強い証明と疑いの眼差し
リバルに本当に強いのかと疑われた護は能力を使い魔物を倒すが……。
「そんなに強そうにはみえねえ。どんな方法を使って大量の魔物を駆除した?」
そう問われ護は答えに困り青ざめ俯いた。
「なぜ俯く? まさか言えないようなことで駆除したんじゃないだろうな!」
「いや……そうじゃ、ない。タダ信じてもらえないだろうなって思って」
「言ってみろ! 信じるかは聞いてからだ」
そう言われるも護は口をモゴモゴ動かし何も応えられないでいる。
「マモルは強いのニャ! だって能力の星が虹色だったニャ」
「それは本当なのか?」
「ああ本当だ。オレも、この目でみてるしな」
なるほどと思いリバルは護を見据えた。
「じゃあ見た目よりもツエエってことか。能力測定の魔道具は嘘つかねえからな。だが、なんで言えねえんだ?」
「じゃあ俺が素手で駆除したって言ったら信用してくれるのか?」
素手と聞きリバルは勿論のこと、ルカメイシェルとモンガまでもが驚いている。
「素手だって!? その体の何処に、そんなパワーがあるってんだ?」
「やっぱり信じてもらえない。ハァー……言わなきゃよかった」
「実際にみねえと。そうだな……どんだけツエーのか知りてえ。どうだ……今から町の外で証明するってえのは?」
そう言われ護は一瞬だけ悩んだ。だが信用してもらえるならと思い「分かった」と頷いた。
その後、護はルカメイシェルとモンガとリバルと町の外にあるセオルナ草原へ向かう。
✦✧✦✧✦
ここはセオルナ草原。ライクスチアの町から南に歩いた場所に護たち四人はいる。
付近にはドルゲステの森があり、そのせいか強い魔物など町の近くよりも多い。
「ここなら強い魔物が わんさかといる。存分に腕をふるえるだろ?」
意地わる気味にリバルはそう発言した。
「そ、そうだな……」
そう言うも護は浮かない顔をしている。
できれば能力を使わない方法をとりたい。だが強い魔物じゃ、そう簡単には倒せないと思ったから余計にだ。
「マモルなら大丈夫ニャ! ファイトなのニャ~!!」
「どんな方法を使って倒したんか気になってた。それを、ここで確認できるってんだ……楽しみだぜ」
期待の眼差しをルカメイシェルとモンガから向けられた護は今にも吐きそうで逃げ出したくなっていた。
(ああ~どうすんだよ~……。能力を使っても殆ど自分の力でだから問題ないと思う。
だが、それでもリバルにバレないって保証はない。ルカやモンガのように信用できるヤツなら問題ないけど)
そう思いながら護はリバルへ視線を向ける。
「どうした? 気がのらないようだが……そんなに戦い方をみせたくねえのか?」
「いや……そうだな……分かった! やるよ。やればいいんだろ!!」
半分やけである。
そう言い放つと護は倒せそうな魔物を見定めるため周囲を見回した。そして、ターゲットをみつける。
手にはめている革製の黒い手袋を確認するように直した。
因みにターゲットの魔物は菫猫だ。
この魔物は赤薔薇兎のように飛び跳ねないが、かなり素早く狂暴である。
見た目は頭に菫が載っていて可愛い。色んな模様の菫猫が存在するもレベル的には、どれも同じだ。
狙いを定めるフリをし手を菫猫へ向ける。
(《アウトルック レベル1!!》)
心の中でスキル名を言った。
すると両眼に青い星が浮かび上がってくる。それと同時に菫猫の先の行動がみえ駆けだした。
それを感知した菫猫は、ジャンプし護に飛びかかろうとする。
その行動を既に把握している護は、サッと避け菫猫の腹を思いっきり殴った。
「ギニャアァー!!」
殴られた衝撃で菫猫は目が飛び出したまま約数メートル飛ばされ地面に叩き付けられる。
それをみた周囲に居た魔物は一斉に何処かに消え失せてしまった。
地面に叩き付けられた菫猫は血を流し息絶えている。
「やり過ぎたか……」
そう呟き護は、ハァーっと溜息をついたあと心の中で《アウトルック解除!!》と言った。
そんな護の姿をみてルカメイシェルは目を輝かせている。
片やモンガは流石は異世界の者だと感心していた。
そんな中リバルは菫猫の死骸のそばに近寄り中腰になる。その後、菫猫の死骸を隅々まで調べ始めた。
「一撃だ。菫猫の動きを把握して攻撃したようにみえた。まるで特別な能力を使ったかのようにだ」
立ち上がりリバルは護へ視線を向ける。護をみているリバルの目は何かを疑っているようだ。
「お前、何者だ? 普通の人間じゃ、ここまでの芸当はできない」
「な、何者って……普通の人間です!」
どう誤魔化そうかと思考を巡らせるも考えが及ばす護は焦り始める。
「そうなのニャ! 特別な能力を持っている普通の人間ニャ」
ルカメイシェルの発言は弁明になっておらず余計にリバルが護を不審に思った。
「特別な能力なぁ。それの何処が……普通なんだ?」
「そうそう……特別な訓練をして得た能力って言ってたよな?」
それを聞くもリバルには、モンガが苦し紛れの言い訳をしているようにしかみえずにいる。
「何を隠してんだ? そんなに知られちゃマズいことなのか?」
そう問われ護は返答に困り俯いてしまった。
読んで頂きありがとうございます(*^ω^*)
では次話もよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ




