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頁024

古文】めて事を言ひ添へぬ。またあらぬ句を/

語釈】

※また=①再び・もう一度。②〔多く「…もまた」の形で〕やはり・同じように・同じく。③そのほかに・それとは別に。

※あらぬ=①ほかの・別の。②意外な・思いもかけない。③いやな・不都合な・望ましくない。

訳文】て(不要な)ことを言い添えてしまう。それとは別に思いもかけない句を



古文】とりかへ、様々のことを作り出でて、/

語釈】

※作り出で(作り出づ)=「作り出だす」に同じ。新しくこしらえ上げる・製作する。

訳文】取り替え、様々のことを新しくこしらえ上げて、



古文】披露するたぐひ聞こゆる。実任(さねたふ)

語釈】

※たぐひ=①仲間・連れ。②人々。③例・同類。

※聞こゆる(聞こゆ)=①聞こえる。②噂される・評判になる。③理解できる・訳が分かる。④受け取られる・思われる。

実任(さねとう)侍従=鎌倉時代後期の公家で二条派歌人、正親町三条実任のこと。正親町三条公種の子。日記『継塵記』で知られる。初名は実名(読み方不明。「さねな」か)。その後実任(さねとう)に改名したことから、『為兼卿和歌抄』は実任改名後の侍従在職期間に書かれたと考えられている。

訳文】披露する例(を)耳にする。(三条)実任(さねとう)



古文】()(じゅう)が歌に/

語釈】

※侍従=①天皇に近侍し、補佐および雑務に奉仕する官。中務省(なかつかさしやう)に属す。②香の名。種々の香を練り合わせて作る。

実任(さねとう)侍従=鎌倉時代後期の公家で歌人、正親町三条実任のこと。正親町三条公種の子。日記『継塵記』で知られる。二条派歌人で特に為世。為藤と親しく、門弟であったらしい。初名は実名(読み方不明。「さねな」か)。その後実任(さねとう)に改名したことから、『為兼卿和歌抄』は実任改名後の侍従在職期間に書かれたと考えられている。

訳文】侍従の歌で、



古文】「軒の雀の巣に通ふ声」と/

語釈】

※軒の雀の巣に通ふ声=出典・上の句ともに未詳。

訳文】「軒の雀の巣に通う声よ」と/



古文】詠みたりけるとかや。これをも当/時

語釈】

※とかや=①不確かな伝聞の意。~とか。~とかいうことだ。②詠嘆の意。~であるよ。③遠回しにさし示す意。~のあたり。~など。~という人。

※当時=①現在・当今・ただ今。②そのとき・そのころ。

訳文】詠んだとかいうことだ。この歌をも当代



古文】の体に賞翫(しゃうくゎん)せらるる歌とて、「なげしの/

語釈】

※体=歌体。和歌の姿や風体。

賞翫(しゃうくゎん)せ(賞翫(しゃうくゎん)す)=①めでもてはやすこと。愛好、珍重すること。②重んずること。尊重すること。③味わい楽しむこと。賞味すること。

※なげし=柱の側面に取り付けて、柱と柱との間を横につなぐ材。

訳文】の和歌の姿として愛でもてはやされる歌としようとして、「なげしの



古文】上に雀巣くへり」とかやなして/

語釈】

※巣くへ(巣くふ)=

※とかや=①不確かな伝聞の意。~とか。~とかいうことだ。②詠嘆の意。~であるよ。③遠回しにさし示す意。~のあたり。~など。~という人。

訳文】上に雀(が)巣食っている」などと(軒をなげしに)改変して



古文】披露する人ある由、聞こゆ。(かへ)がへす/

語釈】

※披露する人=実任を門弟としていた為世を指すか。

※由=①物に寄せて関係づけるもの。口実。理由。手段。縁。由緒。事情。②教養。風情。③(形式名詞として用いて)~の様子、~ということ、~の趣旨。

※聞こゆ=①聞こえる。②噂される・評判になる。③理解できる・訳が分かる。④受け取られる・思われる。

(かへ)がへす=①繰り返し繰り返し・何度も。②重ね重ね・どう考えても・よくよく。

訳文】披露する人があるということを耳にする。(そういう改変は)どう考えても



古文】その詮なきに似たるか。大方は、雀、貫之も/

語釈】

※その=その・前述の。

※詮=①結局・究極。②要点・眼目。③なすべき方法・手段。④効果・かい・しるし。

※詮なき(詮なし)=しかたがない。無益だ。

※似る=物の形や性質が同じように見える。

※大方=①通りいっぺんに。②大雑把に言って・だいたい。③そもそも・だいたい。

※貫之=平安時代前期から中期にかけての公家で歌人、紀貫之のこと。従兄に紀友則がいる。わが国最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』の選者の一人であり、ひらがなの序文である仮名序を手掛けたことで名高い。日記体の紀行文である『土佐日記』や百人一35番歌「人はいさ心もしらずふるさとは花ぞむかしのかににほひける」でも知られる。

訳文】前述の(先人が選ばない言葉をわざと選ぶような)無益さと同じように見えるのではないか。そもそもは、雀(は)、(『古今和歌集』の仮名序で知られる紀)貫之卿も

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