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猫種の私が聖女?〜サブストーリー〜  作者: まるねこ
サイドストーリー3

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ローニャの危機2 本編99

 気が付くと私は小さな錆びた檻に入れられていた。


 指輪が……無いわ。


 取り上げられたようだ。


 周りを見渡すと同じような小さな檻に少女たちが捕らえられている姿が見えた。


「ここはどこ?」


 私がそっと声に出すと、蹲っていた一人の少女が答えた。


「ここがどこかは分からないわ。ただ分かるのは私たちが貴族の誰かに弄ばれるということだけよ」

「弄ばれる?」


「聞いたことないの? 最近王都で女の子の誘拐が頻発しているって」

「ごめん、知らなかった」


「私たちは平民だけど、連れ去られてくる女の子は貴族の娘もいるのよ? 高値で売れるんですって」


 その言葉を聞いていた他の女の子たちはシクシクと泣きだした。


 どうやら私は誘拐されたようだ。

 装飾品も全て盗られている。


 少しの間黙って周りの状況を観察していると、入り口でシルクハットを被った男が何人かの男と話しているのが見えた。


 ぼそぼそと小さな声で話しているようで他の子たちにはあまり聞き取れていないようだ。


 ローニャは耳を男たちに向けて集中する。


「おい、王女を捕まえたんだって? でかした。これでジョー様も満足してくれるだろう」

「だが、いいのか? この世界で彼女たちだけが魔法を使えるんだろう?」

「そんなこと俺たちにはわからん。ジョー様が満足すれば俺たちだって五体満足に過ごせるんだ。それ以上言うな」


 ジョー様? 誰だろう。


「今頃王宮じゃ蜂の巣を突いたように騒いでいるだろうな」

「あぁ、さっき偵察に行ったが、凄い騒ぎだったぜ?」


「レミアは即連行されたらしい。俺たちも逃げた方がいいんじゃないか?」

「馬鹿言え。外に出た瞬間用心棒のシュローに殺されるに決まっている。俺たちはただここの前で商品が逃げ出さないように監視するだけだ」


 男たちはその後も話を続けている。


 さて、どうしようか。

 指輪は無い。


 尻尾に付けていたおねえちゃんとお揃いにした骨のチャームも盗られた。


 着ているのはマダム・レミアで試着した水色のドレスのみ。


 あの時眠気に襲われたのはきっと睡眠薬が入った食べ物だったのね。


 エリスにやられたのか。


 充分に気を付けていたけれど、ドレス店もグルだったのには気づかなかった。


 どれくらい寝ていたのか全く分からない。


 部屋自体がどこかの地下にあって時間の感覚がわからないもの。ただ、予想としては神殿で治療を行った時に魔力は三分の一にも満たなかった。


 今は三分の二といってもいい状態だし、半日は経過しているに違いない。


 あまりゆっくりしている間はなさそう。

 周りを見渡しても見知った顔は居ない。


 ここでジッとしていても悪い方へ向かうだけね。


 男たちの話を聞いても私は今夜すぐに何処かに連れていかれるらしい。


 私はグリークス神官長に連絡を取ることにした。


 檻を掴み、他の人たちには聞こえない程の小さな声で詠唱を始める。檻が錆びた鉄で良かった。


 使い難いけれど、魔力を通せる。


『グリークス神官長、聞こえる?』


 言葉を送ると、神官長から手紙が早速送られてきた。


 そうだ、神官長にはこの魔法を教えていなかった。


 手紙を開けると、私の無事を確認するのと、今いる場所を知りたいという手紙。


『ここが何処か分からない。でも、どこかの地下にいるわ。入り口の前にシルクハットを被った案内人? のような人たちとごろつきっぽい人たちが三人いるわ。彼らの話では外に用心棒のシュローという人がいるみたい。私を売る? のかな? そんな話をしているわ』


 しばらくするとまた手紙が届いた。


 地下がある場所は数が少ないらしい。上位貴族の邸か、劇場、王宮、刑場などだ。


 今、神官長が王宮に連絡を取り、兄様たちが必死に探していると書いてある。必ず見つけると書いてあった。


 私は手紙をポケットの中へねじ込む。しばらく様子を見ていると、先ほどの男たちが時間だと部屋に入ってきた。


 どうやら数人の女の子たちは檻から出されて何処かに連れていかれるようだ。


 泣き叫び抵抗する女の子たちにも彼らは容赦がない。


 私もああなるのだろうか。

 怖くてガタガタと震える。


 ……どうしようも無くなったらおねえちゃんの所へ逃げよう。


 魔力はギリギリ残っているが、無駄にはできない。


 魔力を貯めることに集中していると、男たちはとうとう私の檻の前までやってきた。


 覚悟を決め、詠唱を男たちから分からないように下を向き、口ずさんでいく。


「おい、お前。獣のお前だ! 青馬倶楽部の貴族たちがお前を今かと待っているんだ。楽しみだなぁ。王女様を嬲り者にするなんて趣味のいいお方ばかりだ」

「さぁ、出ろ!!」


 私は男に力ずくで引っ張られたが、檻をギュッと抱きしめて抵抗する。詠唱が終わった。


「おねえちゃんの所へ!」


 そう叫んだ瞬間、身体が光に包まれた瞬間に景色が変わった。


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