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頁036

古文】して、思ひ見たらむは、かくのみぞ/

語釈】

※思ひ見(思ひ見る)=よく考える・あれこれと思いめぐらす。

※かく=このように・こう。

訳文】して、(歌について)あれこれと思いめぐらしているような人々は、このように(低い程度に)ばかりで



古文】あるべき。中納言入道申しけるやうに/

語釈】

※中納言入道=平安時代末から鎌倉時代初頭にかけての公家で歌人、藤原定家のこと。藤原俊成の子。筆者である為兼の曽祖父。八番目の勅撰和歌集である『新古今和歌集』の選者であり、百人一首97番歌「来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ」でも知られる。邸宅が京極殿(きょうごくどの)と呼ばれたことから京極殿または京極中納言とも呼ばれた。

訳文】あるに違いない。中納言入道(と呼ばれた藤原定家卿が)申したように、



古文】「上陽人(しゃうやうじん)をも題にて詩をも作り/

語釈】

※上陽人=(唐の高宗が造った宮殿の一つである)上陽宮(じょうようきゅう)に幽閉された不幸な宮女。玄宗皇帝の時代に器量の良さから揚貴妃に妬まれて上陽宮に幽閉された。白居易の漢詩「上陽白髪人じょうようのはくはつじん」で知られる。②転じて、一般に、宮女の不遇をたとえて言う。

※詩=漢詩。

訳文】「(唐の不幸な女性として名高い)上陽人をも歌題として漢詩をも作り、



古文】歌をも詠まば、その才学をのみ/

語釈】

※才学=学識・学才。

訳文】和歌をも詠むのであれば、その学識だけを



古文】求めて続けて詠むうちにも/

語釈】

※続け(続く)=連ねる・つなげる・続ける・付き従える。

訳文】求めて(文字を)連ねて詠む(というだけの)中にも



古文】良し悪し多けれど、ひとつ輪の/

語釈】

※ひとつ=同じであること。いっしょであること。

※ひとつ輪のうち=ことわざ。同じ程度を出ないことの意。

訳文】(作品の)良し悪し(の差)は多くあるけれども、(結局は)同じ程度を



古文】うちなり。またそれよりは心に入りて、さは/

語釈】

※ひとつ輪のうち=ことわざ。同じ程度を出ないことの意。

※また=①再び・もう一度。②〔多く「…もまた」の形で〕やはり・同じように・同じく。③そのほかに・それとは別に。

※それ=一つ輪のうちの作品群。

※さ=それ。ここでは「上陽人」のこと。

訳文】出ない(ような作品群)である。そうした作品群とは別にそれよりは(上陽人の)心情に入り込んで、上陽人は



古文】ありつらむと思ひやりて詠めるは、/

語釈】

※思ひやり(思ひやる)=想像する・推察する。

訳文】(どのような気持ちで)いただろうかと想像して詠んだのは、



古文】あはれもまさり、古歌の体にも/

語釈】

訳文】しみじみとした趣も勝り、古い歌の風体にも



古文】似るなり。なほ深くなりては、やがて/

語釈】

※なほ=①依然として・相変わらず・やはり。②何といっても(やはり)・それでもやはり。③さらにいっそう・ますます。④ふたたび・やはりまた。

※深く(深し)=①厚みがある・深い・奥まっている。②並大抵でない・甚だしい・著しい。

※やがて=そのまま。

訳文】似るのである。ますます(上陽人の心情への理解が)深くなっては、そのまま

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