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【コミックス2巻発売中!】転生幼女は前世で助けた精霊たちに懐かれる  作者: えぞぎんぎつね
二章 五歳 湖畔の別邸編

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75 飼育許可をもらう方法

「ルリアちゃん。ロアがドラゴンなら……やっぱり、かうのをダメっていわれないかな?」

 不安そうにサラが言う。


「……かのうせいはある。羽トカゲでごまかすしかないな?」

「ごまかせるかな?」『簡単ではないのだ』


 あたしとサラとクロは、ロアの飼育許可を取るために相談する。

 問題は、母が動物にとても詳しいことだ。


 母も「強い生き物図鑑」を読んでいるのだから。


「むむう? ねんのためにロアのこと、かくす?」

「すぐに、ばれるの」『ばればれなのだ』


 話し合っている間、ロアはあたしたちに交互に体を押し付けて甘えてくる。

 そんなロアをサラとクロで撫でながら、相談を続けた。


「……ずっとじゃなくて、こう……じょじょに?」

「じょじょに?」

「そう。じょじょに、ドラゴンかいたいなーって、かあさまにおもわせる」


 根回しをして、母がドラゴンを飼いたいなーと思えば、許可も出るだろう。


「さりげなくあぴーるしないとな?」

「わかった。がんばる」


 サラも力強く頷いた。心強い。


『そんなに、うまくいくわけないのだ』


 クロが呆れたように言うが無視をする。やってみなければわからないからだ。

 それに失敗したら、そのときにまた作戦を考えればいいだけである。


 甘えていたロアは、今あたしの指をちゅぱちゅぱ吸っていた。


「おなかすいたのかな? でも、ドラゴンは卵からうまれるからお乳のまない」

「のまないの?」

「うん。卵からうまれるいきものは、普通お乳のまない」

「ほえー」


 サラがあたしの知識の深さに感心してくれていた。照れる。


「ともかく、ロアのご飯をかくほしないとだな?」

「うん。ご飯だいじ」

『大事なのだ。ロア様は赤ちゃんなのだし』


 サラも力強く頷いた。


「ゎぁわぁう?」

 ご飯と聞いて、ダーウが目を覚ました。

 ダーウは起きて、すぐに「はっはっ」と息を荒くして、あたしのことを舐め始めた。


「まてまて」

「わふ?」

「ご飯はまだだ」

「ぴぃー」


 ダーウは「どうしてそんなひどいことをいうの?」と鼻を鳴らして甘えてくる。

 だが、虐めているわけではない。


 そもそも、ご飯の用意ができていないはずだ。

 ダーウには、少し待って貰わなければなるまい。


「あさご飯は、できたらじじょがくるはず」

「ぴぃ」

「それまでまつといい」


 ダーウをなだめて、頭を撫でる。


「ダーウのご飯はまてばいいけど、……もんだいはロアのご飯だ」

「ゃむ?」


 あたしの指を吸っていたロアが、口を離さずに首をかしげる。


「かあさまから、ロアをかくすとなると……しょくどうにつれていけないから……」

「ご飯を、こっそりかくして、もちかえる?」

「それは、にたようなことして、バレた」


 サラの提案は、少し前にあたしがやって失敗したやつだ。

 あたしも、おやつを隠して部屋に持ち帰ったが、すぐバレた。


「クロ。ロアって何食べるの?」

『なにって……、多分なんでも食べるのだ』

「そっか、サラちゃん、ロアはなんでも食べるらしいよ?」


 何でもいいのは凄く助かる。


「そっか……でも、ロアにもすききらいはあるよ? たぶん」

「たしかに……サラちゃんのいうとおりだ。トカゲっぽいし虫とかが好きかな?」


 トカゲは虫を食べる。ロアはトカゲではないが、トカゲに似ている。

 ならば、きっと食べ物の好みもトカゲに似ているに違いない。


 あたしはロアを撫でながら、考える。


「でも、虫はつかまえるのがたいへんだからなぁ」


 カブトムシの幼虫は地中にいる。今の季節はさなぎだろうか。

 掘って見つけるのも、ダーウに手伝ってもらうのも大変だ。


「虫をつかまえるのはたいへんなのに、あかちゃんは、たくさんたべないとだめだからなー」

「そうなの? からだがちいさいのに?」

「そう。ちいさいのに」


 あたしが赤ちゃんだったとき、マリオンと母のお乳を一日で八回から十回飲んだものだ。

 とにかくお腹が空いて仕方が無かったことを覚えている。


 夜中にお腹が空いたときは、我慢した。

 我慢できたのは、あたしには記憶があったからだ。


 普通の赤ちゃんなら我慢できずに泣いていたことだろう。

 それに、あたしにはダーウがいた。


 お腹が空いていたら、ダーウが察してマリオンを呼びに行ってくれたりもした。

 眠そうにお乳をくれた、マリオンに心の中で謝罪しながら、思う存分飲んだものだ。


「ルリアもお乳がでたらなぁ」

「こどもはでないの」

「まったくだなぁ」


 自分たちがお乳が出ないことを嘆いていても仕方がない。

 なにか良い方法を考えなければならない。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】



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