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頁031

古文】はること多し。それ皆その(いは)れ/

語釈】

※皆=すべて・全部。

※その=①その・前述の。②ある・何々の。

※謂れ=理由・由来。

訳文】なる(内容を教えている)こと(が)多い。それ(は)全て前述の理由(を)



古文】深くして、ただかく言ひ置かむと/

語釈】

※深く(深し)=①厚みがある・深い・奥まっている。②並大抵でない・甚だしい・著しい。

※言ひ置か(言ひ置く)=言い残す。

訳文】深くして、ただこのように言い残そうと



古文】ばかり、先賢の所為(しょゐ)・古人の詠歌、/

語釈】

※ばかり=①(範囲・程度を表す)~ほど・~ぐらい。②(限定を表す)~だけ。

※先賢=昔の賢人・前賢・先哲。

所為(しょゐ)=行為・仕業。

※古人=昔の人。また、昔の優れた人。この場合は歌人のこと。

訳文】だけ、昔の賢人の仕業・昔の優れた歌人の詠んだ歌、



古文】皆、我が思ふ(かた)の色を添へ、/

語釈】

※皆=すべて・全部。

※我が=自分の。

(かた)=①方角。②場所・位置。③対をなす一組の片方。④~の方面・~という点。⑤その方向にいる人、の意で、間接的に人を指す。敬意を伴う語。⑥方法・手段。⑦方位。

※色=。風情・趣・気配。

※添へ(添ふ)=①つけ加える・つけ足す。②なぞらえる・たとえる。③伴わせる・つき従わせる。

訳文】(これら)すべて(に)、自分の考える方法の(歌の)風情を付け加え(ることで)、



古文】得分にも成り勝り行くことにや。/

語釈】

※得分=①もうけ・利益・利得。②取り分・分け前。

※にも=~にさえも。

※成り勝る=ますます~となってゆく・しだいに~になる。

訳文】しだいに(己の)取り分にさえもなっていくことであろうか。



古文】歌といふものを(べち)に置きて、その心/

語釈】

※別=①基準の範囲外・他・複数のものが互いに異なるさま・別々。②普通一般と異なるさま・特別・格別。

※置き(置く)=(その位置に)置く・据える・設ける。

訳文】歌というものを特別な位置に置いて、(そういう偏見を基に)その心



古文】を見、沙汰する人と、まことに歌/

語釈】

※見(見る)=見て思う・見て判断する・理解する。

※沙汰=①配慮のうえ処理すること。②支度。準備万端にすること。③指図。通達。④裁判。訴訟。⑤論議。問題として取り立てること。⑥うわさ。評判。⑦ことばによる意思表示。⑧~の事件。~のいきさつ。

訳文】を理解して、問題とする詠み手と、(偏見なく)本当に歌



古文】の心を見るとは、変はること。花の下/

語釈】

※見(見る)=見て思う・見て判断する・理解する。

※花の下=鎌倉時代から南北朝時代にかけて行なわれた「花下連歌(はなのもとれんが)」のこと。花鎮(はなしずめ)を目的として寺社の桜の下で「花下連歌」が行なわれた(花鎮の祭=鎮花祭)。二条良基(にじょうよしもと)筑波問答(つくばもんどう)』より。

訳文】の心を理解する詠み手とでは、(歌への理解度が)異なっていること(である)。(例えば)花下連歌



古文】の(ともがら)風情の好事が沙汰/する

語釈】

(ともがら)=①同類・仲間。②連中・やから。

※風情=〔接尾語〕体言に接続して例示する意を表す。①(例えば)~のようなもの・~に似通ったもの・~の類。②〔人間に用いる場合、他人を卑下したり自ら遜る意となることが多い〕~のようなやつ・~風情。

好事(かうじ)=好士に同じ。地下(じげ)の好士とも。和歌を趣味として楽しむアマチュア歌人のこと。二条良基『筑波問答』より。為兼のようないわゆる「歌道家(要はプロ歌人)」と比較する場合には否定的なニュアンスで用いられた。

※沙汰=①配慮のうえ処理すること。②支度。準備万端にすること。③指図。通達。④裁判。訴訟。⑤論議。問題として取り立てること。⑥うわさ。評判。⑦ことばによる意思表示。⑧~の事件。~のいきさつ。

訳文】(に集まる程度)の連中風情のアマチュア歌人が問題とする



古文】心は、上の句に「旅衣」と言ひたる/

語釈】

※旅衣=①〔歌語〕旅に着る衣装・旅をしている時の着物。②〔枕詞〕旅・衣の縁語ということで「うら(浦・裏)」「(かさ)ぬ」「(かへ)す」「きる(来・着る)」「(すそ)」「たつ(立つ・裁つ)」「()る」「ゆふ(夕・結ふ)」など様々な語にかかる。

訳文】(歌の)心とは、上の句に「旅衣」と言った

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