表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/180

頁020

古文】新古今にもかやうの沙汰まで出で/来

語釈】

※沙汰=①配慮のうえ処理すること。②支度。準備万端にすること。③指図。通達。④裁判。訴訟。⑤論議。問題として取り立てること。⑥うわさ。評判。⑦ことばによる意思表示。⑧~の事件。~のいきさつ。

訳文】『新古今和歌集』(編纂の時)にもこのような論議まで出てき



古文】たるしるしに、古人の歌ならで、/

語釈】

※しるし=証拠。

※古人=昔の優れた歌人。

※ならで=~でなくて。~以外に。

訳文】てしまった証拠に、昔の優れた歌人の歌ではなくて、



古文】当世(たうせい)の人の中に()みたりとも、

語釈】

※当世=①今の世・現代。②「当世(ふう)」の略・現代風。

訳文】今の世の(歌)人の中で(こうした語彙を)詠んでしまったとしても、



古文】よ/からむをば、わざと入るるべき由、

語釈】

※わざと=わざわざ。

※由=①物に寄せて関係づけるもの。口実。理由。手段。縁。由緒。事情。②教養。風情。③(形式名詞として用いて)~の様子、~ということ、~の趣旨。

訳文】良さそうな(歌)を、わざわざ入集するべきであるということ(を)、



古文】仰せ下されて、あまた入るうち、家隆卿、/

語釈】

※仰せ下さ(仰せ下す)=「言ひ下す」の尊敬語。お言いつけになる・命令をお下しになる。

※家隆卿=鎌倉時代初期の公家で歌人、藤原家隆のこと。中納言・藤原兼輔の末裔。八番目の勅撰和歌集である『新古今和歌集』の選者であり、六歌集の一である『壬二集(みにしゅう)』や、百人一首97番歌「風そよぐ楢の小川の夕暮は御禊ぞ夏のしるしなりける」でも知られる。

訳文】(後鳥羽院が)お命じになって、たくさん(そういう歌が)入集する中で、家隆卿(の)、



古文】「逢ふと見てことぞともなく明けにけり/

語釈】

※逢ふと見てことぞともなく明けにけりはかなの夢の忘れ形見や=「逢ふと見てことぞともなく明けぬなりはかなの夢の忘れがたみや」【新古今和歌集・巻十五・恋五・一三八七番歌】のこと。「逢えたと思ったら何事もなく夜が明けてしまったことだ。はかない夢の忘れがたい形見であることよ」の意。「秋の夜も名のみなりけり逢ふといへばことぞともなく明けぬるものを」【古今和歌集・小野小町・巻十三・六三五番歌】を本歌取りして詠んだもの。

訳文】「逢えたと思ったら何事もなく夜が明けてしまったことだ。



古文】 はかなの夢の忘れがたみや」/

語釈】

※逢ふと見てことぞともなく明けにけりはかなの夢の忘れ形見や=「逢ふと見てことぞともなく明けぬなりはかなの夢の忘れがたみや」【新古今和歌集・巻十五・恋五・一三八七番歌】のこと。「逢えたと思ったら何事もなく夜が明けてしまったことだ。はかない夢の忘れがたい形見であることよ」の意。「秋の夜も名のみなりけり逢ふといへばことぞともなく明けぬるものを」【古今和歌集・小野小町・巻十三・六三五番歌】を本歌取りして詠んだもの。

※忘れがたみ=「忘れ形見」と「忘れ難み」の掛詞。

訳文】はかない夢の忘れがたい形見であることよ」



古文】「なし」といふこと二所(ふたところ)あれど、載せらる。/

語釈】

※ところ=(全体の中の)ある部分・箇所・点。

訳文】(と、)「なし」という(否定の)言葉(が)二か所(に)あるけれども、(『新古今和歌集』には)掲載されている。



古文】京極中納言入道の歌にも、この姿も/

語釈】

※京極中納言入道=平安時代末から鎌倉時代初頭にかけての公家で歌人、藤原定家のこと。藤原俊成の子。筆者である為兼の曽祖父。八番目の勅撰和歌集である『新古今和歌集』の選者であり、百人一首97番歌「来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ」でも知られる。邸宅が京極殿(きょうごくどの)と呼ばれたことから京極殿または京極中納言と呼ばれた。

※姿=(和歌や俳諧などで)表現の仕方。

訳文】京極中納言入道(と呼ばれた定家卿)の歌にも、この(家隆卿の歌のような議論の対象になりそうな)表現の仕方も



古文】同じことに詠めれど、我が心に合ふ歌をば、/

語釈】

※こと=和歌。

訳文】同じ(ような)和歌を詠んでいるけれども、自分の心に合う歌を、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ