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知らない間に攻略対象になってました  作者: 秋原かざや


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13/18

皇帝と舞彩のカンケイ

 ……ひっく、ひっく……。

 誰かが泣いている声が聞こえる。


 思わず、自分が近づいていくと…………えええ、舞彩!?

 な、なんで、泣いてるっすかっ!?

 けど、ここを逃げるってわけにはいかないし……。

 つーか、泣いている子を放っておけるほど、人間やめてません。はい。


「お父様の……ばか……」


 なんで、そこでお父様?

 え、どういうことっすか? もう少し待ったら何かわかるっすか?

 息を潜めて、様子を見ています。


「こんなの……無理ですわ……毎日毎日、習い事に塾にお勉強……私もう、耐えられません」

「それは分かる」

 あ、思わず、頷いてしまったよ、自分のばかーーー!!


「えっ……皇帝、様……?」

「……まあ、俺も似たようなものだからな。あれは俺でもキツイって思うし」

「皇帝様も……お辛いのですか?」

「何せ、それ以外、全部禁止されるからな……しかも海軍キャンプにぶっこまれる俺の身にもなってみろよ。グレるぞ。グレそびれたけどな」

「えっ……海軍? おじさまはそんなこと言っていなかったような……」

「その上、これでもかと皇帝学を学ばされるし、七面倒くさい仕事ばっか回してくるし、挙句の果てには、国のお偉いさんと相手をしろって、何考えてんだよ、あのクソ親父っ!!」

「えっ……そ、そんな方々とも……!? えっ……おじさま、そんなこと……してたかしら?」

「俺の好きな、ゲームとラノベ、だ・け・は……死守したけど……もっと言いたい!! プラモも漫画も友達と夜まで遊びたかったぞ、クソ親父ーーーーー!!!!」

「えっと……その……本当に苦労……されてましたのね? 皇帝様?」

 くすんと、涙する自分に、舞彩は同情していた。そこにはもう、あの涙はない。

「あー、まあ……な。一族の大切なものを受け継ぐには、必要なもの……だと言われてた……今考えればやり過ぎな気もするけどな。けど、親父のよくやったっていう言葉はその、励みになるからな」

「皇帝様は、文句をおっしゃっていますけど、お父様のことが好きなのですね」

「だれが、あのクソ親父を好きになるかよ! ただの陰険腹黒親父だよっ!!」

「……おじさま、そんなに腹黒でしたっけ?」

「あれ……? 違ったか……?」


 自分、改めて思い返す。

 そういえば、ここに転生したとき、そんなにハードではなかったような……?

 ……………………あれ? じゃあ、あのクソ忌々しい記憶って、もしかして……自分の前世だったり、します……? あれ、でも、自分、ごくふつーーーの、サラリーマンっすよね?

 と思った瞬間、ずきりと激しい痛みに襲われた。

「いつっ……」

「皇帝様?」

「あーー、とにかく」

 自分は続けた。ちょっと痛い頭を抑えて。

「舞彩はそうやって、偉そうにしている方が、舞彩らしい。その方が好感が持てる。いいたいことはそれだけだ。それと……辛いなら、親に言うと良い。お前の親だって、辛そうにしているお前を見たら、多少は譲歩するだろうしな。じゃあな……」

 そういって、自分はその場を後にしたのでした。


「……いたた。さっきの痛み、なんだったんだろう?」

 思わず、首を傾げてみるが、そんな答えを知っている人は、ここにはいなくて。

 仕方なく、自分はそのまま家に帰ったのでした。



 ぴこん。

『綾小路舞彩との好感度が100になりました』。



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