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頁026

古文】定/めて姿にしもあらむ」とて、心に思ふ/

語釈】

※定めて=必ず。きっと。まちがいなく。

※姿=(和歌や俳諧などで言う)表現の仕方。

※しも=〔多くの事柄の中から特にその事柄を強調する〕~にかぎって。

訳文】表現の仕方に限ってあることだろうか(いや、表現の仕方とは限らないかもしれない)」ということで、心に思う



古文】ことはそのままに詠まれたれば、/

語釈】

訳文】ことはそのまま(歌に)お詠みになっているので、



古文】世の常のにおもしろきもあり、/

語釈】

※世の常=世間並み・普通。

訳文】(上人の歌は)世間並みの(趣向)でも趣深い(歌)もあり、



古文】さま悪しきほどの(ことば)どもも、

語釈】

※さま悪しき(さま悪し)=見苦しい・みっともない。

訳文】みっともないほどの俗語たち(を使った歌らしくない歌)も、



古文】『万葉/集』のごとく詠まれたれど、心/

語釈】

訳文】まるで『万葉集』のように(自由自在に)お詠みになっているけれども、心



古文】の向けやう、さらによも変はる/

語釈】

※向け=①向かって・(正面が)ある方向に対して。②傾いて・心や物事がある状態の方向に進んで。

※さらに=〔下に打消の語を伴って〕全然~(ない)。決して~(ない)。少しも~(ない)。いっこうに~(ない)。

※よも=〔多く、下に打消推量の助動詞「じ」を伴って〕いくらなんでも。まさか。よもや。

訳文】の傾け具合は、決して少しも(万葉歌人たちと)変わる



古文】ところはべらじ。今もその風体を約束/し

語釈】

※風体=(能や和歌などの)表現様式。詠風・歌風・芸風。

訳文】ところはございますまい。(上人は)今もその歌風を誓い



古文】定めて好み詠み、()穿(ほが)に/

語釈】

※入り穿(ほが)に(入り穿(ほが)なり)=歌学用語。和歌を作る時、言葉や趣向にあまりに凝りすぎて、難解晦渋、いやみになること。中世歌学・連歌論でしばしば用いられた。

訳文】定めて(しかもその歌風を)好んで詠み、(歌が)趣向を凝らし過ぎて嫌味になって



古文】沙汰事(さたごと)もなし。花にても月に/

語釈】

訳文】問題になるということもない。桜でも月で



古文】ても、夜の明け日の暮るる気色/

語釈】

※気色=様子。

訳文】も、夜の明け(たり)日の暮れ(たりす)る様子

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