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頁015

古文】んと詠めば、物の心さとり知/ら

語釈】

※心=①精神。②気持ち。③意向。④判断・考え。⑤真の意味・本質・道理。⑥趣向・趣。

※さとり(さとる)=物事の道理をわきまえ知る・理解する。

※知ら(知る)=わかる・理解する・わきまえる・知る。

訳文】ようと(歌を)詠んだのは、物事の本質(を)理解しわきまえ



古文】ぬ人は、新しきこと出できて、歌/

語釈】

※出でき(出でく)=①出て来る・現れる。②生じる・起こる・できる。③やって来る・めぐって来る。④できる。

※歌の道=和歌という分野、方面。歌道。また、和歌の作法。歌学。

訳文】ていない人は、(歌に関する)新しいこと(が)生まれることで、歌



古文】の道新しくなりにたりと/

語釈】

※歌の道=和歌という分野、方面。歌道。また、和歌の作法。歌学。

※にたり=~てしまっている。

訳文】道(が)新しくなってしまっていると(勘違いをして)



古文】言ふなるべし」と言へり。まことにその/

語釈】

※なるべし=~であろう・~であるに違いない。

※まことに=本当に・まったく。

訳文】言うであろうに違いない」と言っている。本当にその



古文】(ことわり)深きにこそ。されば鎌倉右府(うふ)

語釈】

(ことわり)=①道理・筋道。②理屈・説明・理由。

※深き(深し)=①厚みがある・深い・奥まっている。②並大抵でない・甚だしい・著しい。

※されば=そうであるから・そうだから・それゆえ・だから。

※鎌倉右府(うふ)将軍=鎌倉幕府第3代征夷大将軍・源実朝のこと。

右府(うふ)=右大臣の中国風の呼び名。

訳文】理屈(には)厚みがあることであろう。そうであるから鎌倉右大臣(と呼ばれた)



古文】将軍に歌の道を授け申す/

語釈】

※授け(授く)=師が弟子に伝授する。

訳文】征夷大将軍・源実朝に(定家卿が師として)歌道を伝授し申し上げる



古文】にも、寛平以往の歌に立ち並/ば

語釈】

寛平(くゎんぴゃう)=宇多天皇の治世であった年号。寛平年間(889~898年)のこと。為兼はしばしば寛平以前の歌の体が歌の理想と説いた。

以往(いわう)=①〔以往〕その時からのち・以後・以降。②〔已往〕それより前・以前・往時。【本来、「以往」はある時以後、「已往」はある時以前の意であるが、混用されている。】。

※立ち並ば(立ち並ぶ)=①立って並ぶ・並ぶ。②匹敵する・肩を並べる・同じほどになる。

訳文】(時)にも、寛平年間以前の歌に肩を並べ



古文】むと読むべき由を申す。年号の/

語釈】

※由=①物に寄せて関係づけるもの。口実。理由。手段。縁。由緒。事情。②教養。風情。③(形式名詞として用いて)~の様子、~ということ、~の趣旨。

訳文】ようと詠むべきであるということを申し上げる。(数ある)年号の



古文】中に寛平と指す心は、光仁天皇の/

語釈】

寛平(くゎんぴゃう)=宇多天皇の治世であった年号。寛平年間(889~898年)のこと。為兼はしばしば寛平以前の歌の体が歌の理想と説いた。

※指す=①目指す・向かって進む。②指名する。③指定する。④掲げ持つ・かざす・差し掛ける。

※心=①精神。②気持ち。③意向。④判断・考え。⑤真の意味・本質・道理。⑥趣向・趣。

※光仁天皇=日本の第49代天皇。

※光仁天皇の御宇(ぎょう)=宝亀元年~天応元年(770~781年)。

訳文】中で寛平と指名する真意は、(それ以前の)光仁天皇の



古文】御宇(ぎょう)、参議藤原濱成(ふじわらのはまなり)、和歌式を/

語釈】

御宇(ぎょう)=その天皇が天下をお治めになった期間・御代(みよ)・ご治世。

※光仁天皇の御宇(ぎょう)=宝亀元年~天応元年(770~781年)。

※参議=太政官(だいじやうくわん)(=律令制における最高国家機関)に置かれた令外(りやうげ)の官(=必要に迫られて令の規定外に新設された官)の一つ。大臣・大納言・中納言とともに朝議に参与する重職。

※和歌式=歌病・歌体・歌語など和歌を詠む際の作法や規則。また、それを記した書物。

訳文】ご治世(に)、参議(であった)藤原濱成(ふじわらのはまなり)(が)、(『歌経標識』と名づけられた)和歌式(という書物)を

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