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現代のダンジョン化が始まる前に  作者: 一ノ瀬るちあ/エルティ


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第39話 音ゲーの頂点目指すわ(ゾーン使用)

 今話題のFPSゲームを買ってきた。


 そして思った。

 どうやれば世界を目指せるんだ?


 予選とかあるんだろうか。

 その辺から調べないとダメなのか。

 うーん、まあその辺は後でいいか。

 ひとまず仮説の検証からだ。


 つまり。

 大体のゲーム、ゾーンを発動させておけばプロ並みの実力を発揮できる説、である。


 検証結果。


 勝てはした。


 でも圧勝じゃなかった。

 結構接戦。


 攻撃当ててるはずなのに当たってない判定だったり、敵が瞬間移動したりするのだ。

 バグか?

 と思ったけど原因は他にあるとわかった。

 回線速度だ。


 FPSなんてリアルタイムを競うゲームでクソ回線かつ30Hzの1280*720の安物テレビだとガチれないと気づいた。

 言ってしまえば他の人たちがピストルで戦っている中にナイフ一本で飛び込んでいくようなものだ。

 何が世界を目指すだ。

 背負ってるのは未来じゃなくて大きなハンデじゃねえか。


「うーん。オンライン対戦が一般化して、友達がいなくてもやり込めるようになったのは嬉しいんだけど、ゲーム環境で格差が生まれるのは辛いなぁ」


 どうしたものか、と考えたところで思いついた。


「あ、ゲーセン行けばいいのか」


 その発想は無かった。

 だって俺の地元、ゲーセンとかなかったし。

 入りびたる習慣がもともとなかったんだよな。


 たしかゲーセンの音ゲーとかだとスコアアタックとかができたはず。そっちで日本一を目指してみるか。



 ――おい見ろよ! あの人2台同時に"焼失"をプレイしてるぜ!

 ――はぁ!? "焼失"って参寺(サンデラ)最高難易度の楽曲か!? んなもんできるわけが……なっ!?

 ――すごーい! SNSに投稿しよ!


(うむうむ。ギャラリーがだいぶあったまってきたな)


 結論から言おう。

 めちゃくちゃ簡単にハイスコアを記録できた。


(音ゲーなのに音でリズム取ってないけど、100分の1秒単位で視認できさえすれば目押しで余裕だ)


 最後の縦連をそれぞれ4本の指で叩く。

 ファンファーレが鳴り響き、画面にはALL PERFECTの文字が表示される。

 ま、ざっとこんなもんですわ。


「おい兄ちゃん! あんたすげえな!! 普段はどこでやってんだ?」


 え、だれ。

 全く知らん人に声かけられたんだけど。

 こわ。


「いや、今日が初プレイです」

「は、は!?」

「今の譜面も初見です」

「初見2台AP(オールパーフェクト)!? んな馬鹿な!?」


 ところがどっこい、これが現実。


「あ、あんた! この大会に出てみねえか!?」

「大会? 音ゲーにも大会があるんですか?」

「そこからか!?」


 懇切丁寧に教えてもらった。

 なんでも明日全国大会が開かれるらしい。


「地区予選とかないんです?」

「無い、が、代わりに参加条件がある。4週間前から開催日前日までにスコアアタックで10位以内に入った人だけが参加可能だ」

「そして俺は今APを達成したからランキング1位タイに並んだと」

「そう。参加資格は十分にある!」


 なんという都合のいいタイミング。


「教えてくれてありがとうございます。ぜひ参加したいと思います」

「本当か!? みんな聞いたか! ついにうちの店舗から優勝者が出るぞー!!」

「「「「うおおぉぉぉぉぉぉ!!」」」」


 なにこの熱狂ぶり。

 こわい。


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