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頁035

古文】すかさむと思ふ心にて、見ゆべくも

語釈】

※すかさ(すかす)=①だます・だまして誘う。②おだてる。③なだめる・なぐさめる。

※見ゆ=①見える・目に入る。②見られる。③見せる・思わせる。④姿を見せる・現れる・来る。⑤会う・対面する。⑥結婚する・妻になる。⑦思われる・考えられる。

訳文】なだめようと思う気持ちであって、見せる必要も



古文】な/き我が影をさへ見え奉/る

語釈】

※見え(見ゆ)=①見える・目に入る。②見られる。③見せる・思わせる。④姿を見せる・現れる・来る。⑤会う・対面する。⑥結婚する・妻になる。⑦思われる・考えられる。

訳文】ない(采女)自身の姿をまでも(葛城王に)見せ申し上げるの



古文】は、浅くは思はぬぞと言ふに/

語釈】

※浅く(浅し)=いい加減だ。

訳文】は、(国司が葛城王を)いい加減には思わないぞと言う(ため)に



古文】寄り来たる山の井なれば、ことぐ/さ

語釈】

※山の井=山中に湧き水が溜まって、自然にできた井戸。

※ことぐさ=①いつも話す事柄・いつもの決まり文句・口癖。②話の種・話題として好んで使われる事柄。③言い回し・言葉。

訳文】(采女が葛城王のそばに)寄って来た(ことで使われた)山の井(という言葉)であるから、(葛城王をもてなすための)話の種



古文】に取り寄せたるにてこそはべるを、/

語釈】

※取り寄せ(取り寄す)=①手もとに引き寄せる。②持ってこさせる・取り寄せる。③人を近くに呼び寄せる。

※にて=~において・~によって・~で。

訳文】として(采女を)呼び寄せたことによってこそでございますのを、



古文】やがて山の井と言へばとて、この「さへ」/

語釈】

※やがて=①そのまま・引き続いて。②すぐに・ただちに。③他でもなく・とりもなおさず。④そっくり・そのまま全部。

※山の井=山中に湧き水が溜まって、自然にできた井戸。

訳文】そのまま「山の井と言うのだから」ということで、この(「までも」を意味する)「さえ」(が修飾する言葉)



古文】を山の井のぬしになして見ば、/

語釈】

※山の井=山中に湧き水が溜まって、自然にできた井戸。

※なし(なす)=①実行する・行う。②変える・~にする・ならせる。③作り上げる・実現する・成就する。

※ぬし=(動作をする)本人・当人。

※見(見る)=①見る・目にする・眺める。②見て思う・見て判断する・理解する。③男女が関係を結ぶ・結婚する・妻にする。④世話する・面倒をみる。⑤であう・経験する。

訳文】を山の井自身と(いうことに)して理解するならば、



古文】まことにおぼつかなし。我が影に/

語釈】

※まことに=本当に・まったく。

※おぼつかなし=①ぼんやりしている・様子がはっきりしない・ほのかだ。②気がかりだ・不安だ。③不審だ・疑わしい。④会いたく思っている・待ち遠しい。

訳文】本当に不審である。(采女)自身の影(ということ)に



古文】なして見れば、おぼつかなきこと/

語釈】

※なし(なす)=①実行する・行う。②変える・~にする・ならせる。③作り上げる・実現する・成就する。

※見れ(見る)=①見る・目にする・眺める。②見て思う・見て判断する・理解する。③男女が関係を結ぶ・結婚する・妻にする。④世話する・面倒をみる。⑤であう・経験する。

※おぼつかなし=①ぼんやりしている・様子がはっきりしない・ほのかだ。②気がかりだ・不安だ。③不審だ・疑わしい。④会いたく思っている・待ち遠しい。

訳文】して理解してみると、疑わしいこと(は)



古文】なし。かやうのことをだに見分かず/

語釈】

※見分か(見分く)=見て区別する・見分ける。

訳文】ない。このようなことをさえ見分け(られ)ず

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