命だろうか)と思う我が身の(果てを思わせる)夕暮れの空(であるよ)。

 ※自らの寿命の短さを予見していたかのような一首。


     ◆


〈風雅和歌集〉


 春曙を

一四三二 白みゆく霞の上の横雲に有明細き山の端の空(藤原道良女)


訳】春曙を(歌題として詠んだ歌)

一四三二 (しだいに)白んでいく霞の上にある横雲に、有明の月が細くかかっている、山の稜線辺りの空(であるよ)。

 ※『枕草子』の冒頭を思わせる一首。


     ◆


  永仁二年三月、大江貞秀蔵人になりて慶を奏しけるを見て、宗秀がもとにつかはしける

一四六八 珍しき緑の袖も雲の上の花には色添ふ春のひとしほ(京極為兼)


訳】永仁二年三月、大江貞秀(が)蔵人になって慶びを申し上げたのを見て、(その父親である)宗秀の許に申し送りました(歌)

一四六八 新鮮な(六位の蔵人の着る)緑の(衣の)袖も宮中の花には(美しい)色(を)添える(ことだ)春にあたって一段と。

 ※「緑の袖」「春のひとしほ」といった特異表現を使うことで、新鮮さを演出し、祝意を強調した一首。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ