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古文】良しとはいかなるを言ひ、悪しとはいか/なる
語釈】
※良し=上手だ。
※いかなる=どのような。
※悪し=下手だ。
訳文】上手とはどのような(歌)を言い、下手とはどのような(歌)
古文】を知るべきぞ、昔今の変はれ/
語釈】
※知る=理解する。
※ぞ=(疑問の語を伴い文末にある場合)〔問いただす〕~か。
※昔今=昔と今。
訳文】を(言うのかを)理解するべきか、昔と今の(歌の詠みぶりが)変わっ
古文】るはいづくか変はれるぞとも、いか/に
語釈】
※いづく=どこ。
※ぞ=(疑問の語を伴い文末にある場合)〔問いただす〕~か。
※いかにして=①(疑問)どのようにして・どうして。②(願望)どうにかして・なんとかして。
訳文】たのはどこが変わってしまったのか、どのように
古文】して人の賢し愚かなるをも/
語釈】
※いかにして=①(疑問)どのようにして・どうして。②(願望)どうにかして・なんとかして。
※人=この場合は歌人。
※賢し=気が利いている。巧みだ。
※愚かなる(愚かなり)=劣っている。下手だ。
訳文】すれば(その)歌人が巧みである(とか)劣っている(とか)をも
古文】知り、我も人となり進むべきなどは、/
語釈】
※知り(知る)=理解する。
※人=この場合は歌人。
※進む=上達する。
訳文】理解する(ことができるのか)、(どのようすれば)自分も歌人となって上達することができる(のか)などは、
古文】まづはじめの一重なる不審にも/
語釈】
※まづ=初めに。真っ先に。第一に。
※一重なる=ひたすらの。
※不審=漢語。①納得できないこと。疑点。疑問点。②疑念。③疑問・質問。
訳文】真っ先に(抱くべき)ひたすらの疑問点にも
古文】せられぬべきを、さは皆向かは/
語釈】
※さは=そうは。そのようには。
※向かは(向かふ)=①向き合う。②出向く。
訳文】きっとされるべきであるのに、そのようには皆(歌に)向き合わ
古文】ずして、入られぬ道より入らむと/
語釈】
※道=①道・道路・通路・航路。②途中・途上・道中。③道のり・行程。④方面。⑤専門の道・専門の方面。⑥方法・手だて。⑦道理・条理・人としてのあり方・正しい生き方。
訳文】ずに、入れない方面から(歌の道に)入ろうと
古文】し、及ばれぬ方より昔にも/
語釈】
※及ば(及ぶ)=①届く・達する。②なる・至る。③(打消の語を伴って)同じ程度になる・匹敵する・かなう。④目標に届くようにする・のしかかるようにする。
※方=手段・方法。
訳文】し、叶わない方法によって昔(の歌人)にも
古文】及ばんなどのみする輩、我が暗/き
語釈】
※及ば(及ぶ)=①届く・達する。②なる・至る。③(打消の語を伴って)同じ程度になる・匹敵する・かなう。④目標に届くようにする・のしかかるようにする。
※のみ=だけ。ばかり。すっかりずっと。
※輩=①同類・仲間。②連中・やから。
※暗く(暗し)=①暗い。②分からない。はっきりしない。③愚かだ。
訳文】匹敵しようなどとばかりする連中(は)、自分の愚かさ




