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古文】にても、そのことに向きてはその/
語釈】
※その=①その・前述の。②(ある特定の人や物をぼかして言う)ある・何々の。
※向きて=①向かって・(正面が)ある方向に対して。②傾いて・心や物事がある状態の方向に進んで。
訳文】でも、あることに(心を)傾けてはその
古文】ことに成り返り、そのまことを/
語釈】
※成り返り(成り返る)=なりきる。
訳文】ことになりきり、その真実の姿を
古文】あらはし、その有様を思ひ/
語釈】
※あらはし(あらはす)=①明らかにする。②表現する。
※有様=様子。
※思ひとめ(思ひとむ)=「思ひとどむ」に同じ。①あるところまでで考えるのをやめる、断念する。②心にいつまでも残るようにする、忘れないよう心に留める。
訳文】表現し、その様子をいつまでも心に
古文】とめ、それに向きて我が心の/
語釈】
※思ひとめ(思ひとむ)=「思ひとどむ」に同じ。①あるところまでで考えるのをやめる、断念する。②心にいつまでも残るようにする、忘れないよう心に留める。
※向きて=①向かって・(正面が)ある方向に対して。②傾いて・心や物事がある状態の方向に進んで。
訳文】留めて、それに対して自分の心の
古文】働くやうをも、心に深く/
語釈】
※働く=①動く。②仕事をする・働く。
※深く(深し)=①厚みがある・深い・奥まっている。②並大抵でない・甚だしい・著しい。
訳文】働く様子をも、心に深く
古文】預けて、心に詞を任する/
語釈】
※預け(預く)=一任する・委ねる。
訳文】委ねて、心に言葉(の選択)を任せる
古文】に、興あるおもしろきこと、色を
語釈】
※興ある(興あり)=おもしろい。趣が深い。
※おもしろき(おもしろし)=①趣がある・風流だ・すばらしい。②楽しい・興味深い。
※色添ふ=①色がひときわ濃くなる。②物事の味わいや度合いが深くなる。
訳文】と、趣が深い風流なこと(が)、(和歌の)味わいを
古文】の/み添ふるは、心を遣るばかりなる/
語釈】
※色添ふ=①色がひときわ濃くなる。②物事の味わいや度合いが深くなる。
※のみ=だけ。ばかり。すっかりずっと。
※心を遣る=①心を慰める。②思うままにふるまう。③思いを馳せる・考えを及ぼす。
※ばかり=①(範囲・程度を表す)~ほど・~ぐらい。②(限定を表す)~だけ。
訳文】すっかりずっと深くする(という)のは、(それだけ自分が)考えを及ぼすだけである
古文】は、人のいろひ、あながちに憎むべ/き
語釈】
※いろひ=干渉・かかわり合うこと。
※あながちに(あながちなり)=①無理だ・身勝手だ・強引だ。②ひたすらだ・ひたむきだ・一途だ。③はなはだしい・ひどい。
※憎む=①憎らしがる・嫌う・いやがる。②非難する・とがめる・反対する。
訳文】から、(自分の考えの範囲を広めてくれるような)他人の干渉(を)、一途に嫌がる必要
古文】にもあらぬことなり。言葉にて心を/
語釈】
訳文】もないことである。言葉(という方法)で心を




