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古文】すかさむと思ふ心にて、見ゆべくも
語釈】
※すかさ(すかす)=①だます・だまして誘う。②おだてる。③なだめる・なぐさめる。
※見ゆ=①見える・目に入る。②見られる。③見せる・思わせる。④姿を見せる・現れる・来る。⑤会う・対面する。⑥結婚する・妻になる。⑦思われる・考えられる。
訳文】なだめようと思う気持ちであって、見せる必要も
古文】な/き我が影をさへ見え奉/る
語釈】
※見え(見ゆ)=①見える・目に入る。②見られる。③見せる・思わせる。④姿を見せる・現れる・来る。⑤会う・対面する。⑥結婚する・妻になる。⑦思われる・考えられる。
訳文】ない(采女)自身の姿をまでも(葛城王に)見せ申し上げるの
古文】は、浅くは思はぬぞと言ふに/
語釈】
※浅く(浅し)=いい加減だ。
訳文】は、(国司が葛城王を)いい加減には思わないぞと言う(ため)に
古文】寄り来たる山の井なれば、ことぐ/さ
語釈】
※山の井=山中に湧き水が溜まって、自然にできた井戸。
※ことぐさ=①いつも話す事柄・いつもの決まり文句・口癖。②話の種・話題として好んで使われる事柄。③言い回し・言葉。
訳文】(采女が葛城王のそばに)寄って来た(ことで使われた)山の井(という言葉)であるから、(葛城王をもてなすための)話の種
古文】に取り寄せたるにてこそはべるを、/
語釈】
※取り寄せ(取り寄す)=①手もとに引き寄せる。②持ってこさせる・取り寄せる。③人を近くに呼び寄せる。
※にて=~において・~によって・~で。
訳文】として(采女を)呼び寄せたことによってこそでございますのを、
古文】やがて山の井と言へばとて、この「さへ」/
語釈】
※やがて=①そのまま・引き続いて。②すぐに・ただちに。③他でもなく・とりもなおさず。④そっくり・そのまま全部。
※山の井=山中に湧き水が溜まって、自然にできた井戸。
訳文】そのまま「山の井と言うのだから」ということで、この(「までも」を意味する)「さえ」(が修飾する言葉)
古文】を山の井のぬしになして見ば、/
語釈】
※山の井=山中に湧き水が溜まって、自然にできた井戸。
※なし(なす)=①実行する・行う。②変える・~にする・ならせる。③作り上げる・実現する・成就する。
※ぬし=(動作をする)本人・当人。
※見(見る)=①見る・目にする・眺める。②見て思う・見て判断する・理解する。③男女が関係を結ぶ・結婚する・妻にする。④世話する・面倒をみる。⑤であう・経験する。
訳文】を山の井自身と(いうことに)して理解するならば、
古文】まことにおぼつかなし。我が影に/
語釈】
※まことに=本当に・まったく。
※おぼつかなし=①ぼんやりしている・様子がはっきりしない・ほのかだ。②気がかりだ・不安だ。③不審だ・疑わしい。④会いたく思っている・待ち遠しい。
訳文】本当に不審である。(采女)自身の影(ということ)に
古文】なして見れば、おぼつかなきこと/
語釈】
※なし(なす)=①実行する・行う。②変える・~にする・ならせる。③作り上げる・実現する・成就する。
※見れ(見る)=①見る・目にする・眺める。②見て思う・見て判断する・理解する。③男女が関係を結ぶ・結婚する・妻にする。④世話する・面倒をみる。⑤であう・経験する。
※おぼつかなし=①ぼんやりしている・様子がはっきりしない・ほのかだ。②気がかりだ・不安だ。③不審だ・疑わしい。④会いたく思っている・待ち遠しい。
訳文】して理解してみると、疑わしいこと(は)
古文】なし。かやうのことをだに見分かず/
語釈】
※見分か(見分く)=見て区別する・見分ける。
訳文】ない。このようなことをさえ見分け(られ)ず




